摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

長峰山・天狗塚堰堤から炭山川源流を遡行する

3月22日の土曜日は晴天だというのに、阪急六甲の歯医者さんの受診日。

今シーズン最後のスキーに行きたかったが、どうも歯車が噛み合わないな。

診察が終われば10時半。おのずから今日登るのは、長峰山になってしまう。

六甲登山口の交差点で信号待ち。内心イライラしながら、長峰山を見上げる。

山上から下ってくる尾根が、中腹の鉄塔の辺りで二分する。フーンそうなのか。

谷はというと、左手は日柳川。中央の尾根の向こうには谷がある。それは・・・。

家族とは護国神社で待合せ。境内では気の早い桜の木が、花を咲かせている。

伯母野山へ行きたいが、直接上る道は住宅街の、急坂を上るだけでつまらない。

そんな訳で、海星病院裏の日柳川沿いの道を登って行こう。とりあえず緑は多い。

日柳川の取水口の跡を、過ぎると道が二分する。今日の所は東へ直進していこう。

芯少々遠回りだったが目的地である、伯母野山の松陰グラウンドには辿り着ける。

伯母野山からの一般道と合流し、しばらくで昨年に完成した巨大なダムが現れる。

このダムが面白いのは姿だけではない。登山道と川床の境は1米程の土手だけ。

こんな巨大なダムが必要なほど、出水するのだろうか。何か別の目的があるのか。

そこで、このダムを潜って上部の谷を、遡行してみようというのが今日の計画だ。

滑り台のようなコンクリの斜面を登り落口に至る。さして水の流れた様子はない。

クッキー2枚の小休止。鋼製の壁に切り取られた風景だけど、意外に眺めが良い。

日陰もできるし風も吹き抜ける。今日は寒いが、夏には気持ち良いかもしれない。

遠く南港のビルや、あべのハルカスなんかも見える。芦屋沖にはヨットも出ている。

一休みして遡行を開始しようと、ダムの上流を見ると、なんとそこには谷は無い。

掘削工事で作られた斜面があるだけ。柔らかそうな土砂で、今にも崩れそうだ。

直上はできそうにないので、右岸(上流から見て右)から芝の斜面を巻き上がる。

銘板によると、天狗塚堰堤という名で、23年3月着工し25年の10月完成。

堤高14.5m。堤長は64.5mだそう。天狗塚直下にある訳ではないので、

名前はやや的外れな気がする。素直に地名か谷の名前を付けてほしい所。

上流側へ回り込む。「土石流・流木対策指針」により、作られたそうだが、

その為に掘削された斜面が、今にも土砂崩れを、起こしそうなんだけど。

施工した森本組の入札価格は、2億6千9百万円。高いのか安いのか?。

さあ上流の谷を登るぞと、意気込んできたが、谷なんてどこにもないぞ。

それどころか右手の森に、なんか見覚えがある。とにかく登ってみよう。

やっぱりそうだ。一般道が通っている場所。という事は苦労してダムを巻く

必要も無かったわけ、普通に登山道を歩いて来れば、此処に来れたんだ。

すると、一般道は谷底を通っているって事になるが、そんな気は全くしない。

ともあれ一般道は、右手の斜面を登って行くので、道を外れ直進してみよう。

蔦の密生する藪で、足元にはゴロタ石が転がって、歩き難いことこの上ない。

さらに登っても、谷というよりは広い斜面でしかない。それにしても蔦科の

植物の多い所で、特異な風景を作っている。少しでも低い所を登って行こう。

上るにつれ分かって来たが、上から下へ幾筋か、岩が連続して転がっている。

雨天時には、そこが水路になるようだ。その中で最も大きな、岩の連続を登る。

苔むしているが、これらの岩は御影石だろう。石材としてすぐにも使えそうだ。

さらに登ると大きな岩が沢山積み重なり、木の生えていない場所があった。

大岩といえ、不安定な岩もあるので、家族とは左右に離れて登って行こう。

日の当たる所の岩は、苔が白くなっている。岩自体の色というのではない。

当然展望は良いのだが、不安定に積みかなった岩の上は、落ち着かない。

此の場所の周囲は、椿の木に囲まれている。満開の時はキレイに違いない。

さらに登っても斜面の様子は同じ。ツバキの林に岩が連なる所が水路のよう。

標題に源流遡行と書いたが、天狗塚堰堤手前から、一滴の水流も見ていない。

急斜面が続き疲れて来た。先週の雨のせいか土は柔らかく、雪の上を歩いて

いるようだ。キックステップよろしく蹴り込んで、足場を確保しながら登って行く。

登り着いたのは、関電巡視路の分岐わずか下。最近は山頂に行っていない。

久しぶりに天狗塚まで登って、昼食休憩する。空気が澄んでいて展望が良い。