摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

寒谷北尾根を下り、寒谷南尾根を登り返す

11月8日の土曜日は、朝から曇り空、だが明日は雨だというので、

頑張っていつもより早く家を出て、摩耶ケーブル山麓駅に向かった。

コメント欄から情報をいただいた、寒谷南尾根を登ってみようと思う。

摩耶東谷の紅葉は進んでいない。ロープウェイの車内は、幼稚園児と

そのお母さん達が多い。摩耶山上で何かの、イベントがあるのだろう。

家族は子供にバンバン!と銃で撃たれ、2度も死んだふりをしていた。

今日は三菱重工の全山縦走日だった。掬星台にはゼッケンを付けた

人達が沢山いる。明日は神戸市の全山縦走日だが、雨になりそうだ。

掬星台周辺の紅葉もまだまだで、トイレの前のモミジだけが赤かった。

今日歩く予定の尾根を見下ろす。左から下っていくのが寒谷北尾根。

右上へ登り返すのが寒谷南尾根。以前一度登ってみたことがあるが、

不安定な浮石の多い急斜面で、とても自分は登れないと思っていた。

オテル・ド・マヤの手前、岩の丘に上る道から、東側に向けて踏跡が

伸びている。適当に踏跡を辿って行くと、ジャグジー脇に出てしまう。

以前は、もっと下の藪の中に踏跡があったが、藪が繁って歩き難い。

この付近からは、掬星台の東斜面が良く見える。ところで、ホテルの

ジャグジーの利用時間は、午後3時から、それまでには通過したい。

寒谷北尾根には、良い道が続いている。ダム建設時の作業路かと

思っていたが、かなり古い地図にも、破線路が記入されているので、

薪炭の搬出路とは思えないが、昔からある道と考えても良さそうだ。

中腹の岩場まで下って来た。この尾根の中腹は鎧のような岩場が、

帯状に続いている。この一か所を除いて、容易には通過できない。

対岸には急峻な寒谷南尾根が見えている。尾根上には岩場もあって、

かなり険しい様子が伺える。はたして登れるものか不安になって来る。

ガリー状の溝を下って行く。今の時期は、枯葉がとても滑りやすい。

下部が岩場となって切れ落ちている。ハムは怖いので、後ろ向きで

下ったが、バランスの良い家族は、最後まで前向きで下って来た。

ガリー状の最後の部分を振り返る。右手へ落ちるとかなり下まで・・。

松の落ち葉が積もっていると、滑りやすい。斜度は大したことない。

後は良く踏まれた道を下るのみだが、最後にもう一つ難所がある。

上部の岩場が非常に脆くて、落石の危険がある急なルンゼを渡る。

新しく白い落石がある。渡った所からは、真直ぐ杣谷に下って行く。

存外簡単に摩耶第3堰堤上に降りた。今まで木の袋谷出合から、

回り込んでいたのが不思議に思う。台風18号で台地も崩れたし、

第3堰堤の乗り越しから河原に降りて、此処から登る方が容易だ。

この堰堤上には、寒谷が滝となって流れ込む。杣谷道からは見えず、

イカーの多くは、この滝の存在は知らない。今日は水量が多い方。

これで岩の色が白ければ名瀑だろうが、冬にも凍らず注目度は低い。

さて南尾根には何処から登ろうか。と思っていると寒滝と堰堤間が、

岩場が途切れて登れそうだ。家族には待っててもらい登ってみよう。

もっとも、今日は大丈夫だが、水量多い時は渡れないかもしれない。

10メートルも登れば、斜面は緩やかになった。これなら登れそうだ。

家族を呼び、本腰を入れて登り始める。右の岩場の向こうは寒滝。

落石を起こさぬよう、ゆっくり登り、詰まった所で右の岩尾根へ移る。

すでに寒滝の落口よりは、上に来ていたようだ。対岸は寒谷北尾根。

ムべの実が成っているが、断崖なので、手を伸ばすことも出来ない。

岩尾根の上流側に、浅いルンゼ状のガレ場があった。此処を登ろう。

下部は藪が煩いが、登るにつれて薄くなる。岩は安定しているようで、

そうでも無さそうだ。ときおり大きな岩塊が、グラッと揺れたりもする。

ルンゼの幅が漏斗状に狭まり、大きなチェックストンがある。ここは、

家族に行って貰う。今日の装備は専らハムが先行する予定なので、

落石を案じて家族だけメットを被ってもらっている。その他は皮手袋。

チャックストンを越えると、またルンゼの幅が広がり傾斜も急になる。

岩塊は小さくなり不安定さを更に増す。複数で入れる場所ではない。

一直線に薙ぎ落ちるルンゼは、「寒谷ルンゼ」とでも呼びたい豪快さ。

急なルンゼを最後まで詰め切ると、大岩のある支尾根に飛び出した。

黄色いテープが灌木に巻いてあった。「長峰大好き」さんのものかな。

支尾根は直ぐに斜面に消えた。藪を分けて右手の尾根に這い上がる。

見えているのは、木の袋尾根の頭だろうか。高度は稼いでるみたいだ。

下から見上げると岩場の様だったが、近づいてみると岩場ではなく、

数m四方の岩が積み重なっていた。全部で何個ぐらいあるのかな。

この辺りは寒谷北尾根からも、急な岩場のように見えている所だ。

大きな岩を乗り越して行く。上部では、長峰山方向の展望が良い。

ところで、これ等の大岩は、どうして此処にあるのだろか。まるで、

大きな岩の塔がポキポキ折れて、倒れ込んだように見えるのだが。

大岩群を越えると、直ぐ尾根は緩やかになる。北尾根から見た通り。

あっけなく山寺尾根に飛び出す。緊張していたせいか短く感じた。

標高も思ったより、低い所に登り着いた。掬星台まではもう一登り。

いや水平道合流点からの、階段道を考えると、もう二登りはあるな。

(この山行は、「長峰大好き」さんの情報を元に歩きました。感謝。)