摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

九峰山(1002m)・・・・・・全羅北道・鎮安郡・・・2015年5月23日

雲長山(ウンジャンサン)に登頂したものの、やや物足りなさを感じ、

縦走路でつながる九峰山(クボンサン)まで、足を伸ばすことにした。

ところが半分もいかないうちに、二人とも足が攣り始めてしまう。

特にハムにいたっては、両足の上下肢共攣り、座り込む始末だ。

少し休むと治まるのだが、歩き出すとまたどこかが攣りはじめる。

縦走路を横断する2番目の林道に出た。九峰山の頂上まで3km。

九峰山頂から下山して、バス停までも5kmだ。まだ午後2時だし、

国内なら不安に思うこともないが、その先のバスの便が分らない。

林道から20分の緩い登りで、ブットゥ峰(1018m)に到着した。

だが数メートルの山頂岩場に登る気もしない。日陰の無い山頂

は暑く、すぐにも逃げ出したい。今日、唯一の登山者とすれ違う。

山頂から九峰山が見えた。岩峰群が1峰から8峰で、右手の山が

9峰であろう。まだ先は遠いし間には鞍部があるので、かなり下る。

再び樹林の中に入る。展望は無く、ただ道に従って歩くのみである。

二度三度と両足が攣って座り込む。5分も休めば治まるのだけれど、

歩きだせば何処かが痙攣を始める。喉は乾くが飲料水は残り少ない。

目標の九峰山頂に到着したが、何の感慨もなく、ベンチに座り込む。

山名碑には小さく第9峰と書いてある。だが岩峰でもなく展望もない。

東側が僅かに刈られた所があって、下方に8峰以下の岩峰群が望める。

写真では分かり難いが、中央の二峰で何か工事が行われているようだ。

両山頂に橋脚のような物がある、きっと岩峰間に吊り橋を作るのだろう。

山頂では5分と休まず下山にかかる。この時、午後3時45分である。

いきなり、釣瓶落としのような急坂を、太いロープを頼りに下って行く。

しばらくすると階段が現れるが、これまた急傾斜でひたすら下って行く。

30分もそんな下降を続けて、険しい沢を渡ると、道は緩やかになる。

9峰と8峰間の鞍部に到着した。三叉路となっている。縦走路と下山路。

疲れ果てているが、此処まで来たら、8峰から1峰まで越えて行きたい。

道の上の横断幕は、工事中で通行止めだろうが、はっきりと分からない。

本当に通行止めなら、もっとしっかり入れない様にしてあるのが韓国。

もう解除になったのかもと、勝手に考えて進んで行く。8峰から7峰へ、

思ったより単純ではなく、細かい上り下りもあったりと、もうヘロヘロだ。

8峰から6峰間までの登山道整備は完了して、小規模ながら岩峰間を

結ぶ木橋も出来ていた。登山客誘致の為の韓国らしいアトラクション。

工事中・進入禁止の看板が、また有った。でもバリケードはないので、

行ける所まで行ってみよう。工事現場を迂回する道が出来ているかも。

5峰の手前まで来た。登山路は5峰直下で砕石に埋もれているようだ。

それに工事現場には、作業員がまだ残っている。このまま進み咎め

れるのは嫌だし、なにしろ韓国語が出来ない。残念だが、後戻りしよう。

他に逃げ道はなく、また8峰と9峰間の鞍部まで、登らねばならない。

この往復に1時間程費やしたが、九峰山の魅力の片鱗は感じられた。

8峰の9峰間の鞍部からの路には、諸所に通行止めの幕がある。

工事中だった5峰と4峰間の釣り橋は、「雲の橋」という名のようだ。

当初の予定では今日は雲長山だけで、明日、九峰山に登りに来る

つもりだったが、1日掛けて来ても、工事中ではもったいないだけ。

暑くて辛かったが、短い旅行中では、無駄ではなかったと思いたい。

麓から九峰山を見上げると、左から8峰以下の岩峰が並んでいる。

往復した木橋や、5峰と6峰間に張られたワイヤー線も見えている。

バス道まで出てきたが、試練はこれからだ。時刻は既に6時過ぎ。

バス停は見当たらない。鎮安(チナン)に向かって歩いて行こうか。

実は反対方向なら、すぐ近くにバス停があったのだが気づかない。

20分歩くとバス停があった。時刻表は付近全部の路線が記され、

どれがこのバス停を通過するのか分からない。近所の人に聞くが、

ご存じなく何カ所かに電話して頂いた。19時50分にあるという。

もし来なかったら、トイレも有るしバス停で寝ようかと言ってたら、

19時5分、猛スピードで小型バスが来た。必死で止めて乗り込む。

大幅に遅れていたバスなのかもしれない。とにかく凄いスピード。

20分程で鎮安のバスターミナルに到着。乗客を降ろしたバスは、

また猛スピードで走り去った。明るい内に鎮安に戻れて良かった。