摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

長峰山西面から大月台まで斜降する(後篇)

4月5日の土曜日。ハチノス谷東尾根から支尾根を下り日柳川に

降りてしまった。下流には滝があって、沢沿いに下るのは難しい。

そこで、更に東側の斜面を、進んで行くことにした。幸いなことに、

この付近は緩斜面で藪も薄い。日柳川の流れの上を平行していく。

イノシシの作った道を拾って行く。ツバキの花が獣道を示している。

幾つ渡ったのか覚えていないが、日柳川に流れ込む支沢が多かった。

何れも浅く、多くは涸れていて通過はできた。スリットダムのある辺りで

両岸が急斜面になるので、それまでには東側の巡視路に出たいと思う。

振り返ると天狗梁が遠くに見えていた。上から覗き込むと川床まで

垂壁なのかと思えるが、こうして見ると、樹林帯が中段にあるようだ。

片斜面が続いて、左足が痙攣し始めたころに、ようやく巡視路に出た。

このまま巡視路を下ってもよいが、ふと3月25日に見た高圧線沿いの

伐採地を思い出した。此処まで来たら、そこを歩いて大月台まで行こう。

神戸東線二六鉄塔から、よく確かめもせずに、東へ延びる伐採地に入る。

この時は、3月25日見た高圧線が、篠原線であったことに気づいていない。

東に向かって伐採地が続いているし、断続的に踏み跡もあるようなんだが、

上下を探しても巡視路はない。棘の木の多い伐採地を強引に進んで行った。

浅い谷を渡ると、神戸東線二七鉄塔が近くなるが、やはり巡視路はない。

相変わらず棘の木が多くて、手を刺されたり、服を破いたりして難渋する。

二七鉄塔下には、見覚えのある巡視路があり、ようやく間違いに気づいた。

少し下れば東西に展望の良い伐採地。平行する別の高圧線を歩いていた訳。

此処からはハッキリした巡視路が西に向かっているし、関電の標識もあった。

それにしても良い景色だ。標高が高い所よりも、何だか視界に広がりを感じる。

都会に近いのに、住宅地が迫ってなくて、穏やかな山裾が広がってるのが良い。

篠原線一三鉄塔下。2米程の高さで伐採された桜が、健気に花を咲かせていた。

今日も伯母野山町には下らず、篠原線一四鉄塔下を、直進して大月台へ向かう。

さて昭文社の地図では、いまだに長峰山の一般道として2系統のバス通りから、

伯母野山への車道を記載しているが、それは大月大橋が無かったころの話で、

今は六甲ケーブル下まで市バスに乗り、この登山口から登る方がよほど近い。

大月台には桜並木が多い。標高が高い分、六甲道辺りよりは、少し遅い開花。

神戸に住んでいると、何処かに桜見物に行く必要はない。諸所に名所がある。

ましてや標高差があるので、遅くは摩耶山頂の5月上旬まで花見が楽しめる。

先に市バスの話を書いたが、それは一般ハイカー向けの話で、節約生活には、

バス代も惜しいので、阪急六甲に向かって六甲川沿いを、いつも歩いて帰る。

まあ、この季節は楽しみもある。大土神社の桜を見た後は、神戸大学農学部

立ち寄る。キャンパスが狭い割には桜の木が多い。構内には人気も無く静かだ。

理学部まで回り込むと、桜並木のトンネルがある。それにしても人がいないな。