5月26日の土曜日。桜谷の支流を登っている。水量は少ないが、
岩床の良く発達した谷で、ここまで楽しく登って来れた。が、既に、
東谷やハチノス谷だったら、伏流し藪に行く手を遮られる標高だ。
しかし、この小沢は違った。まだまだ小滝が現われる。此処は大岩を
穿つように流れが屈曲している。明るい日差しが河床まで届いている。
次に現われたのが、見上げるような斜瀑。いや傾斜の緩い三段の小滝だ。
左の写真は、滝下から撮ったもの。下段から上段まで通すと20メートルも
あるだろうか。右の写真は中段から撮ったもの。緩い階段状となっている。
上段のみ、やや傾斜がありホールドも細かい。流れの左側を登って抜ける。
さすがに三段の滝上では、岩屑で谷が埋り、両岸からの藪を払うようになる。
だが二俣が無いせいか、水量はそれほど減じていないし、岩床は続いている。
大岩が谷を堰き止めている様な小滝が現われた。細い水流が健気に流れている。
この小滝を乗り越そうとすると、上流の明るい林の新緑が目に飛び込んで来た。
両岸の尾根が低く、明るい落葉樹の疎林。多少岩屑が多かったり、植生も多様。
水も清らかではないが、大好きだった、滋賀県側の鈴鹿の源流風景を思い出す。
さらに傾斜は緩くなる。下生えの少ない疎林の中を、流れはS字を描いている。
やがて水流は消えて植林帯と笹藪となる。すでに車の走る音が間近に聞こえてる。
奥摩耶ドライブウェイに飛び出す。天上寺駐車場から僅か数十メートルのところ。
ということは、目的の沢を誤っていた。しかし、もうそんなことはどうでも良かった。
「失敗の成功」と家族がつぶやく。楽しい沢だった。まだ知らない所の多い摩耶山。
(この記事における左右は、上流に向ってのもの。)