摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

星ヶ城山(817m)・・・・・・香川県・小豆島

小豆島に来たのは4度目になる。最初に来たのは30数年前のこと。

寒霞渓から星ヶ城山に登った。紅葉の季節だったが景色は期待外れ。

観光地然とした寒霞渓はもちろんだが、山頂からの展望にも失望した。

坂手港の観光案内所。というか地域のコミュニティセンターのようだ。

上の写真は午前7時半。碁石山に登り11時半に帰ってきた時には。

もう2・3人増えてたかな。ベンチのオジサンに頼んで自転車を借りる。

明日の夕方までと言ったら1500円の請求。思ったよりも安かった。

土庄までは、19キロあるし天気も悪いが、大丈夫かとも言われる。

苗羽への峠から、手前が洞雲山。左奥のピークが碁石山なのかな。

とても星ヶ城山を、越えて行くとは言えなかった。歩いて登っても、

つまらないだろうから、通称=ブルーラインの県道29号線を上り、

27・26号線を下って土庄に向かう予定。苗羽の醤油工場が続く。

草壁の町で国道436号線から、県道29号線に入る。この道沿い

にも醤油工場があった。交通量は少なく側道もあるので走り易い。

前方に大きなダムが見えてきた。内海ダムというまだ新しいダム。

この登りで既に、自転車は乗っていられない。押して歩いている。

乗り越しに寒霞渓山頂13kmの標識がある、思ったよりも遠いぞ。

走行距離は調べてなかった。817mの山に自転車を押して登って、

下りはダウンヒルで楽に下るという計画というか、妄想だったわけ。

そもそも家族は変速器の無いママチャリ。押して登ることが前提だ。

ところが、借りたレンタサイクルには変速器がついていた。これが、

後々家族から恨まれる事になる。ハムは軽いギアで多少の登りは

何とか走れるが、家族は重いギアで付いてくるのが大変だったよう。

第14番霊場の清滝山(キヨタキサン)に着く頃には、押し歩きしか

できなくなった。内海ダムで見た13kmの標識が気になる。経験上、

林道歩きは12kmが限界。体力的な問題ではなく精神的なものだ。

昔から大峰の沢登りなどで、長い林道歩きをしたが12kmを越えると、

家族もハムも、歩くことが嫌になってしまった。ヘアピンカーブが続く。

寒霞渓山頂まで6.5kmの標識。最高所は後4km位であってほしい。

ヘアピンカーブでは眺めも良くなるが、楽しんでいる余裕はない。

大分登って来たと思うぐらい。この時点で小雨が降りだしている。

福田へ下る三叉路手前。緩く見えたので乗車してみるが、10mも

走れない。まだ道は上っている。全般に傾斜のキツイ道路ではない。

ロードレーサーなら登りきるのは難しくはないだろう。と負け惜しみ。

三叉路を過ぎると緩やかな下りになる。もう登りが無いことを願う。

気持ち良く下って行くと、星ヶ城園地への案内板があり脇道がある。

このまま下ってしまうと、何処が最高所だかハッキリしない事になる。

疲れてはいるが、もう一登りしよう。500mほどで駐車場に辿り着く。

展望台でもあるかと思ったら、樹林の中の駐車場には案内板が一つ。

これを見ると、星ヶ城の頂上まで600m。計画では車道を走るだけで、

山頂に登るつもりはなかったけど・・。この位の距離なら行ってみよう。

正直な所、自転車から離れたい気分になっていた。それも理由の一つだ。

立派な杉林の中の歩道を、行動食の「いわおこし」を齧り乍ら歩いて行く。

駐車場から600mというのは、観光客用に多少誇張があったようで、

体感的には400m位の登りで、祭祀壇跡のある星ヶ城山東峰に到着。

山城の跡だけに、山頂付近は緩やかだ。樹木も多く展望は良くない。

南東にだけ狭い展望があるが、海の大きさは感じられず魅力はない。

時間も無いのですぐ、駐車場に戻り出発する。もう上りは無いはず。

本道に出るまでは、少しスピードも出してみるが、スリップが怖い。

寒霞渓にはモミジが多いが、それは観光用に植林されたものか、

星ヶ城山上には落葉樹は少なく、それも黄葉する木がほとんどだ。

29号線に出てからは、ブレーキを効かして、ゆっくり下って行く。

斜度も適度だし、観光バスが数台の外、車もほとんど通らない。

雨に濡れて少々寒いが、気持ち良く走れた。それも束の間の事。

寒霞渓山頂。つまりは、ロープウェイの山上駅のある所に到着。

掬星台に比べると随分賑やかな所で、大きな土産物屋があるし、

レストランは3軒もある。1億円トイレは綺麗な上に、中は暖房中。

山上からの寒霞渓の風景を楽しむ。ロープウェイが行き交うのを、

待ってみたりもする。摩耶山よりもゴンドラが大きい。支柱が多く、

風景を楽しむためか、架線の位置は低い。片道5分で750円也。

寒霞渓は渓谷美と称されることが多いが、その見所は崖であって、

谷そのものではない。岩の色が黒いので、今一つ冴えない風景だ。

それだけに紅葉の時期こそ、黒い岩との対比が喧伝されるのかな。

星ヶ城山の頂上から下って来たのだから、もう上りは無いなんて、

思っていたら大間違い。山上駅から一旦鞍部に下るとキツイ登り。

これが四方展望台入口手前、2km近くも続いた。もうバテバテだ。

山上駅出発は午後4時過ぎ。「晩飯に間に合うかな?」て言ったら、

「そんなことよりも、暗くなる方が心配!」と、家族にたしなめられる。

やっと上りが終わった。「下り急勾配・ブレーキ加熱・ローギヤ使用」。

上りが無くなったのは良いが、急傾斜の下りが続く。ブレーキを強く

掛け続けることになる。自転車にはエンジンブレーキが付いてない。

この時点で午後5時。幸いな事に下り一方で、登り返しはなかった。

だが、土庄の市街手前で、真っ暗となると共に、雨が本降りとなった。

雨中、交通量の多い道は緊張する。ホテルには午後6時に到着した。


今日のBGM


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小雨降る星ヶ城山はとても静かだった。風の音も鳥の声も聞こえない。

通り過ぎる車も、僅かに数台でしかない。何故か思い浮かんだこの曲。