摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

金鰲山(323m)・・・・・全羅南道・麗水市・・・2014年12月30日

麗水(ヨス)には、以前から行ってみたいと思っていた。なぜなら、

名物のケジャン(蟹の塩辛)が、お安く食べられるからなんだけど、

問題もあった。ハムが蟹を嫌いなのと、さして登りたい山がない事。

昨夜は、市外バスターミナルの近くに投宿した。暗い内に宿を出る。

一見、ハイテクに見える市内バスの表示だが、時刻表が無いので、

乗りたいバスが表示されるまでは、ひたすら待つしかないという罠。

111番・向日庵行きのバスに乗って、大栗(テユル)で下車する。

知らない土地で、途中下車は結構難しい。大栗と大書したメモを

持ってたので、乗客のアジュマ達が此処だと一斉に教えてくれた。

向日庵(ヒャンイルアム)へは海岸沿いを直進する。我々は東の

山へ向かう車道に入る。峠にある金鰲山の登山口に向かう為だ。

緩やかな道を歩いて行くと、車道脇に漁網が大量に干してある。

目指す金鰲山には、何も思い入れはない。ただ麗水市で登るに

値する山が、この低山しか見当たらなかった、というのが本音だ。

辿り着いた峠には、登山者向けの広い駐車場があり、片隅には、

焼き牡蠣の食堂もある。だが此方側から金鰲山頂を往復しても、

余り面白い行程にはならない。一台も駐車していないのも当然。

一応、国立公園の一角にあるので、案内板は国立公園仕様だが、

レンジャーが常駐している訳でもないので、至って地味な登山口。

日本人は地図の上は北と思っているが、そんな常識は通用しない。

峠から向日庵という、日の出を向かえる名所である寺院に向かう。

つまり、東へ歩いている。当然、朝日を正面に見て歩いて行くのだ。

一つ上の写真。国立公園の設置した案内図では、想像もつかない。

よく見れば、磁針のNのマークが右下を向いている。逆立ちすれば、

理解できるかも知れない。雑木林の中を、緩やかな道が続いている。

登山口から40分も歩くと、山頂標識がある所についてしまった。

標高が323mなのだから、当然なのだが、なんだかあっけない。

それに展望も無く、極めて地味な山頂である。休まず先に進む。

少し進めば岩稜もあるので、ここら辺りの方が山頂らしかったり。

西側は海まで切れ落ちている。本来ならば、多島海の眺めがある

はずだが、朝もやに包まれて遠望は全く効かず、海面だけ見える。

稜線を東に進むと、不可解な道標があった。金鰲峰頂上へ200m。

先程の山頂標識は、金鰲山となっていたので、峰と山が違っている。

なんだか山頂らしきところに来た。前方には山名碑も見えている。

国立公園の設置した案内板も立っているが、振り返って見ると・・。

先ほどの金鰲山(323m)の山頂の方が、はるかに高い。だが、

国立公園等が観光客向けに、此方を山頂としたいと思っている

雰囲気がひしひしと伝わってくる。まあ確かに景色は良い訳だ。

そんな観光地的な頂上に、反発する人もいるようだ。山名碑の

峰という文字、それに海抜表示が見えないように削られている。

しばらく休んでいたが、頂上というには、少々落ち着かない所。

さあ下山にかかろう。海に飛び込むような階段道が付いている。

向日庵から空身の観光客が、三々五々登ってくる。この人達には、

先ほどのピークが頂上で良いだろう。展望の無い最高所へは行く

必要もないだろう。目的によって、山頂が違うのも韓国ならでは?。

向日庵に下って来た。平日だというのに、観光客で賑っている。

新しいお堂が建設されて、床に大理石が敷き詰められつつある。

庵というだけあって、コンパクトなお寺だけど、見所は備えてる。

門前町には、名物のキムチを売る店が多い。中々美味しそうだ。

運良く、発車2分前の111番市内バスに乗車できた。さあ市内に

戻って、今日の本当の目的地、鳳山洞へケジャンを食べに行こう。