摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

西谷から長峰山頂を目指す

5月18日の日曜日も、朝から快晴で爽やかな天気。今日は一人で山に行く。

長峰山の北面の西谷から、天狗塚に試登しようかと思う。面白くなさそうだし、

岩が脆いらしいので、落石を起こすことを考えると、一人のほうが良いだろう。

六甲道からの長い車道歩きは、どうにも嫌だ。天気予報では、夏日になるとか

言ってたが、それほど暑くないのが救い。上の写真右奥が、山羊戸渡の入口。

右側が本流で、六甲川(都賀谷)源流。中央の尾根が山羊戸渡の末端である。

左側から流れ込むのが西谷。防災地図によると、少なくとも6基の堰堤がある。

この3基目の堰堤から登れば、天狗塚へ登りつけるだろう?という安易な計画。

1基目の堰堤を見て、少々がっかり。国の作る砂防ダムでなく、県の作った

治山ダムである。割と大きな堰堤で、上流側へは立木にすがりついて下る。

ダム上の堆積地を過ぎると、河床の岩盤が露出し、両岸も岩壁に囲まれた

函状の地形となる。これは予想外にキレイな所だ。今日はズック靴なので、

水流の中に入って行けないのが残念だ。ただし、思ったより水量は少ない。

次に現れたのは、丸い滝壺をもった4米ほどの小滝。此処は右岸の側壁を

小さく巻く。なんとなく巻き道がある様な歩き易さ。存外歩く人もいるのかも。

小滝の上も、岩盤が露出している。岩が灰色で、摩耶山系の他所では見ない。

地図で見る堰堤の多さに、今まで食わず嫌いしていたが、意外に趣のある谷。

今から思うと、此の1基目と2基目のダムの間が、この日のハイライトだったな。

ただ、そんな気分も2基目の堰堤がぶち壊してくれる。ダム上には土砂が、

大量に堆積している。しばらくは、溜まった砂と砕石の上を歩くことになる。

二俣の先に6米ほどの高さの滝が現れた。水量から考えると大きな滝だ。

ここは滝のかなり手前から、大きく巻き上がる。やはり巻き道がある様な。

ようやく3基目のダムに到着。お茶を飲んで小休止。此処から登ろうと

思ったのは、位置を掴み易いのはもちろんだが、ダムは通常両岸から

尾根が迫っている所に作られることが多いから。さて此処はどうだろう。

ダムを越えると、顕著ではないが、南側から支尾根が下って来ている。

登り易そうではないが、計画通りに行ってみよう。これが失敗の始まり。

急傾斜を登って行く。全ての部分ではないが、非常に脆い土壌が現れる。

泥に砕石を混ぜて固め、それが風化してボソボソになっているという感じ。

おまけに藪が濃い。何の藪かというと、これがウンゼンシロバナツツジ

あの葉も枝も細かく、背の低いツツジが密生している。かき分ける度に、

枯れた花が埃となって舞い上がる。最初の数十米の区間は、特に濃い。

少し抜けた所があって、ホッと一休み。振り返ると山羊戸渡が見える。

そこからは大きな樹木が増え、ウンゼンツツジの藪も少なくはなるが、

最後まで途切れることは無かった。どうせなら開花期に来たかったな。

行く手の尾根が、大きな岩の積み重なりになっている。不安定そうだ。

左側は深い谷。右側のナギ状の谷へ逃げる。藪が無いので歩き易い。

急傾斜だが土砂が柔らかいので、キックステップの要領で登って行く。

冬場に山羊戸渡から、長峰北斜面を見ると、一直線に薙ぎ落ちる谷が

三筋ほど見える。特に雪の積もっている時に明確だ。此処はその一本

だろう。落石の危険はあるが、此処を詰めるのも一考の余地あるかも。

ただ今日は尾根を登るつもりだったので、適当な所でナギから元に戻る。

立木を手掛かりに、強引に登って行くが、大きな岩がグラグラしている。

細尾根を辿って行くと、小広い緩斜面があり前方には、岩の積み重なり。

此処で登ってきた支尾根は、消えてしまった。良いルートではなかった。

振り返ると丁字が辻辺りの稜線が見えている。もう天狗塚も、近いだろう。

西谷の標高は350米位だろうから、300米も登れば天狗塚に着くはず。

別の細尾根に乗った。西谷のもう少し上流から伸びて来ているのだろう。

取りつきが分かるなら、此の尾根を登ってきた方が、良かったことになる。

右手にスカイラインが見えてきた。一般道を歩くハイカーの影も見えている。

斜上して行くと一般道に出た。ここが本日の最高点である。天狗塚には、

ボーイスカウトの引率者と子供達がいて、空きそうにはない。どうしよう。

ルート選択は失敗だったが、こんな天気の良い日には、ゆっくりしたい。

どこで昼食を食べようかと悩むが、六甲線一三鉄塔下に行くことにする。

ハチノス谷西尾根との分岐を右へ、トボトボと急な巡視路を下って行く。