摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

碁石山(435m)・・・・・・香川県・小豆島

9月だったかラジオ番組の懸賞で、小豆島のホテルの宿泊券を頂いた。

紅葉には少し早いが、11月初めの三連休を絡め、泊りに行くことにした。

調べると、神戸税関裏の第三突堤から、小豆島行のフェリーが出ている。

神戸を夜中の1時に出港し、小豆島の坂手港に7時15分に到着した。

ところで、泊まるホテルは土庄町にある。小豆島は小さいようで大きい。

自転車で移動しようと思って、家にある1台は、フェリーに乗せてきた。

もう1台はレンタサイクルを借りよう、観光案内所は8時半からなので、

その前に、坂手の町の裏の碁石山に登ろう。2時間位で戻れるだろう。

これが大間違いで、結局の所、4時間もかかって戻って来ることになる。

フェリー乗り場から坂手の町を抜けて、山に向かう舗装路を歩いて行く。

50分も歩いた所に、一心寺という寺がある。此処までは車でも入れる。

後で調べると、小豆島霊場八十八ヶ所巡り第3番 観音寺奥之院・隼山。

霊場巡りに興味はなくて、事前に全く知識が無い。これが勘違いの元。

上の写真、右手の道標に、洞雲山へ525m。碁石山へ900mとある。

家で調べた観光案内でも、舗装路が山頂近くまであると思いこんでた。

コンクリ舗装の細い道が、岩場の裾を巻いて行く。洞窟の中に祠がある。

この時には気づかなかったが、此の場所が、洞雲山への取付きであった。

寺社に興味がないので、スルーしたが、この近くにも小さなお寺があった。

実はその寺が、先ほどの道標が示す「洞雲山」だったのだ。寺院に山号

いうものが有るのは知っている。だが通常は、青葉山松尾寺の様に併記。

又は単独であれば、松尾寺と記される。だが小豆島では山号だけのよう。

さらに進むと、大きな大師像がある。実はここが第2番の「碁石山」なのだ。

「ゴイシヤマ」と読んでいたが、山号なら、発音は「サン」か「ザン」であろう。

ゴイシザン又はゴセキザンと呼ぶのが正しいと思うが、どうか分からない。

大師像の脇から階段を登る。道標はないが、頂へは高みに登るしかない。

碁石山の本殿は、此の先を下った所だが、時間が無いので立ち寄らない。

階段は小さな祠で終わっていた。そこからは適当に岩場を登って行く。

一見すると脆そうな岩場だが、実はしっかりしている。噴出した溶岩に

岩や小石が埋め込まれているような岩場で、ホールドには事欠かない。

少し登れば視界が広がる。足元には苗羽(のうま)の町。醤油工場の

黒い建物が印象的だ。それにしても天気は悪い。今にも降りだしそう。

星ヶ城山は、山裾までガスに覆われている。内海湾の色も冴えない。

北側には、大岳が怪異な姿を見せている。小豆島は寒霞渓が有名だが、

標高の低い山にも特異な風景が多い。その割には世間の認知度は低い。

この岩場には、岩蓮華 (いわれんげ)が多い。摩耶山では東山尾根に

見られる。但し、種類がちがうのか、これほどのキレイな花は咲かない。

当初のつもりは、寺まで歩いて行って、裏手の岩を登ればそこが山頂。

さっきの岩場は正に、そんな感じだが、見上げれば山頂はまだまだ上。

岩場からウバメガシの二次林に入る。登山道とは呼べない踏跡を辿る。

主稜線に出るが、やはり道標はない。北側の高みに向かい歩くのみ。

天気が悪いせいもあるが、暗い照葉樹の森の中、道もはっきりしない。

前方にピークが見えた。いったん鞍部に下り、登り返せば山頂だろう。

山頂手前には地面から直接、葉っぱが生えている様な植物の群落。

これが何故だか、山頂と海が近いことを感じさせる。摩耶山でいうと

ミヤコザサのような存在だろうが、この後、登った山では見なかった。

測量用のポールが立つ、碁石山の頂上。私製の山名板が一つだけ。

此処まで道標は全く無い。麓からあれだけ目立っている山なのに・・。

小豆島の人口は約3万人だが、登山する人は、よほど少ないのかな。

北西方向が少し伐採されていて、小豆島の主峰・星ヶ城山が望める。

ガスが下り山頂が見えるが、天気が快方に向かっているのではない。

手前に大岳。此処からも道があり、大岳経由で苗羽に下れるらしい。

山頂から東側に進むと、大きな岩場がある。登ってみると展望がある。

ただし、一畳ほどの外傾した頂部は、落ち着いては座っていられない。

今日はまだ土庄まで、自転車で走らねばならない。早々に下山しよう。

元来た道を戻り、大師像からの合流点をすぎて、主稜線を西側に下る。

この間、一枚の写真も撮っていない。照葉樹の暗く不快な森が続いた。

岩場に出て振り返る。足元の朱色が大師像。右上ピークが碁石山頂上。

これも後で調べたのだが、この付近が山としての洞雲山の頂らしい。

麓から見上げれば、山頂に見えるだろうが、下ってくると尾根の末端

に過ぎない。道は相変わらずはっきりしないが、まあ何とかなるだろう。

主稜線は断崖となって切れ落ちる。此処で南側のウバメガシの林に

道は続いているようだ。最後にもう一度振り返る。標高こそ低いけど、

特異な風景だ。貴重な観光資源だと思うが、生かされていないようだ。

落葉で滑りやすい急斜面を下って行く。右手は切れ落ちているが、

展望は無い。一か所抜けた所があり、坂手港が大きくなって来た。

岩の基部まで下ると少し迷うが、裾を巻くように道が続いていた。

この付近の岩はボロボロに風化している。落石を起こさないよう

慎重に下って行く。左下には先のコンクリ舗装の道が見えている。

岩場の裾を回り込んで行くと、洞口に祠があって参道がついている。

そういえば、登ってくる時に見上げた洞窟。此処が洞雲山の取付き。

一心寺からのコンクリ舗装の道に出た。元来た道を坂手港まで戻る。

途中、最新の登山スタイルの御夫婦に、「まだですか?」と聞かれて、

「まだまだですよ。」と答えたが、彼らの目的地は何処だったんだろう。