白山書房刊の「関西周辺の谷」では、杣谷の摩耶堰堤上から入渓して、
二股から木袋谷を詰めている。だがそれは30年以上も前の記録である。
現在は摩耶第二・第三堰堤。それに木袋谷の中には5基も堰堤が作られ、
遡行価値を失った。そこで今日は、長峰山頂へ突き上げる岩ケ谷に入る。
岩ケ谷は、摩耶第二堰堤の手前で、右から入り込む杣谷の支流である。
六甲線一二鉄塔のあるハチノス谷西尾根と、一三鉄塔のある尾根の間。
杣谷本流の3mチムニー滝の手前で、右を向くと岩ケ谷の険しい渓相。
両岸を急傾斜の岩に囲まれたV字形の谷だ。奥には、滝が見えている。
入口から見えていた明るい色の花崗岩の滝。6メートルもあるだろうか。
流芯から取り付くが、すぐに詰まって流れの右手に渡り、そのまま登る。
家族は最初から、右手を登って来た。滝下も急傾斜なので高度感がある。
巨大なチェックストンがある滝。ここは左手のバンドを登ったのかな。
次々に小滝があらわれる。どこを登ったものか、もう思い出せない。
二俣がある。写真は右俣の滝だが、水量が多い平流の左俣を登って行く。
また岩屑の詰まった険しいV字形の渓相。とくに左手は背の高い岩場だ。
一三鉄塔の尾根下部の大きな岩場の下にいるのか。岩屑が崩れそうだ。
次にあらわれた幅の広い滝。階段状で登りやすく見えたが、浮き岩が多い。
大きなブロックが乗っているだけという状態だ。押さえつけるようにして登る。
スッキリしているように見える此の滝も、ホールドにした岩塊がグラリと揺れる。
残置ロープがあるが、使う必要は無い。むしろ使うと落石を誘発しかねない。
滝上で振り返ると、ポートアイランドと空港島が見えた。ちょっとホッとする。
ゴルジェ状。奥で急傾斜のV字谷になっていて、登るにつれて水量が少なくなる。
急傾斜のV字谷の最後は、不安定に岩が積み重なった土壁。落石が怖く登れない。
ここで遡行終了。沢筋から離れて、低く見えた左の尾根に這い上がる。踏跡はない。
藪尾根をとにかく登って行く。枝に擬態してるのかな、ピクリとも動かない蛇に合う。
上の写真の少し下で、ようやく巡視路に出た。遡行終了地点から20分のアルバイトだ。
長峰山頂直下の、六甲線一二鉄塔と一三鉄塔への巡視路の分岐点。昼食休憩にする。
伯母野への一般道を下る。雨は上がり視界も開けてきた。遡行中だけ雨降りだった。