2017年6月に社家郷山を一人で歩いている。その時に山上から見た
北面の痩せ尾根を歩いてみたいと思った。ネットで調べると逆瀬川源流
の支沢を中心として三本の尾根が良く歩かれているらしい。2月5日は
晴天の予報。夙川から阪急電車(運賃190円)で逆瀬川駅。登山口のエ
デンの園へはバス便もあるが、4kmに過ぎないので歩いていく。右手に
見えるのが行者山で、左側に見えるのが社家郷山だろうか。同定できない。
正面には意外に低い甲山(309m)。さて逆瀬川駅からここまで瀟洒な
住宅街だが、両岸の道路に歩道がない。その点で宝塚市は住みたくない街。
30年前は、西宮から宝塚に入ると国道の路肩さえ、めっきり荒れていた。
県道16号線が西側へ屈曲して、昭和っぽい団地に沿うようになって、
ようやく歩道が現れた。左側はゴルフ場。二車線の車道だが狭苦しい。
右手の長大な団地は、後で行者山から見てその大きさに驚く事になる。
宝塚西高校を過ぎると、逆瀬川右岸に奇妙なモニュメントが見えてきた。
ゆずり葉緑地公園。モニュメントは砂防行政を自画自賛するものらしい。
大きな公園だが駐車場はない。そのため、南側の車道には路上駐車の列。
そこをバスも通る。こんなに広い公園を作りながら、なぜ周囲に歩道を
設けないのだろう。更に進むと介護付き有料老人ホーム「エデンの園」
の建物群が見えてくる。逆瀬川駅から此処まで、阪急バスが通っている。
エデンの園で車道は終わる。奥の駐車場を抜けて、逆瀬川の河原に入る。
背は低いが幅の広い石積みの堰堤がある。河原には幾本も踏跡があって
ウロウロする。右岸からの支流を探すのだが、これが中々見つからない。
ようやく右岸に人口滝のような石積みの堰堤を見つける。水流は無いが
支流と思われる。西側の岩場に明瞭な踏跡が続いているので、巻き上る
ことができる。少し東側に戻ると明るい涸れ沢に下りつく。間違いない。
小休止した後、適当に踏跡を拾って歩き出す。今日は地理院地図を持っ
て来たが、ろくに確かめもせず歩き出す。この谷は二俣がありY字型だ。
その東尾根、中央尾根、西尾根の3本を歩いてみようという計画である。
幾筋もある踏跡のうち、歩き易い所を適当に歩いていくと、風化の進ん
だ岩尾根に乗った。細尾根の上は道と云って良いほどよく踏まれている。
地味が悪いのか木々は矮小で、藪を分けることもない。楽に歩けそうだ。
ただ南に向かって登るので、快晴の今日は陽光が強烈だ。完全な逆光と
なってしまう。風も穏やかで寒さも感じない。盛夏には歩きたくない所。
登るにつれて展望が広がる。この時は東尾根を歩いていると思っていた。
光線の加減か、すぐ東側に尾根が平行してるのに気づいていない。西側
の断崖に注目していたからかも。河原から20分程で主稜線に飛び出た。
次は西側の尾根を下ろうと、主稜線を西に進む。この付近は樹木に囲ま
れ展望はない。次のピークで辺りには、はっきりした踏跡はなかったが
尾根筋と思われるところに、突っ込んでいくと切り開きや踏跡が現れた。
急斜面と緩斜面が交互に現れる。急な所では踏跡が集まり、道らしく
なるが、緩い所では道を失いやすい。先ほど歩いた尾根にくらべると
余り歩かれていないようだ。樹木に覆われて一向に展望が広がらない。
中腹まで下って、ようやく抜けたところがあった。エデンの園の建物
群が異様に大きい。先ほど歩いた尾根は定規で線を引いた様に見える。
再び藪道を歩いて、支流の河原まで下ってきた。最初に歩いた尾根に比
べると余り魅力的では無かった。その分歩く人も少ないように思われる。
一旦、堰堤上まで下って昼食休憩する。日溜まりの中に座っていると
日焼けしそうなほど太陽光が強い。昼食後さて次はもう一つ西側の尾
根へと思うが、地形を見直して間違っていることにようやく気付いた。
堰堤上から東へ数十m進むと尾根のとりつきがあった。これがY字沢
の東尾根だろう。尾根に乗るまでは幾本もの踏跡があって分り難いが、
尾根に乗ってしまえば、こちらも良く踏まれており立派な道があった。
