摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

第1回 杣谷源流遡行

9月7日の日曜日は、正午過ぎに家を出て、掬星台で昼食を摂った。

ゆっくりしていたので、腰を上げたのは、午後2時過ぎになってしまう。

こんな時間から何処へ行くかというと、先週も行った杣谷の源流域だ。

コメント欄から、摩耶第4堰堤から上流も、楽しめそうなお話を伺った。

ドライブウェイから杣谷道を下る。台風で路肩が崩れている所がある。

日が傾いた杣谷道は、摩耶別山の影に入り、3時前なのにとても暗い。

木の袋谷出合で足拵えを沢用に変え、先週と同じく本流を遡行して行く。

先週は差し込む陽光でコントラストが強すぎたが、今日は薄暗くて残念だ。

必然シャッタースピードが遅くなるので、動きのある被写体はブレてしまう。

入口の小滝を越えると、続いて落口にチェックストーンのある小滝を越える。

更に明るい色の斜瀑と、変化のある小滝が3つ続くが、あっけないほど短い。

杣谷道に出た所で、そのまま一般道を歩き、摩耶第4堰堤を乗越してしまう。

谷に戻ると大岩が転がる短いゴルジェ。抜けた所に右から勧進滝が落ちる。

勧進滝を横目に進むと長い滑滝。途中まで登った家族が、右手を見ている。

何と滑滝の途中に枝谷が流れ込んでいた。躊躇なく此方へ進むことに決めた。

なぜなら、一般道から離れることができ、長峰山側に行き着くかと思ったから。

それは、かなわぬ夢だった。すぐに現れた5メートルほどの小滝。傾斜は緩いが、

落口の岩がノッペリ丸くてホールドがない。シュリンゲを木に投げゴボウで抜ける。

ギャーギャー騒いでたら、その数m先が一般道。ハイカーが不審気に通り過ぎた。

一般道を歩いていると、側溝の様にしか見えない谷も、いざ歩いてみると

中々どうして、これだけ露出した川床が続く所は、摩耶山系ではそうはない。

滑床の出口には、幅の広い小滝がある。水量が多ければ壮観な所だろう。

遠目にはヌルッとして登り難そうだったが、ホールド多く水心を登って行く。

家族は昨年に段ヶ峰の倉谷で滑落し、肋骨を骨折して以来、調子が悪い。

まだまだ本調子ではないが、1年経過してようやく腕が上がるようになった。

滝を越えるとまた杣谷道が谷を交差する。此の先にも滝があるが悪そうなので、

そのまま一般道を登って巻き上がる。今日の装備はシュリンゲ各1本、メット無し。

二つほど滝を巻いたところで谷に戻る。方向は西側を向いている。アゴニー坂と

杣谷峠間の稜線に出ないだろうかと期待している。下りもロープウェイを使いたい。

最初のスラブ滝。冬場は氷結し杣谷道から見えるので、知ってる人も多いだろう。

此処は滝身の右側の泥の詰まったガリーを登る。上段は傾斜が緩く流心を登った。

正直な所、これ以上滝が続くと思っていなかった。スラブ滝を越えても小滝がある。

この小滝は登ったかな。とにかく日暮れも近いので、難しそうな所は巻いて行く。

滝は続くし水流もある。先週登った長峰山側の支沢がすぐ伏流したのとは大違い。

ようやく斜度が落ちてきたが、河床の岩盤は露出したままだ。周囲は一面の笹原。

西日に照らされた稜線が見えて来ても、水流は続いている。笹原の源流風景は

周囲の樹木の存在を忘れれば、遠い昔に登った上越の沢を思いだせなくもない。

川床に泥が多くなった所で遡行終了。西側へ30mも上れば稜線に飛び出した。

其処にはアゴニー坂から木の袋尾根へ下る踏跡があった。これは嬉しい展開だ。

遡行を終了してから、10分も歩かずに、アゴニー坂の鞍部に出ることができた。

アゴニー坂の途中から西日に照らされた六甲山。久しぶりに雲一つない空を見る。


この山行は先週いただいた「長峰大好き」さんのコメントを参考にさせて頂きました。