摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

萇山(634m)・・・・・・釜山市・・・2015年12月21日

昨晩は、温泉場(オンチョンジャン)の現代ホテルに泊まろうと思ったが、

行ってみるとレジデンス(アパート)に変わっていた。かつて定宿だった

のだが残念だ。結局、少々高いが隣の温泉ホテルに泊まることにした。

朝起きると小雨が降っている。どうするか迷って宿でグズグズしてた。

地下鉄2号線・萇山駅近くで朝食を食べ、歩きだしたのは午前9時半。

萇山駅から北西に伸びる大通りを進む。雨は上がったが山にはガスが

残っている。穏やかな山容で、登山の対象としては、やや魅力に欠ける。

麓の大川(テジョン)公園までやってきた。案内板の右下から伸びる

直線路を歩いて来た。歩道が複雑に絡み合っている。単純に頂上を

目指す道は無い。結局迷って、今見ても何処を歩いたか分から無い。

平日だが散歩する人が多い。皆さん傘一本だけ持って、歩いて行く。

韓国によくある、体操器具が沢山置かれた公園に到着した。盛況だ。

休日には、どれほどの人出になるのか。此処までは舗装されていた。

運動公園から自然林の中を登って行く。道が幾本もあるが、一番

幅広いものを選んでは、登って行く。雲の隙間から陽が差し始めた。

道標の沢山立っている三叉路に来た。だが、どれ一つとして頂上を

指している物がない。どうやら此処で迷ったよう。高みに向かえばと

思い右に向かったが、これが誤り。登山道ではなくて遊歩道だった。

大きな岩が、ゴロゴロ積み重なる所にやってきた。岩塊流であろう。

山頂方向から大きな岩の塊が、谷を埋め尽している。標高600mの

山にしては岩は巨大で、すごい規模で迫ってくる。そもそもこの山に

岩塊流があるとは案内図にも無かった。韓国では普通の景色なのか。

確かに韓国では、何度も岩塊流を見ているが、個々の岩の大きさが、

今まで見た中で一番巨大だ。説明板の一つ位あっても良さそうだが。

遮る物も無くて眺望は良い。萇山駅周辺の高層アパート群が見える。

広い道はゆっくり斜上して、どんどん北へ向かうが、山頂へ向かう

様子がない。このままでは山頂を行き過ぎてしまうと、焦り始めた。

遊歩道から離れて、山頂方向に向かう踏跡に入る。どうにかなろう。

踏跡から、また別の遊歩道に出たが、また水平道。更に上に向かう

踏跡に入っては引き返し、別の踏跡を登ってあったのが、この看板。

危険地帯(地雷)とある。この山の山頂には空軍の通信施設がある。

幅広い車道に出た。麓から山頂の通信施設に向かうもののよう。

成程それで、山頂を避けるように、遊歩道が設けられていたのだ。

一瞬、歩いて良いものかと考えたが、駄目なら戻ればよいだろう。

右上に軍の施設を見ながら、山頂を西に回り込む。木道があるので

登山者が進んでも良いのだろう。この草地に座り込んで小休止する。

木道を西に回り込むと、自然石に萇山と記された山名碑があった。

文字が拙いので、たぶん行政の手による物でなく、誰かが勝手に

彫ったものだろう。背後は通信施設の柵。本当の頂上は柵の中だ。

西側は、左から金連山(415m)荒嶺山(427m)白楊山(642m)。

そして、右手の最奥に見えているのは、金井山(801m)であろうか。

しばし、眺望を楽しんで下るとしよう。本当の頂上に立った訳では

ないので、登頂感には欠けるが、晴れて来たので気分は悪くない。

雑木林を下っていくと、展望台に続いて木製階段が設置されている。

特に此処に、階段を設ける理由はないと思う。ただ観光施設の一種。

中国では、山道をコンクリートで固め、韓国では、木製階段を設ける。

更に下って行くと西側に、先程渡った岩塊流の全景が見えてきた。

穏やかな山容のこの山に、なぜこんな岩の堆積があるのだろうか。

それはともかく、今日の一番の見所は、この岩塊流の通過だった。

なだらかな尾根道を下って行くと、東側には高層アパート群が間近

に見える。なんだか韓国というよりは、香港を思いだすような風景だ。

そして下り着いたのは、こんな所。山野から一瞬にして都会へと戻る。

香港や神戸とも共通する既視感。正面の横長のガラス張りの建物は、

釜山国際展示場ベクスコ。付近に道標が無いので逆コースは難しい。

少し迷ったが、地下鉄2号線・市立美術館駅に出た。午後2時25分。

少し遅くなったが、同じ2号線の南川駅で途中下車して、昼ごはんを

食べよう。行きたい食堂がある。萇山に来た理由の半分位はその為。