もう四か月以上前のことだが、天狗塚の手前でハイカーに伯母野山町
へ下る一般道の様子を聞かれた。その時は現況を知らず、上手く案内
が出来なかったことが、ずっと心残りだった。それを消化しに行こう。
とはいえ伯母野山からは通行止めであることに変わりないので、六甲
ケーブル下から歩く事にする。平日だが駅舎にはケーブル乗車待ちの
列。以前ならば阪急六甲から歩いていたが、もう体力が追い付かない。
ケーブル駅から西へ向かい大月大橋を渡る。渡ってすぐに右手の山に
入れれば理想だが、フェンスがあり難しい。直進せずに左手2つ目の
辻を緩やかに下って、小橋を渡ると大月台から篠原台に地名が変わる。
周囲は春には桜の綺麗な所。小橋を渡った所から山に向かって行くと、
篠原台22丁目辺り。丸木階段があって入山できる。すぐ西側の谷間
は土砂が剥き出しになっていて工事中。どうやら問題の土砂崩れ現場。
入り口こそ立派な登山道に見えるが、すぐに急峻で歩き難い道となる。
擁壁の上をトラバースして、左折すると高圧鉄塔の下をくぐる。逆に
上から下って来た場合は、迷う事はないだろうが多少不安になるかも。
伯母野山町からの道との三差路。この道標は根元が腐り、立て掛けて
あるだけ。黄色のテープで矢印が作ってある。其方が登ってきた方向。
此処から一旦西に進んで、伯母野山登山口の様子を見に行ってみよう。
草に覆われた松蔭グラウンドを抜けると土嚢が散乱し通行止めの標識。
その先のブルーシートが崩落現場だろう。今まで歩道より上が崩れて
いるのではと勝手に思っていたが、山側は問題なく歩道も残っている。
歩道から山抜けした場所を見る。現在は堰堤から下で復旧工事中だが、
見えている箇所も工事するならば相当の期間が掛りそうだ。工事現場
なので、もし歩行者を通すとすると警備員の配置が必要かもしれない。
それを嫌っての通行止めかと思ったが、どうも違うよう。左側の建物
が新しくできた老人ホーム。伯母野山町の車道からの進入路は完成し
ているが、この道は旧松蔭グラウンドの開発が目的のようにも思える。
バリケード西側の張り紙には「私有地につき立入禁止・地主」と書か
れている。これは重要な点で、神戸市森林整備事務所の掲示する通行
止めの理由とは異なる。復旧工事が終わってもこの事情は変わらない。
バリケードの手前から一段上の林道に抜けられる。西へ進めば日柳川
を渡って仲山の住宅街に出るが、歩き易い道ではないし、伯母野山町
に出るには草の密生した屋敷跡を通過するしかなく、一般的では無い。
元の三差路に戻ろう。先々どうなるかは分からないが、現状では伯母
野山登山口は廃道と考えるべきだが、現行で販売されているガイド本
や地図に記されているので、それと知らずに来る人は絶えないだろう。
旧松蔭グラウンドの様子。道は固いが草木が密生し歩き難い。右上に
見えるのが先ほどくぐった高圧鉄塔だ。松蔭も校有地として利用する
気もなさそうだし、また老人ホームにでも売却されそうな予感がする。
三差路に戻り一般道を進むと、猪が道を掘り返して荒れた路面となる。
まるで耕運機を入れた後の畑のようで、足裏の感触では道と分らない。
この先は草木が作ったトンネルを潜り、転石に足を取られながら進む。
途中の鉄塔付近は関電によって草刈りされていたが、再び照葉樹林に
入ると、道の形状すら怪しくなってきた。一年間人が歩かないことで、
これほど荒れるものか。部分的なので今の所は道迷いするほどでない。
三本の椎の大木。椎の実は食べ易く美味しいので、落果するとすぐに
野生動物の餌になる。一面に割れた殻が落ちてるが、実が残っている
ものはほとんどない。さて此処からが伐採地だが道が見えない程の草。
足元の道は固いが草や笹が生い茂っている。雨上がりや朝露に濡れて
いる時は歩きたくない所。10年位前は大阪湾の展望も良く、草地に
座り込んで食事をしたりしたが、ここ数年で急に草の背が伸びたよう。
伐採地を過ぎると、一般道はようやく落ち着きを取り戻しホッとする。
