摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

拇指岳(372m)・・・・・・香川県・小豆島

昨夜の雨は、断続的に朝まで続いていたようだ。朝食の間も、

激しく降っている。ホテル出発は、大幅に遅らせて9時半過ぎ。

西側の土庄から、東海岸に面した橘地区へは、20kmくらい。

昨日の疲れもあるので、今日はゆっくり自転車を走らせていく。

苗羽の手前から左折し、436号線は福田港へ向かう。橘へは、

急峻な峠越えかと思っていたが、新しいトンネルが出来ていた。

その上、2m幅の歩道があるし、構内もとても明るく走り易い。

今まで自転車で走ったトンネルの中で、最も走り良いトンネル。

トンネルを抜け、急な道を下ると橘。見上げる岩場が拇指岳。

ではなくて、全体は「千羽ヶ岳」と呼ばれているようだ。ただし、

観光地図等で、拇指岳と記されている場合もあり一定しない。

正確には、手前にある尖峰だけを拇指岳と呼ぶ。この山には、

30数年前に一度だけ登っている。拇指岳が登攀のゲレンデと

なっており、当時所属していたクラブの6人で練習に来たのだ。

確か神社裏から登ったと思うのだが、その神社が見当たらない。

すると細い農道の奥、幅50cm程の路地を登って行くとあった。

上の写真の石垣と、奥の民家の間を抜ける。自転車も上げる。

参道下の空き地に、自転車を停めさせて貰う。30数年前は

事前に地区の許可を得て、境内にテントを張らせてもらった。

先輩の軽四ワゴンに乗って、姫路からフェリーで来たのかな。

もう断片的な記憶しか残っていない。神社裏手の林道に出る。

何処から取付くのか思いだせない。細長い私製道標があった。

石垣横の細い道を登る。上は背の高い笹が繁り雨露で濡れる。

道標類はないが、昨日登った碁石山よりは、よほど道は良い。

ただ昨夜来の雨で、足元は悪く滑りやすい。湿気が多く暑い。

いつもは枯れているだろうが、今日は水流がある谷筋を詰め

岩壁に突き当たると、登って来た道は、左右に分かれている。

左が拇指岳の取付きへ、右が千羽ヶ岳頂上へ向かうのだろう。

急な岩場が続くが、登攀後の下降路としての役目があるので、

要所に残置ロープがあり、登って行くのはさほど困難ではない。

右手は垂直の断崖だが、その割には、道の斜度はキツクない。

岩には才能も筋力も無いことを思い知り、2年足らずで辞めた。

その間、屏風岩や錫杖岳も登ったが、拇指岳には楽しく登れた。

ロープが2本張られた急斜面を登りきると、拇指平と呼ばれる

プラトーに出る。着いた所は樹林だが、東西どちら側も岩場で

拇指岳方向の眺めが良い。まずは西側のテラスに出てみよう。

残念ながら拇指岳はガスに覆われ、うっすらと影を見せるだけ。

晴れることを願って、待つことにしよう。行動食を此処で頂こう。

とはいっても、昨夜泊まったホテルでいただいた茶菓子を3種。

左下には橘地区の建物群。町営住宅なのか5階建てのビルが多い。

往時には、目の前の壁を登るのに必死で、風景に興味はなかった。

拇指岳の全景も覚えてはいない。ただ内海湾が白黒で記憶にある。

30分ほど待っていても、一向に晴れないので東側の岩場に移動。

此方側の方が、拇指岳の全景が見易い。薄くなったり濃くなったり、

ガスは次々流れて行くが、一向に晴れる様子はない。仕方ないな。

その昔に来た時には、2本登っている。1本目はセカンドだったが、

2本目はトップで登った。何れもA1の連続。今はそんな登り方は

しないだろう。ピッチごとに良いテラスがあった事を記憶している。

帰りのフェリーの時間もあるし、千羽ヶ岳の頂上へ登ったところで、

ガスで何も見えないだろうから、拇指平を最高点として下山しよう。

下りは更に滑り易い。残置ロープに頼りきりでずり下がって行った。

自転車の置いてある荒神社に戻って来た。また橘トンネルを抜けて

苗羽から坂手へ向かう。途中で雨が強く降って来た。観光案内所に

自転車を返し、待合所で17時45分発の神戸行きのフェリーを待つ。



今日のBGM

So wake me up when it's all over When I'm wiser and I'm older

All this time I was finding myself And I didn't know I was lost