ヨナチョン待避所では、毛布ではなく、マットと寝袋の貸し出しだった。
最初こそ寝袋に入っていたが、夜中には暑くて、寝袋も被らずにいた。
気温が高いのは、雲が垂れ込めていたからか。翌朝は、朝焼けだった。
朝食を済ませて、ヨナチョン待避所を出発。午前7時20分。
出だしは、昨日と同じく樹林帯の中のゆるい上り下り。雲が暗い。
登山度道の脇には、延々トリカブトが紫色の花を咲かせている。
ようやく、見晴らしの良いところにやってきた。振り返ると、
今日も、求礼(クレ)の町は、朝霧の下に沈んでいるようだ。
前方には、天王峰がピラミダルな雄姿を見せている。右下には碧宵嶺待避所。
標高が上がるにつれ、岩の露出したところが多くなった。
全体に女性的な山容の智異山だが、やはり韓国の山だ。
細石(セソク)待避所まで、7.8km。午前8時30分
碧宵嶺(ペッソリョン)待避所は、正面からは1階建てに見える。
割と狭い鞍部に立っており、南北に展望の良い山小屋だ。
この待避所は斜面に建てられていて、実は4階建ての大きな建物。
稜線上にある立派な水場。写真の子らは、高校生で揃いの赤い
ベストを着ている。胸のところに高校名が刺繍されていた。普段、
山に登っている様子ではない。クラス単位で泊りがけの遠足か。
この日は、一日この子達と抜きつ抜かれしながら歩いていた。
天王峰が大分近くなってきた。ガスに巻かれている。
手前の鞍部に見えてるのは、チャントモク待避所だろう。
険しい岩場も出てきた。赤いベストの高校生達を何組も追い越した。
へたり込んでる女の子を励ましてる組や何事か口論してるグループ。
山には似合わないヘアスタイルの男の子、一人飄々と歩いてる女の子。
12時前、今夜泊まるセソク待避所が見えてきた。荷物を置いて、
天王峰をピストンするつもりだ。もう1時間は、早く着きたかった。