摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

芦別岳(1727m)・・・後編・・・・・・2015年9月24日

山頂には、新道からの登山者が、3名いらした。旧道を登ってきた

我々は多少の称賛を持って迎えられた。何しろ同じ頂に登るのに

倍以上の時間をかけてきた。ただ、それだけの事に過ぎないが・・。

山頂から歩いて来た北尾根を望む。道の様子を聞かれ、ユーフレ

小屋までの高巻き道が怖かったと話すと、単独の男性が、覚太郎

新道から旧道に下る予定だが、止めると言われた。その方が良い。

南側は遠く夕張岳の鋭い稜線が見えている。登ってみたい山だが、

残念ながら、自動車が無いと長い林道のアプローチをこなせない。

ユーフレ川源流部を覗き込む。残雪期は比較的容易に山頂へ

登ることができるコースと言われるが、我々には到底無理な事。

西には北尾根から回りこむ旧道が見える。この草原ではヒグマ

を見かけることも多いらしい。山頂からなら、それも面白かろう。

東には、これから下る新道が、ユーフレ川の崖際に続いている。

山頂には40分ほど滞留していた。長い時間かけて登ってきた

のだから、もっと居たい気はするが、秋の陽は落ちるのが早い。

北側に夫婦岩、その下部のX字ルンゼを望みつつ笹原を下る。

伸びやかな笹原をゆっくり下って行く。すぐ左に険悪な崖が

あるとは到底思えない。ここで登って来る男性と行き違った。

左手のユーフレ川を覗く。対岸の稜線が登って来た北尾根だ。

雲峰山へは、僅かな登り返し。ハイマツに紅葉が混じってくる。

右手下には、黄葉した美しい林が見えている。自分のいる所は、

緑に覆われ、標高の低い所に、黄葉を見るというのは変な感じ。

下ってきた芦別岳頂上を振り返る。来た尾根から見る姿とは

全く異なる。新道を登る限り、針状の姿は知ることも出来ない。

次に見える岩峰が半面山だろうか。道はピークを通過しない。

鞍部に下ると対岸の夫婦岩が、動物の耳のように見えてくる。

最低鞍部には熊ノ沼がある。クマを見かけることもあるらしい。

沼というより湿地で、写真を撮る気も起きない。水は飲めない。

登山道脇に半面山の標識があるが、何処がピークだったのか

分からない。下るのに集中して、周囲の様子に注意していない。

黄葉した林の中を下るようになるが、曇っていてキレイでない。

それでも時折は、ユーフレ川の方向が抜けて、背後の岩壁と

黄葉のコントラストに、目を奪われることもある。どんどん下る。

覚太郎コースとの分岐、鶯谷にやっと到着。此処まで頂上から

1時間半もかかっている。だが登山口まで、3.6kmも残ってる。

白いダケカンバの林に、下生えの木々が紅葉しキレイだが、

もう下ることに集中していて、目にも記憶にも残っていない。

この辺りで走って下って来る男性に追抜かれる。山頂の下の

笹原ですれ違った人だ。あっという間に走り去ってしまった。

この下りは走る方が楽だろう。我々にはバランス感なく無理。

見晴らし台に到着した。登ってくると最初の展望地のようだ。

今日は曇って見晴らしは悪い。晴れなら十勝連峰が見えるはず。

見晴らし台からの下りが更に辛かった。緩やかな下りなのだが、

退屈でウンザリだ。常に先行していた、家族の膝が痛み始めた。

遅れがちになり、何でもない所で転倒したりと、相当疲れている。

嫌な名が付いている。登りも辛いだろうが、下りも辛くただ長い。

日頃、摩耶山でロープウェイで下山しているツケが回ってきた。

羊蹄山・京極コースの下りより、はるか辛く長い下りだと思う。

新道往復する人が、覚太郎コースに引き込まれる理由が分る。

頂上から3時間20分も掛って、エゾシカ除けの柵の設けられた

新道登山口に下ってきた。概ねコースタイム通りだが、辛かった。

旧道登山口には無い貼り紙。新道を登った人が、覚太郎コース

から旧道に入り、ユーフレ川沿いの高巻き道を下るのは危険だ。

登山届に下山した旨を記入し、我々の芦別岳登山は終わった。

今回の旅行の、最優先課題だっただけに、充足感もひとしおだ。