摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

神仏山(1159m)・・・・・・慶尚南道・蔚山市・・2015年12月22日

彦陽(オニャン)バスターミナルの裏側に、市内バスの停留所がある。

前夜に、時刻表を確かめておいた。323番バスの始発に乗るべく

少し早いかと思ったが、6時40分にやって来た。バスは6時50分。

ところが323番バスは6時46分に来た。こんなことは初めてだ。

韓国のバスの時刻表は、始発の時刻が記されている。遅れること

はあるのだが・・。ダイヤが変わったのに、訂正されてないのかも。

そのせいではないが、下車する場所を間違えた。左岸の道の奥で、

バスがUターンしたので、肝月山登山口の標識の所で、無理矢理

降ろして貰った。運転手は滝は行かないのって止めてくれたのに。

登山の案内板があったので、見ると明らかに間違っていた。我々の

登りたいのは神仏山だが、肝月山と同じ所から登るはずだが、此処

からは、肝月山へしか行けない。温泉街の奥に登山口があるようだ。

温泉街に渡る橋まで来て気付いた。バスは折り返したのではなく、

この橋を渡って、温泉街の中にある終点に向かったんだ。下調べ

が足りなかった。運転手もちゃんと気遣かってくれたというのに・・。

失敗はこれだけで終わらなかった。大きな駐車場があったのだが、

未完成のように思えた。広大過ぎて案内板も建物も見当たらない。

とにかく高い方へ行けば、車道を登っていくが、これが第二の失敗。

すぐに道は行き止まり。あとは温泉街の上端をウロウロするばかり。

1時間以上もロスしてしまった。運転手の話が理解出来なかった事。

登山口付近の地形を確認していなかった事等、反省することは多い。

やっぱり駐車場からと、戻って奥に進んでいく。本当に広大な所。

しばらくは、何も見えなかったが、奥に立派な施設が現れてきた。

最奥にはクライミング用の人工壁があった。登っているのは人形。

肝月山と神仏山の登山口は、さらにその奥の沢沿いにあった。

此処に至るまでの道標を、温泉街や駐車場に設けて欲しかった。

韓国の山では、登山口に至るまでが、一番難しいと再認識する。

良く整備された登山道を登っていく。しばらくで肝月山への

道が右手に別れていく。バスを降りてから1時間以上歩いて

いるので、すでに疲れている。体が重いし気分もすぐれない。

運転手が言っていた滝が現れた。なるほど立派な滝である。

登山道の途中に、この滝があることを知っていれば、反応

できたかもしれない。でも滝にはあんまり興味がないので。

滝からは、左側の斜面を階段道が登っていく。これが延々

続く。高度はぐんぐん上がるが、体力もどんどん消耗する。

樹幹越しに肝月山(カンウォルサン)が見える。立派な山容の

山だが、相当高い峠まで林道が通じているのが、玉に傷だ。

少々変わった道標がある。赤いルートはロープ付きの難路で、

緑のルートはその迂回路のよう。もちろん赤いルートを進む。

大きな岩場だが斜度はない。登り切るとまた土の斜面になる。

二つほど、こんな岩場を越えるが、さして面白くはなかった。

路傍の大岩に登ると、これから進む稜線が見える。恐竜稜線

と名付けられている。恐竜の背のような尾根ということかな。

此処から見るかぎり、それほど険しい様ではない。ただ遠い。

また迂回路の道標があった。この先、何度も見ることになる。

岩場の傾斜が急になってきた。でもまだロープには頼らない。

次に現れたのが、傾斜の緩い一枚岩。此処はロープに頼った。

左側に迂回路があるので、あえて登らなくても上には行ける。

一枚岩の途中で下を見下ろす。右上に見えているのが温泉街。

写真だけ見ると岩場ばかり歩いているようだが、実際は単調な

尾根道の方が多い。ハムはすっかりバテてしまい家族に遅れる。

家族が景色の良い所で、待っててくれた。テルモスの湯で

コーヒーを作り、薬菓などを食べて休憩する。休んでいると、

単独のアジョシが、通り過ぎていかれた。そしてもう一人も。

さあ先に進もう。鋭角な岩尾根の何処を歩いて行くんだろう。

岩の表面が擦れた所が道だろうが、それが幾筋も見られる

なるべく稜線づたいに行こう。左側の斜面はやや緩やかで、

迂回路がついている。右斜面は切れ落ちて、高度感がある。

岩は固く順層で、何処でも登って行けそう。迂回路を示す

道標以外は何もない。何処を歩こうとも、構わないようだ。

先ほど休憩した所からは、ずっと岩稜が続いてる。これは

楽しい。辛かった登山口探しや登りを忘れてしまいそうだ。

恐竜稜線というだけあって、ゴツゴツした岩場は、先が見え

ない。この先はどうなっているのか、ワクワクしながら歩く。

沢登りと同じような楽しさがある。マーキング類は一切ない。

踏跡が左斜面に続く。足元は切れ落ちて、落ちれば大事故だ。

もちろん右斜面には迂回路がある。でもそれではつまらない。

トラバースして行った家族が詰まって、右斜面に乗り越えた。

ハムも同じく追って行ったが、先に回ると踏跡は続いていた。

つまり、そのまま進むルートもあったということ。見逃したか。

続く大きな岩場では、先に進む踏跡が見出だせずに、迂回路へ

下ってしまった。しかし先に進むと踏跡が下って来ていたので、

登るルートもあったはずだ。見つけられなかったのは残念だ。

此処まで登ってきた恐竜稜線を見下ろす。蔚山市の広報では、

仏山はススキの草原ばかり売り込んでいる。なのでこんな

楽しい岩稜があるとは、思いもよらず、後回しにしていた山だ。

頂上が間近に見えてきた。さすがの岩尾根もこの辺で終わり。

名残惜しいが、後はツツジの薮の間を、緩やかに登っていく。

人気のない頂上に到着する。背の低い薮に覆われているので、

四方の展望はすこぶる良い。標高以上に山の大きさを感じる。

頂上の南北には、展望台を兼ねたウッドデッキが設けてある。

階段状で腰掛ければ、広い景色を楽しみながら休憩ができる。

今日の昼食は、コンビニで買ったハンバーガー。冬場なので

冷たいキムパブよりは食べやすい。味も以前より良くなった。

食事を終え、南に向かう。霊鷲山を越えて通度寺へ下る予定。

10分ほどで神仏峠に下り、登り返す。峠には東側から道が

登って来ており、休憩している人達もいた。峠の前後は木道

になっていて歩きよい。ススキの原を保護するためだろう。

木道の無い所は、霜柱が溶けた泥濘の道となって滑り易い。

枕木を埋めたような木道でさえも、とても有りがたく思える。

東側へ傾いだ様な霊鷲山が間近くなってきた。感覚的には、

峠からこちら側は、霊鷲山だと思うのだが、蔚山市域にあり

この先にあるススキの原は、神仏平原と名付けられている。