摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

太華山(1207m)・・・・・2012年6月3日・・・江原道・寧越邑

昨日は居心地の良かった太白の宿に連泊した。朝一番のバスに乗って、

寧越(ヨンウォル)で下車。バスターミナル脇の食堂で朝食を食べてから、

登山口までタクシーに乗って来た。バスは本数が少なく利用できなかった。

運転手に中々行き先が伝わらなかったが、何とか到着(10000W払う)。

高氏洞窟という場所が名所で、かつ主な登山口だったようだが、寧越の町

から近いオグランイという所に来た。道路沿いには、登山口を示す道標や、

駐車場もあったが、かなり寂しい様子。タクシーは幹線道路から急な農道を、

腹をこすりながら登ってくれた。ここから登山道なわけだが、なんとも心細い。

昨晩からガスっていて、道は濡れている。本当にこの道でよいのか不安になる。

実のところ、今日は小白山と太白山の予備日というか、オマケのような山行計画。

手元の「韓国100名山」という本に載っていたが、2センチ四方の写真しかない。

江原道から登って、忠清北道に抜ける予定なので、下山口での交通も不案内だ。

だが、ガイド本の小さな地図からも、そういうコース取りでないと面白くなさそうだ。

ガスに覆われた暗い谷道を登って来た。谷の奥でようやく現われた道標なんだが、

ガイド本の略図では三叉路のはずなのに、片道しかない。予定より遠回りだけど、

仕方ない左側の道を登って行く。おそらく高氏洞窟からの道に合流するのだろう。

ようやく尾根筋に出るが、まだ主稜線ではないようだ。展望がなくて分かり難い。

さらに主稜線に出て、高氏洞窟からの道と合流しても、さほど雰囲気は変わらない。

山頂まで、ほとんどこんな感じの樹林の中を行く。いや下山するまで樹林の中だった。

主稜線の南側は切れ落ちた岩壁になっていて、二箇所だけ、わずかに展望がある。

蛇行する南漢江が見えている。ガイド本には小さな写真で、この風景が載っていた。

という事は、この景色がハイライトで、これ以上の展望は、期待できないのかな?。

悪い予感は的中する。山頂までやってきたが展望も、韓国らしい岩場も無い。

江原道・寧越邑が立てた山名石碑と、忠清北道の丹陽邑の石碑が並んでる。

国立公園を除くと、韓国の山では地元の行政庁が、地元優先というか他所を、

無視した道標を立てることが多い。つまり寧越邑が立てる道標は、全て寧越を

目指していて、丹陽へ下る道はあっても、一切案内しないという具合だ。

展望が無い分、足元の山野草に目が行く。さして興味ないのだが種類は多い。


ところで、日曜なのに、この山では、未だに一人の登山者とも出会っていない。

また入山禁止かと疑ったが、そうではない。単に展望無く、人気薄の山だから。

山頂から大分下ったところで、丹陽邑の作った道標があった。正直ホッとする。

なにしろ地図は、ガイド本の略図しか持っていない。もう大丈夫と思ったが・・・。

どんどん下っていって、あらわれた道標。此処は三叉路となっており、道標は

「フィソッドン」という所を指しているのだが、ガイド本の略図には無い地名だ。

それに最近作ったような道だし、道標は無いが、直進する道の方が太く見えた。

「フィソッドン」には下らず、そのまま直進して下ってきたら、こんな所に出た。

仏教寺院の庵かと思ったがそうでも無さそう。獰猛な犬が数匹飼われていて、

猛烈に吠え立てる。鎖につながれているのが救いだが、恐々として通過する。

そこまでは、林道が入ってきている。一旦、上り幹線林道に出て後は下るのみ。

日本の林道に比べると、傾斜のきつい韓国の林道。それでも退屈には変わりない。

別荘地のような集落近くに案内図があった。上部の分岐が道を誤ったところだ。

左の道を下るべきだった。目指すバス停は中央下の橋を渡った所にあるはず。

下ってきたのは、左側の道。目的の橋までは、かなり遠回りになってしまった。

この案内図は丹陽邑が作り、太華山登山路と題してるが、なぜか標高886m

地点の分岐までしか記入されていない。山頂までは整備していないということか。

先ほどの案内板から、さらに延々と林道を下り、幹線道路に出たのは良いけども、

バスは走ってないようだ。バス停はあったのだが、埃を被り時刻表も貼っていない。

仕方なく目的の北壁橋まで、さらに4kmほど歩いて来た。南漢江が蛇行している

この付近は風光明媚なところだ。観光バスは通るが、タクシーや路線バスは見ない。

北壁橋を渡り、永春(ヨンチュン)の村に入り、やっと安心した。個人タクシーも

あるので、少なくとも今日中には、ソウルに帰れるだろう。と思ったのもつかの間、

バス停が見つからない。病院の壁に時刻表はあるのだが、此処がバス停なのか。

疲れてると拙い韓国語で村人に聞く気もしない。優柔不断なハムに痺れを切らし、

家族は5km先の救仁寺(クインサ)まで歩くと言う。結局、村はずれの永春橋で、

やって来た丹陽行きのバスに、手をあげてバス停でもないのに乗せてもらった。

不案内な永春の村での時間は、随分長く感じたが、北壁橋からバスに乗るまで、

1時間ほどのことだった。相当疲れていたのだと思う。家族には申し訳なかった。


こんなに苦労したのに、丹陽へ着けば10分後の東ソウル行き高速バスに乗車。

2時間半後、まだ明るいうちにソウルへ到着した。(すべての道はソウルに通じる)