摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

大帽山(957m)・・・・・・香港・筌湾・・・(2012年1月5日)

大帽山(タイモウシャン)は、香港の最高峰。しかしながら山頂には、

通信施設が立ち並び、立入禁止となっている。登山の対象としては、

興味が無かった。ただ「瑞記茶楼」という有名な飲茶店が麓にあり、

両者を、組み合わせれば観光登山として、面白いかと思った次第だ。

地下鉄・筌湾駅から、80番のミニバスに乗り、川龍村にやって来た。

瑞記茶楼での朝食を終え、バス停からの眺め。大帽山の尾根を正面に見る。

右手の尾根上に、墓地が見える。そこまでは車道もあるはずで、おそらくは、

そこから登れるだろう。行きつ戻りつしたが、尾根のこちら側には道はない。

彩龍茶楼という飲茶店の店の前の道を、尾根の向こう側まで、歩いていこう。

バス停からずいぶん歩いた。人家も途切れたころに、バーベキューの店がある。

そこから、さらに細い道に入ると、ようやく道標があった。大帽山道とあるが、

これは車道であろう。ともかく大帽山に向かっていることは間違いないようで、

ホッと一安心。さらに車道を延々歩いて行く。

さらに1kmも歩いたろうか、広大な墓地の一端に達するが、大帽山への

登山道らしきは見つからず、そのまま車道を進むと、とうとう行き止まり。

墓守の飼う犬に吠えられ、車道を離れて、墓場の中を適当に登って行った。

山頂に向かって、右手の尾根筋に、道があるようだ。墓場の上端を横切る。

思ったとおり、尾根上には道があった。整備されたトレイルではないが、

歩く人は多いようで、しっかりした道が、荒涼とした風景の中を続いてる。

緩やかに高原状の尾根を辿り、最後、僅かに急斜面を登り、監視所に至る。

この小屋には、実際に監視人がいて、山火事が起きないかと見張っていた。

小屋からは、再び高原状の緩やかな斜面となる。道は四方へ別れてしまい、

一本一本は心細くなる。その中でも、最も太い道を、歩いていくことにした。

適当に、高みに向かって登って行くと、舗装道路に突き当たる。路傍には、

トレイルの標識がある。登るにつれて、どんどんガスは濃く、風も強くなる。

フリースに雨合羽を重ねるが、とても寒い。体感温度は氷点下に違いない。

登ってきた車道は、通信施設の入口で、進入禁止となる。ここが最高点かな。

右手に下る車道があるので降りていく。冷たく湿気の多いガスから、逃れたい。

しばらく下ると廃屋で車道は終わり、トレイルが現われる。といっても、

これも舗装路であって綺麗に見えるが、歩いてて、ちっとも楽しくない。

峠状の場所に東屋があり、ようやく舗装路から開放され、地道を歩ける。

振り返ると大帽山が雲を被っている。気温も少し上がり、風もおさまった。

鉛鉱凹という峠までの、伸びやかな稜線が素晴らしい。大帽山は好きに、

なれなかったが、此の稜線は、草原が緑の頃に、もう一度歩いてみたい。

正面には、これから向かう草山。名に相違して、黒々とした樹林の山だ。

右下には針山が、秀麗な山容を見せている。野良牛が、お食事中。

私達も、お腹が空いてきた。草山との鞍部、鉛鉱凹で昼ごはんにしよう。