摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

摩耶山中腹トラバース成らず

今日は通院日。転居してからも三宮近くの医院に通っている。一月半

ぶりの外出。電車内のマスク着用率は100%。緊急事態宣言前とは

ガラッと雰囲気が違う。そんな事も知らずに毎日を家で過ごしていた。

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さすがに運動しなくてはヤバイなと思い始めたが、行きたい所がない。

そこで長峰大好きさんの「早朝通勤山歩き」を真似してみようと思う。

三宮から水道筋商店街への買い物を口実とした散歩。丸々パクリ企画。

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雷声寺から目標は杣谷下流の永峰堰堤。行程中の約三分の二は過去に

歩いた事がある。既に11時半だが3時間程で行けるかなと甘い考え。

旧摩耶道は最初の階段部分が苦手で、海員慰霊碑から西側尾根へ向う。

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IXY32Sを水没させ、30S中古を送料込みで千円程で買ったが

ボケた写りで駄目だな。カメラは新品を買ってもすぐ潰すし値が高い。

スマホは操作がいちいち面倒。猪除けフェンスの扉を通り尾根に乗る。

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地形図にも破線があるが尾根上の道は明瞭。数年ぶりだが変わりない。

今年は毛虫が多いと聞いていたがその通り。2014年に大発生した

時は夏以降にクモの巣が皆無に近かった。さて今年はどうなるだろう。

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細尾根を辿って行くと雷声寺からの一般道に合流する。笹薮が濃くな

っているし、かつては555ピークの崩落現場が望めた場所だったが、

樹木が茂っている。ここから学校林道の分岐までは当然ながら良い道。

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中央が学校林道で、右手は旧摩耶道。背後には東山砲台跡。南側の道

を直進すると神仙寺通りに下るし、東山尾根への道も合流する五差路。

眺望は無いが好きな場所で、道標のそばに座り込んでよく休んだもの。

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学校林道の分岐からは一旦南側に進むと、東向きの尾根が現れるので

下って行く。この付近は複雑な地形で説明しにくい。以前歩いた時は

鬱蒼とした暗い照葉樹の森だったと思うが、間伐されて明るくなった。

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南に神戸市街を望み。大阪湾を挟み南港のビルや紀泉山脈も垣間見る。

記憶ではこの尾根を忠実に辿れば青谷に下るはずだったが、どうも尾

根は途中から南に向きを変えたよう。前方に見える市街が大きくなる。

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この尾根には神戸市境界を示す明治時代の標柱が幾つもある。97号

まで下って誤りに気付き96号標柱まで戻ってきた。どうも此処から

東へ下るよう。とても分かり難いが急な斜面に細い踏跡が続いている。

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この区間は登りで一度使っただけ。下るのは初めてで印象が随分違う。

傾斜が落ちると細尾根となり、前方には青谷東尾根を大きく望むよう

になる。どんどん道が良くなり、下り着くのは亀の瀧砂防ダムの横手。

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13時5分青谷道に到着する。距離的には目的の半分ぐらい進んでる。

上流に向け歩いて行くと、すぐ対岸に廃屋を見るようになる。不気味

な感じで近寄りたくはないが、この裏手に青谷東尾根への近道がある。

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青谷道沿いの柵の切れた所から対岸を見る。右手に見えるのは廃屋の

門扉。左側つまり上流側には小さな沢が流れ込んでいる。廃屋の裏は

斜面が崩れているし、小沢を詰めると小堰堤があり越えるのに一苦労。

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以前は小沢の右岸に踏跡があって巻き上がったが、倒木等で歩き難く

なっていた。今回は小沢を詰めて小堰堤を強引に越した。立ち塞がる

大きな堰堤は亀の瀧第二砂防ダムという名。左岸の尾根に踏跡がある。

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大昔には通行があったと思うが、今は歩く人はほとんどいないだろう。

