朝から、今にも降りそうだった天気は、どうにか持っている。風は強くて、
ガスは相変わらず、濃淡を繰り返しているが、幸い雨粒は落ちてこない。
岩峰に架けられた吊り橋を渡って、少し下ると前方には、またしても岩峰。
このピークが伽馬峰(309m)であり、まだ行程の3分の一も来ていない。
振り返ると岩峰の橋げたが見える。よくあんな所に資材を運びあげたもの。
歩いて来た限りでは、ヘリポートや資材置き場となる場所は全く無かった。
伽馬峰(カマポン)からの下りは、また階段。ハイカーに過保護過ぎるかも。
此処は大きく鞍部まで下って行く。進行方向には、やっぱり階段道が見える。
木製の階段道を登って行くと、ようやくガスが晴れ日が差すようになった。
北側を見下ろす。泗川市へ向かうフェリー乗り場からの、バスが走っている。
沖合いの養殖イカダが、きらきら光って綺麗だった。長閑な眺めが心地よい。
階段道が終わると、佛母山へは、節理の細かい岩場を縫うように登って行く。
岩尾根に亀穴のような水溜り。カエルが数匹いたので常に水があるのかも。
東西に細長い佛母山(399m)の山頂。標識はタルバウイ(400m)とある。
本来は最高峰であるが、名前の良い智異山に、その首座を奪われている。
佛母山から下った鞍部に、テント張りの店。マッコルリを飲ますのだろう。
飲んでみたいとも思うが、此の先も岩場が続くので酔う訳にはいかない。
道標によると、あと700mも無いのだが、なぜか遠くに見える智異山。
小さな起伏が続くからだろう、実際に歩いてみれば、すぐに山頂に至る。
智異山頂。以前は遠く智異山が望めるというので、智異望山という名前
だったが、現在は山名標識や観光案内でも、智異山と表記されている。
だが、手元の2007年発行のガイド本には、智異望山と書かれている。
この山のシンボル的な岩場が山頂直下にある。此方からは難しそうだが、
反対側から容易に登れる。この岩の上にハイカーが沢山いる写真を見て、
登りに来たという訳だ。今日は誰もいなくて、余り魅力的には見えないな。
むしろ、その先の細い岩尾根の方が面白かった。右下には一般道がある。
この後は、細かい節理の発達した岩場の道を、どんどんと下っていく。
島の北側に下るか南に下るかの分岐点。少々悩んで南のトンヂ村に下る。
海に飛び込むような下り。青い空が海に写り、多島海の美しさが際立つ。
登山道は内陸の谷に向かうが、海岸沿いの車道に下る踏跡に誘われる。
正規のコースではないのだが、車道を歩いて行けばトンヂ村に着くだろう。
午前中の曇天は何処へやら、すっかり晴れ上がった。海岸線が美しい。
トンヂ村に到着。売店でバスに時刻を聞き、マッコルリとアイスを買う。
次のバスまで20分程ある。バス停は陽射しがキツイので、少し離れた
東屋でセウカン(エビセン)を肴に、マッコルリを飲みながら待っていた。
30分過ぎてもバスは来ない。でも終点だから大丈夫と思い込んでいた。
そしたら突然、背後からバスが現れ、バス停で停車もせずに走って行く。
隣で待っていたアジョシと、必至でバスを追いかけるが、間に合わない。
呆然としていたら、戻って来いと声がかかる。どうやら港にいた人が、
フェリー乗り場方面に帰るので、自家用車に乗せてやろうとのことだ。
無事フェリー乗り場に到着。ハム達を置いてけぼりにしたバスもいる。
言葉が出来ず、車に乗せてくれた方に、十分にお礼が言えず心苦しい。
この場からお礼を言いたい。この韓国の山旅は、親切な韓国の人々の
おかげで続けられている。だが市内バスは手強く、この後も苦難が続く。
カオチ港に戻って来た。明日は巨斉島の山に登ろうと思ったのだが・・。