摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

西谷の支流から長峰山主稜線を目指す

コメント欄に貼りつけていただいた、長峰山北面の2,500分の1の地図。

これを見ている内に、ぜひ行ってみたいルートを思いついた。緑の実線で

記入したDルート。西谷に入り最初の二俣を遡行し。668ピークを目指す。

E−1のルートは2014年5月18日に、E−2は2014年5月25日に登っているが、

脆い岩場と濃密な藪に悩まされた。左に見えた破線の谷筋は急峻に過ぎる。

だが、同じ支流をハチノス谷東尾根の頭に向って、遡行すればどうだろうか。

7月12日の日曜日。梅雨明けを思わせる晴れた朝、六甲川沿いの車道を、

山羊戸渡入口に向かい歩いていく。六甲川遡行のコメントを頂いたのだが、

想像もしなかった。だって頭の上から空き缶どころか冷蔵庫が降ってきそう。

そんな事を考え乍ら車道を歩いていたが、山田堰堤上で容易に河原に

降りれそう。山羊戸渡入口は近いが、物は試し此処から遡行してみよう。

ヘアピンカーブの真下で、車の走行音が恐ろしいけど、渓相は悪くない。

幅広の小滝の下に澄んだ釜。水質も裏六甲よりは、良いかも知れない。

山羊戸渡入口の下に、これほど綺麗な所があると思いもよらなかった。

小滝の上は滑床が広がる。50m程の短い区間の変化に目を見張る。

数々の堰堤ができる前の六甲川は、どんなに美しかったのだろうか・・。

左側に先週に遡行したA沢を見て、すぐ本流に別れを告げ西谷に入る。

西谷に入るとすぐ堰堤に遮られる。左岸を小さく巻く。堰堤上からは、

立木頼りにズリ下がる。堰堤上は堆積した川砂が河原を埋めている。

しばらく遡行すると、5m弱の姿の良い小滝。巻き道は右岸にある。

今日は直登してみよう。水流の左手にホールドが多い。岩盤は固い。

水心を登れば難度は上がるので、技術に応じて楽しめそうな小滝だ。

小滝を登りきると、その上は水流がV字型に黒い岩を穿っている。

その上流も沢筋一杯に岩床が広がる。水量も多く気持ち良く歩ける。

2番目の堰堤を左岸から越すと、西谷に入り最初の二俣が現れる。

本流は右俣で、6m程の滝がかかる。近寄ってみると登れそうだが、

今日の目的は左俣の支流の遡行。滝の直登は次回にとっておこう。

西谷本谷から左俣の支流に入る。入口こそ岩床が露出しているが、

すぐにガレが谷を埋めるようになる。また二俣があり、右俣から大量

のガレが流れ込む。この右俣を詰めれば長峰山頂直下へ至るだろう。

今日はハチノス谷東尾根の頭を目指すので、左俣に入る。こちらは、

ガレに埋まっておらず、階段状の岩床が続く。徐々に斜度も上がる。

階段状を登りきると、そこは三俣の出合。3本とも険しい様相だ。

プリントアウトした2500分の1の地図を見てみるが、さすがに

判然とはしない。そこで、最も水量の多い右俣に入ることにする。

この右俣の入口には、2m弱の小滝がある。家族は側壁に垂れた

木を頼りに登ったが、側壁が脆く木も剥がれそうだ。そこでハムは

苔の生えた流心を直登する。ホールド細かいので、少し緊張した。

小滝の上は、まるで井戸の底のような場所。両岸が立ち、正面に

また二俣があり、両方とも滝がかかっている。滝の難度によれば、

尾根に逃げるのも難しく、進退窮まりそうな場所だ。さあどうなる。

ここは左俣の三段の滝を登る。ホールド多く一見しっかりして

そうだが、大丈夫と思って掴んだホールドが、ごっそり抜ける。

押さえつけるように登っていく。落口に出る所が少々嫌らしい。

三段の滝の上は、ガレが谷を埋めている。周囲は笹藪で稜線が

近いことを感じさせる。登るにつれてガレの石が細かくなってくる。

最後は急な土の壁を、キックステップで登って笹藪に突っ込む。

濃密な笹藪の急斜面を嫌って、長峰山頂方向へ斜上して行った。

後から考えると、これが誤りで、一般道へ出るまでに長くかかった。

むしろ笹藪を強引に直上した方が、体力を消耗せずに済んだろう。

山頂まで50m程の所で一般道に出た。天狗塚には誰もいない。

入渓点からの標高差は300m足らずだが、変化にとんだ楽しい

沢歩きが出来た。雲が多いながら久しぶりに青い空を垣間見る。