摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

羊蹄山(1898m)京極コース・・・・・・2015年9月18日

9月18日、北海道旅行二日目の朝。午前5時前には目が覚めたが、

空を覆い尽くす暗い雲に一気にテンションが下がる。昨日の天気予

報では、何とか午前中は持ちそうだったが、それは平野部だけかも。

昨夜泊まったスリーユーパークキャンプ場。連休前で我々を含めて、

3組だけの宿泊だった。予定では暗い内に出るつもりだったのだが、

この天候ではテントを畳んで、管理棟に預けた方が良いと思われた。

昨日の受付の人は、朝6時半から居るといっていたが、今日の人は、

7時ちょうどに出勤してきた。それまで管理棟前で40分間待ちぼうけ。

荷物は心よく預かってもらえて感謝。営業時間は7時からだから当然。

道道478号線を渡り、ふきだし公園に入る。その昔にサイクリングで

来たことがあると、家族は言うが全く記憶がない。掃除している人に、

登山口を聞くが知らないと言われ、駐車場奥に自力で発見した看板。

だが、そこからが長かった。玉葱や人参畑の間を1km弱南下する。

役場前からの道と合流する手前で、羊蹄山側へ伸びる車道に入る。

この交差点は車道が輻輳しているので、初めて来る人は迷うだろう。

しばらくは民家もポツポツある。2・3か所の交差点は、とにかく

高みに登って行けば大丈夫だろうと来た。だが道標は一切ない

ので、段々不安になってくる。間違えてないかと思いだした頃に、

前方に登山口を示す看板が見えた。ふきだし公園から約40分。

此処には駐車スペースがあって、2台の乗用車が駐車している。

見上げる羊蹄山は、五合目より上は厚い雲に覆われて見えない。

収穫期で巨大なトラクターが働く、ニンジン畑の間の農道を進む。

針葉樹林の端に環境省設置の看板がある。やっと本当の登山口。

キャンプ場からは1時間歩いた。北海道なら遠くはない距離だろう。

羊蹄山にはハムは家族と一緒に3度。家族はそれ以外にも1度

来ている。だが、いずれも天候に恵まれず、或いは実力不足で、

9合目までしか登れていない。つまり一度も山頂に立っていない。

今回の旅行の主目的は芦別岳だが、羊蹄山の山頂を踏むことも、

3番目ぐらいの目的に入れた。山の様子はおおむね分かっている。

とにかく高度を稼ぐために、足を動かすだけだ。単調と言って良い。

ハムは家族と山スキーで、半月湖から2度。真狩から1度登った。

いずれも9合目は火口壁である。スキーの滑降には其れ以上は、

登る必要もないので、そのことを理由にして下ってしまっている。

実際はガスに巻かれるのが怖かったり、カチカチに凍った稜線を

アイゼンとストックだけで進むのが嫌だったという、軟弱な理由だ。

3合目を過ぎると道は粘土質となり、ぬかるんだ道は滑りやすい。

家族は9月に友人と来たが、やはり悪天で登山口に呼んでいた

タクシーとの待合せの時間が気になり、9合目で引きあげたそう。

5合目でも熊笹に覆われ展望は無い、韓国の漢拏山を思いだす。

6合目で樹高が低くなり、晴れていれば展望があると思われる。

だが今日は濃いガスに覆われて、数十mメートル先も見えない。

麓から見た厚い雲の中に入ったのだろう。だが雨は降ってない。

羊蹄山は登山口が0号目。後は等間隔に符られているようだ。

だが1合目から2合目まで、数分で通過しているにも関わらず、

6・7合目間は30分も掛かった。水が多すぎたのか荷が重い。

家族から大幅に遅れて8合目到着。晴れてれば展望の良い所。

この辺りから9合目までは、登山道脇の幼木の紅葉がキレイ。

一旦、ガレ場に出る。張ってあるロープは道を失わないようか、

或いは登山道以外に入るなという意味か、おそらく両方だろう。

再び灌木の中に入ると、9合目の看板があった。8合目から

26分もかかっている。もう疲れ切って、足が一向に進まない。

再び大きな火山岩のガレ場に出る。火口壁はもうそこだと思うが、

火山礫や砂の崩れ易い道は歩き難い。数歩登ってはずり下がる。

やっと火口壁に到着。京極コースの良い所は、登りきった所から

山頂までが近いこと。そう遠く無い所に山頂標識があるはずだ。

火口壁を左に進むと直ぐに三角点がある。だが山頂らしくない。

下調べをしていないので、山頂がどんな様子なのか分からない。

帰ってから調べると、一等三角点・点名「真狩岳」1892mだった。

ガスに巻かれて、三角点より高い所があるか無いかも全く見えず、

とにかく南側の、喜茂別コース分岐までは、歩いてみることにした。

南側からの湿気を含んだ強風を受け、眼鏡が曇って前が見えない。

少し小高い岩場があると思ったら、そこが羊蹄山の頂だった。

20年経って、ようやく山頂に立てたというのに、ガスは晴れる

気配も全く無く、期待していた山頂火口(父釜)は全く見えない。

これで羊蹄山に登ったと言えるのだろうか、又しても悩ましい。

強風を避け岩陰で、倶知安の生協で買った半額パンを食べる。

その間に2組の登山者が、悪天にも関わらず山頂に到着した。

前を行くのは、ショルダーバックで登ってきた爽やかな青年。

同時に下山を始めたが、ガスの中にスーッと消えてしまった。

倶知安側へ向かったのだろうが、一瞬、妖精なのかと思った。

家族もそう思ったらしい。お互いに年をとって若い人が眩しくて

仕方ないのかも知れない。荒れる山頂で、にこやかにスマホ

弄っていた姿は不思議だった。我々は又京極コースを下山する。

9合目辺りで小雨が降りだした。濃密なガスが水滴と変化する。

8合目を過ぎたところでは、ハムの左足が激痛を伴って攣った。

下肢上肢共、同時に攣ったのでしばらく動けない。ロキソニン

服用する。それが効いた訳ではなかろうが10分程で回復する。

空中のガスが雨粒に変わったので、視界が広がり下界が見える。

一応は山頂を踏んだのだから、半分ぐらいは満足しているが、

火口も見ずに、羊蹄山の山頂に立ったといえるのか。そんな

ことを反芻しながらも下って行く。単調な登りは、下りも単調だ。

5合目と6号目の間で、倶知安で買った余市のリンゴを食べる。

赤く小さな小玉で酸味が強い。「あかね」かな「国光」ではない。

相性の悪い山ってあるものだ。4回登って満足出来ないでいる。

登山口に帰ってきたのは午後3時過ぎ。往復7時間も掛っている。

土砂降りの雨の中、キャンプ場まで、後1時間歩かねばならない。

帰宅して2週間程して、京極町観光協会から絵葉書が届いた。

入山届を書くときに希望すれば、登山認定証を送ってくれるのだ。

登山届の記入率を上げるための施策だろうが、うれしいサービス。