まずは関電巡視路と道標のある尾根。次にハチノス谷東尾根。最後に
ハチノス谷西尾根の分岐を過ぎると、長峰山頂の天狗塚はすぐそこだ。
今日の目的は伯母野山登山口の様子を知る事だったが、家族はロープ
ウェイ乗車が目的と言う。先週に友の会パスを忘れ乗車できなかった
事が相当悔しいらしい。それに今年は不調続きで余り利用していない。
伯母野山町通り抜け不可の掲示。他の道の記載なくこの図だけみると、
ピストンするか、強引に下ってしまうかの選択になる。篠原台への道
を案内できないものか。最新の昭文社の地図には記されているのだが。
長峰山だけで掬星台に向かうのは物足りない感じがする。杣谷峠から
ドライブウェイを少し歩き徳川道に入る。久しぶりに新穂高に寄ろう。
西側からの方が標高差があって登った感じがするが、今日は東側から。
徳川道から新穂高の道に入る。一時期に比べ歩く人が少なくなったか、
若干、藪が濃くなったような気がする。それでもイノシシが掘返した
ような所はないので、長峰山の一般道より歩いている人は多いのかも。
清浄な笹に覆われた道は六甲らしくて好ましい雰囲気。年に一度位は
歩いておきたい道。途中で展望の得られる所から、三角オニギリのよ
うな新穂高山頂を望む。一旦鞍部へ下り、再び笹を分けて山頂に至る。
樹林に囲まれてスッキリした展望のない新穂高山頂。ガッカリされた
記事はネット上で散見するが、実際には意外に尖峰で、樹林越しでは
あるものの四囲が望める。特に六甲山牧場の建物が間近に見えている。
今日の昼ごはんはスパムおにぎり。近所のスーパーで税込み500円
ぐらいするスパムの缶詰だが、沖縄では300円程度の値段。これは
確か4月に石垣島に行った時に買ったもの。今頃になって使ってみた。
昼食を終えた頃、二人のハイカーが西側から登って来られた。好天を
選んで来られたのだろう。早々に片付けて退散しよう。静かな山頂を
楽しんでもらいたい。我々は西側に下り、展望岩場の手前で左に入る。
本来の道は右に続くが、左に回り込めば数メートルの岩登りで展望岩
の上に出る。家族の調子を推し量る意図もあったが、復調には程遠い。
別山や天上寺の展望が良いが、今日は新穂高山頂の写真をあげておく。
更に下山して行くと、一週間前に歩いた石楠花山が北側に見えてくる。
昼食を摂った展望台はあの辺りか、三角点があるのは何処だろうかと
目を凝らすが判然としない。そうだ向うからも新穂高は見えなかった。
高圧鉄塔を過ぎて徳川道に出る手前の緩斜面。岩がちな道を下って来
た緊張が解けるようで何だか好きな景色。通る都度写真を撮っている。
徳川道に出ると旧知の栗の木に立ち寄って、20個の栗の実を拾った。
桜谷出合まで下ると、Tシャツ半パン姿でサンダル履きの男性に声を
掛けられる。ところが何語なのかも分からない。神戸市が駅で配布し
てるガイドマップを手に、森林植物園への道を尋ねておられるようだ。
とりあえず半端な英語で何処から来たのかと聞くと、USAって答え。
なので英語なのか?。此方の言う事は少し通じたみたい。漢字が読め
ないと東口の仮歩道は難しいし、何しろ持ち物は長傘とカメラだけだ。
ケーブルカーで降りた方が良いよって言うと。まあ納得されたみたい。
余り干渉したくはないが、桜谷道を歩いて来られるのを確認しつつ掬
星台へ。その後の事もあって、あの案内で良かったのか今も悩んでる。
そういや伯母野山登山口も、上手く案内が出来なかったのが事の発端。
一般道を歩いただけだが、考えさせられる事が多い一日だった。残り
少ない人生、悔やんだとて挽回する機会は二度と来ないかも知れない。
今日のBGM・・・家族からのリクエスト
Of Monsters And Men - Dirty Paws (Official Lyric Video)
Jumping up and down the floor,My head is an animal.
Of Monsters and Men - Dirty Paws (Live on KEXP)