摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

碧芳山(650m)・・・・・・慶尚南道・統営市・・・2016年5月7日

昨夜は一波乱あった。山清郡から晋州でバスを乗り替えて統営へ。

統営の市外バスターミナルは2度目。新開地で宿も食堂も新しくて、

物価も高かった。前回に4万Wで泊まった宿に行くと、満室だという。

結局、市内バスに20分程乗り、市内の繁華な所まで行き泊まった。

翌朝、安静寺行きのバスは早朝に1本しかない。次は午前11時ごろ。

近くのバス停を通過するか不安で、市外バスターミナルへバスで戻る。

市内バスを乗替えた訳だが、交通カードを使っているので、2度目の

バス代は無料だった。661番バスで、午前7時に安静寺に到着した。

運転手に帰りの時刻を聞くが知らず、売店のアジュマに聞いてくれた。

11時5分。13時50分。標高は650mだから、11時には戻れる

だろう。釜山に早く帰って、ゆっくりしたいという理由もある。ろくに

案内図も見ずに登山道に入る。迎えてくれたのは、筋肉質なリス。

この山の登山道は、駐車場を要に左右二本ある。歩き出したのは

右側の道のようだ。林道を串刺しにするように、歩道が登って行く。

舗装された林道に出ては、また歩道に戻る。何度もこれを繰り返す。

韓国では5月5日が子供の日だが、6日も臨時休日となって4連休。

昨夜、2軒目の宿では9万Wと言われ、3軒目では前の家族連れが、

13万Wと言われてるのを聞き諦めた。統営は人気の観光地なんだ。

最初こそ松林だったが、すぐに落葉樹の林になる。標高は低く

とも、歩いていて気持ち良い。只早朝だと言うのに、気温は高く

蒸し暑い。Tシャツ一枚で歩く。新緑もやや濃くなり初夏の装い。

展望の無い林なので、足元に注視していると不思議なものが。

形は草花の様だか、色素が全く無い。キノコの一種だろうかな。

帰ってから調べると「銀竜草」。説明を読んでもよく分からない。

安静寺から1.3km。相変わらず車道に出たり、歩道に戻ったり

を繰り返す。標柱には「海の牛乳 牡蠣」と書いてある。そういえば

来る途中、海沿いの空き地に、牡蠣殻が山の様に積まれていた。

統営市は、国の牡蠣の流通量70%を扱う、一大集散地らしい。

足元には種々の山野草が花を咲かせている。今回は1500m・

1000m・600mと標高の異なる山を、三座選んで登ってみた。

各々が、早春・春・初夏といった雰囲気で、それぞれに楽しめた。

この山はまさに初夏。高山植物ならぬ低山植物の花々が盛りだ。

ただカメラの焦点が合っておらず、使い物にならない写真も多数。

義湘庵という寺院の脇を通過する。山中に二つある庵の一つ。

いずれも登山道は境内を通過しない。信心の無い者には気楽。

義湘庵を過ぎると、登山道は林道から離れ、傾斜も急となる。

三日連続の山歩きの疲れと、予想外の暑さにヘトヘトになる。

急登を終え、主稜線にでると、大きな縁台型のベンチがあった。

爽やかな風が吹き抜け、生き返る思いだ。ベンチはこういう所

に設置してこそだ。摩耶山でいえば学校林道上の555ピーク。

しばしベンチで休憩して歩き始める。緩やかな稜線に木製階段。

これは先のベンチと違って、全く無用の長物に思えるのだが・・・。

一種の登山者向けのアトラクション。韓国の山では必須アイテム。

登山道をコンクリートで舗装してしまう、中国や香港に比べれば、

まだ歩きよいし、景観も損なわないので、さして嫌とは思わない。

東側が抜けた所があった。海岸沿いには石油タンクが立ちならぶ。

安井工業団地。寺は安静寺と書くが、麓の村は安井という漢字だ。

西側から風に乗って工場の操業音が響く。景気の良さを感じる。

主稜線は段々細くなり、岩が露出が目立って来た。山頂も近い。

と思ったら、大きな岩場に飛び出した。これはもう山頂の一角。

駐車場から見上げた山頂は、東西に岩場があった。そこだろう。

登山道の周囲に白い花を咲かせた樹。今まで見たことない種。

ほどなく山頂に到着。鋭さはないが、岩の頂には解放感がある。

この山は統営市と固城郡との境にある。初め固城郡庁のホーム

ページで知り交通を調べたが、固城郡側からはバスはなかった。

統営市側から、バスの便が有るのを知るには、時間が掛った。

調べ始めてから一年経つ。地味な山だが、それなりに感慨が

ある。登れて良かった。山頂にチョルチュクの花が残っていた。

西側に、蛇梁島(サリャンド)が見えた。ちょうど二年前に行った

ことがある。霞が掛ったようで海の色も全く冴えないのが残念。

東側はもっとボンヤリしている。少し先の巨済島も全く見えない。

ところで固城郡方面から登って来る道や、道標が見当たら無い。

地図に破線があったが、登山道として整備されてないのだろう。

日陰を求めて西側へ少し下って、コンビニのキムパブで小休止。

又違う種の白い花が咲いている。アオダモの一種かもしれない。

昼食後は西回りで安静寺駐車場へ。いきなり急な階段で始まる。

階段の西側は巨大な岩壁。日本なら、これだけでも観光名所に

なりそうだけど、韓国では地図に、岩記号も名前も載っていない。

これはスミレの一種かな。摩耶山で見るスミレより、大ぶりだ。

僅か標高600mの山で、幾種類も花を見れた。さして興味が

ある訳ではないが、上り下りの苦しさを、多少は癒してくれる。

岩場を過ぎると、丈の低い笹薮帯を下る。変化があって楽しい。

そしてまた木製階段が続く。下りは膝に負担が少ないかと思う。

林道に出て来た。今朝、東側の道で串刺しに歩いていた林道が、

此方へ伸びている。運動器具が置いてあるのも韓国ならではだ。

今回下りに使った西側の道は、林道が交差するのは一度だけ。

落葉樹の林も気持ち良いし、此方から登った方が良かったかも。

安静寺の境内に下って来た。今年の釈迦誕生日は5月14日。

駐車場には10時過ぎに到着した。帰りのバスまで1時間ある。

日差しを避けて木陰で休む。登山口にあるこの機械は、どうも

虫除け薬を噴霧する物のよう。摩耶山にも置いてあると良いな。