漢拏山の山頂に至る道としては、観音寺と城板岳の2コースがある。
観音寺(クヮヌムサ)登山口へは、バスの便はなくて、タクシー利用。
済州市庁前から、タクシーに乗る。市外から郊外そして山裾の林間を、
ずいぶん長く乗ってたように思うが、それで料金は7800Wにすぎない。
登山口には、広い駐車場と朝早くて開いてなかったが、コンビニもある。
雑然とした登山道入口。二年ほど前に、入山は無料となり売票所はない。
道は最初の内、沢沿いについている。道も沢も、火山岩で出来ている。
暗い沢沿いの道を抜けて、橋を渡り道は尾根に向かい、急な階段となる。
この橋は気持ちの良いところだった。僅かだが、朝日もさして周囲の林も、
爽やかだ。橋の袂で、初老のご夫婦が休んでおられた「アニュハセヨ」と、
にこやかに挨拶していただいた。韓国の山では、日本のように闇雲に、
挨拶するのでなく、気持ちの良い日や場所で、挨拶を交わすことが多い。
道は尾根に乗ったものの、相変わらず展望がないことには変わりない。
針葉樹の林の中を、ただ淡々と歩き、高度を上げていくばかりである。
歩き始めて2時間で、海抜1400mと記された石柱をすぎる。さらに、
15分ほど歩いて、ようやく前方に、待避所と三角峰が見えてきた。
この時点では、快晴でとても爽やかだった。ましてや展望の無い道を、
延々2時間も歩いて来たので、雲上の別天地にいるような気分だった。
三角峰(サムガクポン)待避所は無人で、売店も無く中はがらんどう。
三角峰から続く稜線の草原が、アルペン的でとても気持ち良さそうだ。
三角峰待避所を過ぎると、登山道は一旦、沢に下り吊り橋を対岸に渡る。
屏風のような岩壁に、囲まれている谷底をしばらく歩く。
岩壁の周囲は、伸びやかな草原が広がって、歩いてみたいと思わせる。
やがて登山道は、尾根に登り返す。済州市が眼下に白く見えている。
三角峰待避所(海抜1500m)から、この付近(海抜1800m)までの、
ダイナミックに変化する風景は素晴らしく、季節を変えて、また来たい。
頂上火口壁に辿りつくと、道は緩やかな木道となり、一気にトーンダウン。
荒野のような風景の中、ゆっくり歩いていくと、山頂とされている一角に着く。