登り着くのは青谷東尾根の落葉樹林帯を過ぎ、蔦に巻き付かれた倒木

を越えた所。近道だけど面白さに欠けるので、ハイカー向きではない。

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小さなコルを過ぎると急傾斜の道となる。谷を挟んで東側に青谷東

二尾根がある。微妙な通称だけど一般的になっているので仕方がない。

神戸高校裏からの踏跡があり、この先の神戸港線一六鉄塔で合流する。

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さて青谷東第二尾根から上野道までは水平路が存在する。それなら今

歩いている青谷東尾根からも水平路があったのではないか。傾斜が緩

んだ所で路傍に切り株を見る。何となく東側へ切り開きがあるようだ。

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すっかり消えているが道跡のような。斜度もそれほどキツくないので

トラバースしてみよう。まずまず普通に歩いて行けたが、小さな尾根

乗り越す所で、朽木と知らずに頼った途端折れて、一回転し滑落する。

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数メートルで止った、左手首捻挫と擦過傷数箇所。だが買ったばかり

のワイヤレスイヤホンが飛んだ。探すが見つからない。スマホの音量

を最大限に上げると、落ち葉の下からFMの音声が聞こえてきて発見。

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谷東第二尾根に合流して少し登れば見覚えのある所。上の写真では

右側から上がってきた。左側に露地に倒木でバリケードしてあるのが

水平路の入り口。此処から上野道まで山仕事用のピンクテープが続く。

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最初は良いが先では道が流されている。谷側は急斜面というより断崖。

谷底は岩盤が露出しているので滑落すれば助からない。僅か2mほど

だが30cm幅の所がある。土砂が流され外傾しているのが嫌らしい。

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谷奥まで来て振り返る。先ほど滑落したばかりで少々緊張した。前回

歩いた時は何ともなかったのに、道が崩れたのか、自分が衰えたのか。

他人には絶対勧められないし、自分も2度と歩かないでおこうと思う。

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水平路を進むと青谷東第三尾根の展望地。座るのに良い石があるので

昼食休憩する。とりあえず一番ひどい左腕の擦過傷はエビアンで洗い、

手拭いで縛っておく。捻挫した手首は鈍痛、此処で下山する程でない。

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東側に上野道の尾根が見える。思ってたより遠くに見えるが、巡視路

が続いているので時間はさほど掛からないはず。問題はそこから先だ。

上野道から杣谷間は横切った事はないが、巡視路は何処かにあるはず。

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展望地からも水平路は続く。ピンク色のテープマーキングも続いてる。

勝手な想像では測量か関電関係。水源調査なら赤色と思う。ただ歩く

だけではなく作業し乍らだから、我々とはレベルが違う危険があろう。

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しばらく進むと三叉路がある。下れば神戸高校裏かケーブル山麓駅の

近くに出る。この先も水平路を進んで行くが、やはり年々道が流され

細くなりつつある。前後の鉄塔番号を示す為の関電の標識。頼りない。

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水平路の東端は浅い谷。小さな堰堤の下に火の用心標識が見えている。

四国電力の標識はコンクリ柱だった事を思うとなんだかな。スイッチ

バックするように斜面を登るが、取りつきが崩れているので判り難い。

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最初の内は急斜面の九十九な道で高度を稼ぎ、やがて東向きの緩やか

な道となって浅い谷を渡れば上野道に出る。関電巡視路は資材を運ぶ

のも可能という印象だったが、歩いて来た水平路では難しく思われる。

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石畳の上の道に出た途端ハイカーに出会う。ここから十三丁石までの

間に5名。すべて単独の男性で、意識して間隔を取っておられるのか

と思うほど一定の時間をおいてすれ違う。15時過ぎだが上りが多い。

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上野道を下る。ケーブルの線路を渡らずに済むのは高尾山隧道の上を