西側に並行して最初に登った中間尾根。その向こうに下ってきた西尾根。
遠方には大平山の電波塔が見えている。中腹に県道82号線が斜上する。
この尾根も樹木は矮小で、強烈な陽光にさらされる。上向きの写真のみ
ならず、コントラストが強すぎるのか、何れの写真も白トビしてしまう。
やはり20分程で主稜線に出てしまった。楽しいが何だかあっけない。
中間尾根は指呼の間で、道もはっきり見える。同時に二手に分かれて
両尾根に登るとか、ドローンを飛ばして上空から撮影すると面白そう。
登りついたのは馬の背と呼ばれる所。すぐ東側に樫ヶ峰が見えている。
山頂は樹木に覆われて展望がない。なので立ち寄らなかったが、結果
的に後でそれが、中途半端な感を残した要因ではないかと家族は言う。
南側に甲山と北山貯水池。右下にはかぶとやま荘が見える。前回は
夙川からバスに乗って来た。その時は一人だったので家族は初めて。
地理院地図には樫ヶ峰しか記されていないので、その名で呼ばれる
事が多い。昭文社の地図には小笠峰や外レ峰。489ピークに社家
郷山と記されているが、まあ山塊全体を社家郷山と云うように思う。
馬の背からY字谷の中間尾根を見下ろす。尾根上の道がはっきり見え
る。前回この風景を見て歩いてみたいと思った訳だが、思ったよりも
歩き易く手応えがない。それに河原からの標高差は130mしかない。
社家郷山だけでは物足りない。前回はゴロゴロ岳から芦屋に下ったが、
今日は北側の行者山に周回しよう。小笠峠からは県道82号線を歩く。
ゆずり葉台への分岐があった。逆瀬川を詰めると此処に出るのだろう。
大谷乗越まで車道を歩き、全部縦走路に入る。今日はここが最高所に
なるのだろうか。平日だがノロノロ歩いていると5人の方に抜かれる。
皆さん単独で走るように歩かれているので、全山縦走の練習だろうか。
家族は一度だけ全山縦走してるが、ハムは歩いたことはない。きっと
体を壊す。その昔に、谷上から田尾寺までのハイキングに参加したら、
ヒラメ筋を痛め階段が下れなくなった。ひと月も整形外科に通ったが
治らず、思い余って中国針を打って貰ったら、たった一度の施術で完
治した。それ以来は、全山縦走に参加しようとは一切思わない。単調
な縦走路に飽きた頃、ゆずり葉台への分岐。行者山とは記されていな
いが多分ここだろう。浅い谷状の地形を訝しく思ったが、やがて前方
に行者山らしき円頂が見えてきた。分岐には地図付きの道標があった。
行者山の山頂は灌木に囲まれ、西側の展望があるのみ。譲葉山、岩原
山が見えているが、歩いてきた全部縦走路はピークを全て巻いている。
山頂から少し下ると南側の展望も得られる。阪急逆瀬台マンションが
異様な長大さ。その向うの深谷貯水池はゴルフ場敷地内で近寄れない。
行者山東観峰を目指して下って行く。名の通り展望が良さそうな禿山。
行者山東観峰の眺望。右手には大阪市内のビル群も見えるが、むしろ
眼下の住宅群に目が奪われてしまった。昭和を象徴するような造成地。
西側には六甲最高峰を望む。普段とは違う角度で見る六甲の姿は新鮮。
行者山東観峰(383m)からは、北逆瀬台登山口を目指して下るが、
歩き出すとすぐに住宅が迫ってくる。北逆瀬台の標高は200mある。
迷路のような北逆瀬台から阪急逆瀬川駅まで徒歩40分。やはり駅
のごく近くを除いて歩道はない。駅前は再開発されて関西離れした
雰囲気だが、数十年前に宝塚市に受けた印象は変わる事はなかった。
家族に今日の感想を聞いてみると一言「長い散歩。」と返ってきた。
快晴に恵まれ展望も楽しめたのだが、なぜか達成感も充足感もない。
最高所は車道だったり、ハイクの目標となる場所が無かった為かな。
スマホの万歩計アプリでハムは38402歩、家族は42238歩。
確かに長い散歩だった。トレイルランナー向けのコースだったかも。
今日のBGMは宝塚という事でフレデリック。YouTubeのコメント
はスペイン語・ポルトガル語が多い。英語の物も南米からだったり。
フレデリック「オンリーワンダー」MusicVideo / frederic“ONLYWONDER”