昨年は、ダイヤモンドポイントから、地獄谷西尾根を下降したのだが、
水晶山第四堰堤から流れ出る水が、異様に臭かった。それで今年は、
この堰堤の上から遡行を開始する。それでも十分に遡行価値はあろう。
此処までは、丁字が辻から一般道を下って来た。この谷は沢に沿って、
一般道があるので、興趣に欠けるというか、ハイカーの目が恥ずかしい。
だが、それ以上に魅力的な小滝と滑が、延々と続く沢なのでガマンしよう。
昼食を済ませてから、沢用の足ごしらえに替える。滑を幾つか過ぎると、
前方に6mの滝が見えてきた。水量は昨年に比べて、2倍もあるだろうか。
6mの滝は、流芯の右手を登る。ホールド豊富。上部で右手の藪に踏跡が
あるが、今回はそのまま流芯の右際を登って行く。スリップには十分注意。
この谷の魅力は滝よりも、延々と続く滑にある。河床一杯に岩盤が広がり、
藪を払う煩わしさも無い。流れの中をヒタヒタと、歩いて行くのが気持ち良い。
やや沢の周囲の壁が立ってきた。屈曲した沢の先は、どんな渓相だろうか。
ミニゴルジェの先には、4mの直瀑が現われる。先の6m滝よりも魅力的だ。
ここは左側から回り込んで、流芯の右手を登るのだが、今日は水量が多く、
滝下でずぶ濡れになるので、無理をして滝壺の右手をへつった。岩が脆い。
4mの滝上も、さらに滑(ナメ)が続いていく。一般道が何度か交差する。
同じような写真ばかりになるが、この連続するナメが、大池地獄谷の見所。
大きな堰堤が見えたところで、右の一般道で巻き上がる。上部は二股となる。
昨年は右俣を遡行したが、流れは細くつまらなかった。今年は左俣(本流)を
登ってみよう。こちらもすぐに堰堤が現われて、もう一度、右を巻き上がった。
もう一度、沢に下って遡行していく。両岸が赤土の露出した独特の渓相だ。
素晴らしい源流風景だ。この上で一般道が交差するので、遡行は終了とした。
朝の内は湿気が多かったが、午後には爽やかに晴れ上る。楽しい遡行だった。
(この記事の左右は上流に向かって。滝の高さは、白山書房「関西周辺の谷」より。)