摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

杣谷から岩ケ谷を遡行して、長峰山頂へ(前編)

二昔も前になるが、沢屋の間でバイブル的存在だったのが「関西周辺の谷」。

大阪わらじの会が執筆協力した名著だ。正確無比で美しい遡行図が魅力だ。

この本には、杣谷も載っている。ところが自分自身は、遡行した記憶がない。

遡行図には、まだ記載ない摩耶第二・第三堰堤の工事が始まっていた為か。

改めて、読みなおすと、①「すぐに堰堤に行き当たるので、初めから左岸の

登山道を伝う。二番目、三番目の堰堤は右岸に高巻く。」と、書かれていて、

摩耶堰堤の上から遡行開始している。現在は、そこから上のほうが、堰堤が

多くなり土砂に埋ってしまっている。むしろ下流の方が良いのではなかろうか。

杣谷堰堤の上、飯盒炊爨のできる河原の奥で入渓。沢用の足ごしらえに

替える。ナメが発達している。流れの中をヒタヒタと歩いて行くのが楽しい。

此の時点で、小雨が振り出している。夏休みなら子供達が遊んでいる所だ。

ナメも連続するが、左手の岩場には、踏跡が続いている。その部分だけ

岩が白くなっているくらいだから、よほど多くの人達が通行するのだろう。

盛夏には飛び込みたくなるような淵もある。脇から垂れ下がる木の枝が、

短く切られているのは、その為かな。沢の水は冷たいので、気をつけよう。

「関西周辺の谷」では、「すぐに堰堤に行き当たる・・」と書かれている所だが、

どうして、なかなか魅力的な渓相じゃないか。実は此の後、もっと良くなるのだ。

快適にナメ滝群を登って行くと、杣谷第二堰堤に突き当たる。左側を

小さく巻く。高巻き用の踏跡が出来ているので、それほど苦労はしない。

堰堤上は土砂で埋り、ゴーロの河原となる、奥に次の滝が白く見えている。

遠くからは急に見えたが、階段状の緩い傾斜の滝だった。問題なく通過。

斜瀑の上は、川幅一杯のナメとなっていた。川床がやけに赤い。写真では、

茶色に写っているが、実際にはもっと赤く見えた。鉄分が多いせいだろうか。

斜度の緩い2段の滝。ここは流れの左側を抜けたように思うが、定かではない。

両岸を岩壁に囲まれた6メートル程の滝。ここは登れるだろうかと不安になる。

雨が激しく降っている。ここは流れの左手の壁を登った。一見、逆層のように

見えるが、実はガバが連続していてホールド豊富だ。我々でも何とか登れた。

側壁は垂直というほどの斜度ではないのだが、けっこう高度感のでるところだ。

此の上に簡易水道の施設があるが、遡行の邪魔にはならない。ナメが始まる。

広く長い滑。ここで一般道が沢に近づくので、ハイカーの休憩場所として好適。

幸いなことに雨天なので誰もいない。ここは40メートルも、ナメが続くだろうか。

ナメを登って行くと、摩耶堰堤下にいたサギ?が、大きな羽を広げてフワリと、

堰堤上に飛び上がった。両翼の全幅は、1メートルは超えていた。美しかった。

正副2基の摩耶堰堤を一般道で大きく高巻き、河原に下りる。此の辺りが、

「関西周辺の谷」の記事が、遡行を開始する地点であろうか。ナメ15m?。

4mのチェックストン滝。少し戻って、左手の壁に走るバンドを斜上できる。

手ブレしてボケた写真だが、重要な地点なので掲載する。3mチムニー滝だ。

前方上部には摩耶第二堰堤が見えている。右手から岩ケ谷が流れ込んでくる。


(左右は上流に向かってのもの。引用文中の左岸・右岸は下流に向ってのもの)