摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

シェール道から三枚岩の裾を回って新穂高に登る

この日は久しぶりに新穂高に登りたいと思う。以前はロープウェイを

使っていたが、歩くとなると新神戸から生田川を遡っても、掬星台を

越えても遠い。我が家からは杣谷峠経由が一番近いかと思われる。

という訳でJR六甲道駅から、杣谷を歩いてきた。途中の勧進滝は

全く凍っておらず、穂高湖も表面がシャーベット状になっているのみ。

ここまで単独のハイカー3人と会っただけ。土曜だが人出は少ない。

湖畔に新しい案内板があった。三つ点の地図記号(名勝)で、何と

三枚岩とヌクト(ゲートロック)が記してある。シェール道を歩いても

まず見つけることは不可能。観光案内図に載せるのはどうなのか。

穂高湖からシェール道に入る。この辺りがこの日一番寒くて指先が

痛くなる。寒さに弱くなる一方だ。40年位前に此の道を歩いたこと

が有る。樹木が少なくシェール槍が、岩山に見えたのを覚えている。

その頃ならシェール道から、三枚岩やゲートロックも見えたかも。

石楠花山から生田川に小沢が流れ込む所。此処から見上げると

何とか三枚岩が判別できる。しかし葉が繁る頃には見えなくなる。

シェール道が生田川を渡る所で、道を外れて左岸を上流に進む。

小さな堰堤を越えると、609ピークからの小沢が一本あり、更に

進んで、2本目の小沢を一旦見逃したが、思い直して戻って来た。

水流はないが此処かな。目印に三角形の大岩を記憶しておこう。

三枚岩は、紙を立て折にしたような岩場が、三つ並んでいる。便

宜上生田川から見て、左から1・2・3ルンゼと勝手に呼んでいる。

ガレを30mも登れば二俣がある。右俣を詰めれば3ルンゼだと

思われるが、まだ行ったことはない。左俣は1・2ルンゼに至る。

ただ谷沿いは倒木などで歩き難く、まず中間尾根を登って行く。

中間尾根の傾斜が上がり、歩き難くなった所で左側の沢に入る。

特に目印がある訳でもないが、毎回同じ所を歩いているような

気がする。降りた所が1・2ルンゼを分ける二俣の上ぐらいかな。

実際には斜面に、沢とは言えないような凹地が幾筋かあって

迷う。2ルンゼへは一番右手だと覚えていたが、それでも違う

凹地に入ってしまった。記憶を手繰って更に右手に移動する。

ようやく沢の詰めらしくなった。左側に巨岩が並ぶ。これは

1ルンゼと2ルンゼの中間尾根の末端で、此処まで来れば

間違えない。まだ傾斜は緩く、この先の展開を感じさせない。

2ルンゼ入口に着いた。漏斗の様な形状と言ったら良いか。

上部の扇状の岩場に降った雨が、僅か30cmほどの幅を

通過する。この辺りから岩が脆い。潅木を頼りに登って行く。

これが2ルンゼと、勝手に呼んでいる三枚岩の中央。5年前

一度登ろうとしたが、岩が脆くて登れなかった。改めて見ても

傾斜は緩いので登れそう。だが見た目以上に風化が進んでる。

その時は結局、2ルンゼと1ルンゼの中間尾根を忠実に登った

階段状だけど、上部の緩いスラブに砂利が乗っていて怖かった。

2ルンゼから1ルンゼへは岩の基部に、バンドが走っているよう

な感じで、トラバースして行ける。2015年2月に609ピークから

此処へ来ようとして行き過ぎてしまった。今日はそれを改めたい。

1ルンゼの下を通る。上部は凹状になっている。雨が降れば水が

流れるだろう。なぜ此方を1ルンゼと呼んでいるかというと、本物の

穂高岳の屏風岩に、横尾谷から見て左端に1ルンゼがあったから。

バンドを渡り左手の尾根との間に入ると、すぐ上にスカイライン

見えている。思ったよりも上部に出るようだ。ほんの少しの登りで

609ピークから生田川に下る西尾根に出る。尾根に踏跡がある。

踏跡を少し下ると、三枚岩の展望がある。前回はこの辺りから谷

に下ったので行き過ぎたんだ。見ての通り三枚岩は609ピークの

西側直下だ。地理院地図では、左端の鉄塔付近に記されている。

昭文社の地図は、ずっと高圧線より南側に記号が記してあった。

六甲山系では比較的大きな岩場なのに、目立たないので不遇

な岩場と言えるかも。609ピークは樹木に囲まれて眺望も無い。

東側へ下って行くと、摩耶別山を望む展望岩がある。良い場所

だが、岩の上が不安定なので昼食休憩には向かない。やっぱり

今日も新穂高頂上で昼食にしよう。標高差は僅かだが急な登り。

久しぶりに来た新穂高頂上。なんだか様子が違う。隅の木に

私製山名板が付けられ、その前で写真を撮る人が多いのか、

繁っていた笹藪がなくなっている。家族の作ったパンを頂いた。

頂上からは東へ下り徳川道に降り立つ。途中からピンクの

テープが沢山あった。六甲線18鉄塔に導く物で、近く伐採

するのだろう。別に巡視路はあるが此方の方が楽なのか?。

ドライブウェイを歩いて掬星台。1200万円かけて改修した

トイレは、出来て2週間後には汚くて使えなかった。今日は

小便器が一つ破壊され、他は故障中だった。韓国や香港の

山岳公園にあるトイレは、こんなことはない。総じて綺麗

で掃除が行き届いている。掬星台でも良く見かける外国人

観光客に対して恥ずかしい。そう思うのはハム家だけかな。

新神戸に下る頃には暗くなってしまう。どうにも足が遅いな。

この手の山行ブログで思い出話を書くようになると、そのブ

ログも末期症状。正に今日の記事がそれ。でもまあいいか。