越すしかない。もしかしたら巡視路は線路を渡っているのか知れない

がハイカーの身では出来ない。パノラマは見事だが残念な清酒の通箱。

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十三丁石から東へ尾根が続くが、やがて南へ下って行く。谷側へ下る

のも難しそうで戻ってきた。結局は上の写真中央辺りから北側へ下る

ことにする。地理院地図にある破線路だろうが、踏跡は薄く頼りない。

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高尾山隧道の真上に来た。線路を守る為フェンスが張ってある。その

網目から撮った写真。乗車してるとそうでもないが、けっこう急傾斜。

フェンス沿いに下れるかなと思うが、東側は土砂崩れでえぐれて無理。

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少しでも緩やかな所を探すと、崩落地の縁をどん々上がる羽目になる。

もう20分経ったのか次のケーブルが通過する。どうにかズリ下がれ

そうな所を探して下るが、この区間は別の経路があるのかも知れない。

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下り着いたのは貧乏川源流域かな。ここで時計を見ると15時50分。

もう下山すべきと思うが、下って来た所を登り返すのも難しい。両岸

共に急傾斜で、此処から東へ進むのも困難。勿論巡視路は見当たらず。

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仕方ないので左岸の傾斜が緩むまでは遡行しよう。すると源流は三面

護岸の水路となっていた。更に上流はトンネルになっている。貧乏川

下流六甲川に合流するまで暗渠だが、源流も暗渠とは思わなかった。

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暗渠手前から左岸の斜面に取り付く。樹木が混んでいないのは良いが、

手掛りがない。緩傾斜を求めて上がったり下がったりしながら横切る。

時間にして10分足らずのアルバイトだったが体力切れを感じ始める。

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だが巡視路に突き当たった。登って行けば廃墟ホテルに至る道。一度

だけ下った事がある。確か住宅の庭先に出て困ったと思う。すぐ下に

新神戸線一三鉄塔。良い巡視路が東に向かっている。もう少し進もう。

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平坦な谷を渡って間伐された尾根に着いた所。東側は深く険しい谷で、

眼下に丸山公園や立派なコベルコの研究所が見えている。この尾根を

登り返せば東に向かう巡視路が有るはずだけど、時刻は16時24分。

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目標の永峰堰堤はまだ遠い。体力より気力が切れてきた。この尾根を

下ろう。丸山公園でボール遊びする子供の声を聞き乍ら歩いて行くと、

擁壁上端に突き当たる。何となく西側には降りたくない。東側に下る。

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細い踏跡が谷へ続いている。降り立った所で振り返ると廃屋があった。

かなり大きな住宅だったようで敷地も広い。山腹にこれだけの平地を

造成するだけでも莫大な費用が掛かったろう。なぜ打ち捨てられたか。

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住宅があるのだから下界に通じているはず。立派な門柱から下る道が

あったが幅員は狭い。人がすれ違うのもやっと。宅地の広さとは釣り

合わない。車も単車も入らない。でも大昔の建築という感じではない。

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長峰大好きさんのインスタで見た看板。そうか住んでいた人が徒歩で

配達に来る人に向けた言葉だったのか。不思議に思っていた事が解決。

公道に出る手前は階段。これでは車両は入れない。廃屋になった訳だ。

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箕岡通二丁目5の標識から下って来た道を振り返る。上の家は英語塾。

散歩している人がマスクをしているのを見て現実世界にひき戻される。

箕岡通を下って行くと五毛五差路。さらに下って水道筋商店街に至る。

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例のごとく野菜を大量購入して帰る。夜が更けると捻挫した手首が

痛み出す。そのうえ両足が交互に攣って激痛。一月半の運動不足は

伊達じゃない。摩耶山中腹トラバースは達成出来ず。二度目は無い。

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今回の青谷から上野道までのは「鉄塔巡り」さんのブログで教えて

頂いたコースだ。2014年2月に歩いている。残念ながら現在は

閲覧も出来なくなった。もっと昔かと思っていたが僅か6年前の事。