摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

六甲線一三鉄塔から長峰山頂(天狗塚)へ迷走する

4月2日の土曜日は、杣谷第五堰堤から六甲線一三鉄塔へ登る。

さて、此処からどうしようか。ツツジが咲いていない今は巡視路を

長峰山頂へ登っても面白くない。北側の沢から椿の鞍部に登ろう。

昼食を終えた後、巡視路を少し進み道を外して北側に下って行く。

西へ下れば切り開きが有って、楽に下れるのだが、いつも同じ道

では退屈と強引に北側へ下降する。対岸に白いのはタムシバか。

ところが、半分ぐらいまで下った所で、行く先を岩場に阻まれる。

目指すは対岸に見える六甲線一二鉄塔の下。緩やかな尾根で

下りつく筈だったのが乗れていない。巡視路に戻るのも業腹だ。

仕方なく斜上して行くが、岩場が多くて下降点を見つけられない。

この一三鉄塔の北側の谷は、両岸が浅く緩やかと甘く見ていた。

酔っぱらってるし、シュリンゲの1本も持ってないので無理しない。

急な斜面をトラバースして行くと、兵庫県の治山ダムに行き当る。

川床に到着したのだが、この時は旧知の沢に降りたと思っている。

このダムも、その沢の一番奥の蜂の巣があったダムだと信じてた。

ダムを右岸から越える。両岸が浅くて、何か違うような気もしたが

強く否定する根拠もない。今から思えば、全く様子は異なっていた。

奥の二俣に到着。左俣の倒木がなくなっていた。流されたのかな。

実はもっと下流に二俣があり、歩いたことのない右俣を登っていた

のだが、この時は全く気付いていない。自分の記憶も曖昧なもの。

椿の花が落ちている。あれ、こんなに早く椿の林があったろうか。

なら鞍部も近いはずと思うが、なかなか傾斜が落ちず先は長そう。

濃密な笹薮が現れた。そういえば椿の林の手前に笹があったかな。

でも、こんなに濃くなかったように思うし、奥の二俣から、もうずいぶん

歩いている。距離がありすぎる。やっと道に迷っていると気づいた頃。

行く手に大岩が立ち塞がる。既に家族とは離れ離れに登っており、

ハムは左手から、家族は右手から、この大岩を迂回して登って行く。

そして登り付いたのが、天狗塚北側の一般道。神戸市の滑落注意の

看板がある所。期せずして西側からの天狗塚直上を果たしてしまった。

右手を迂回した家族は、天狗塚南側の滑落注意の看板の所に出た。

二人共何だか、キツネにつままれた様な気分。よく良く考えてみれば

予想より南に登り着いたのは、不知の右俣を登ったということになる。

思い起こしてみると、一三鉄塔北側の沢の中流辺りに、二俣があった

ような気もする。その出合いは大岩が積み重なったような、険しい滝

だったよう。天狗塚から掬星台方面。点々と白いのは、タムシバかな。

(後日、確かめるとこの記憶も誤っていた。出合には滝はなかった。)

登ったから良かったが、下っていると詰まる所だった。不用意な話だ。

だが、予想外の結果に楽しくもある。長峰山北斜面もタムシバが多い。

下りはハチノス谷東尾根を通る。上部には馬酔木が咲いていた。

かなり密生していて、落花すると道が米粒を撒いたように白くなる。

中腹には椿の木が多い。全般にツツジが多いハチノス谷西尾根と

異なる所。ただし東尾根は急斜面で、道が雨に流されて歩きにくい。

なので他の時期は、西尾根を下降することが多い。ただ東尾根は

真南を向いてるので、例年この付近ではツツジの開花が一番早い。

その為この時期だけは、好んでハチノス谷東尾根を下りに利用する。

神戸港線九鉄塔からケーブル虹の駅。此方の白い点々は山桜かも。

急峻な東尾根にもプラトーはある。もう少しすればツツジの回廊。

満開の株もチラホラと。同じミツバツツジでも、花だけ咲くものと

若葉の芽吹きと共に、花が咲く株もある。その違いは何だろか。

ハチノス谷を挟んで西尾根。尾根の下部はツツジが咲いている。

かつて、昭文社の地図には、東尾根だけ破線路が記してあった。

今は西尾根の方を歩く人が増えて、やや影の薄い道となったが、

今の季節ならば、歩く価値はあるだろう。下る程に開花している。

山桜とミツバツツジの競演。植生の豊富さでは、存外に東尾根の方

が勝っているかもしれない。ツツジの多さでは西尾根に軍配が上る。

更に此の季節の楽しみは、下り着いた長峰墓地に咲く染井吉野

つい先ほど、道に迷い右往左往していたことは、もう忘れていた。


今日のBGM