大帽山(タイモウシャン)は、香港の最高峰。しかしながら山頂には、
通信施設が立ち並び、立入禁止となっている。登山の対象としては、
興味が無かった。ただ「瑞記茶楼」という有名な飲茶店が麓にあり、
両者を、組み合わせれば観光登山として、面白いかと思った次第だ。
地下鉄・筌湾駅から、80番のミニバスに乗り、川龍村にやって来た。
瑞記茶楼での朝食を終え、バス停からの眺め。大帽山の尾根を正面に見る。
右手の尾根上に、墓地が見える。そこまでは車道もあるはずで、おそらくは、
そこから登れるだろう。行きつ戻りつしたが、尾根のこちら側には道はない。
彩龍茶楼という飲茶店の店の前の道を、尾根の向こう側まで、歩いていこう。
バス停からずいぶん歩いた。人家も途切れたころに、バーベキューの店がある。
そこから、さらに細い道に入ると、ようやく道標があった。大帽山道とあるが、
これは車道であろう。ともかく大帽山に向かっていることは間違いないようで、
ホッと一安心。さらに車道を延々歩いて行く。
さらに1kmも歩いたろうか、広大な墓地の一端に達するが、大帽山への
登山道らしきは見つからず、そのまま車道を進むと、とうとう行き止まり。
墓守の飼う犬に吠えられ、車道を離れて、墓場の中を適当に登って行った。
山頂に向かって、右手の尾根筋に、道があるようだ。墓場の上端を横切る。
思ったとおり、尾根上には道があった。整備されたトレイルではないが、
歩く人は多いようで、しっかりした道が、荒涼とした風景の中を続いてる。
緩やかに高原状の尾根を辿り、最後、僅かに急斜面を登り、監視所に至る。
この小屋には、実際に監視人がいて、山火事が起きないかと見張っていた。
小屋からは、再び高原状の緩やかな斜面となる。道は四方へ別れてしまい、
一本一本は心細くなる。その中でも、最も太い道を、歩いていくことにした。
適当に、高みに向かって登って行くと、舗装道路に突き当たる。路傍には、
トレイルの標識がある。登るにつれて、どんどんガスは濃く、風も強くなる。
フリースに雨合羽を重ねるが、とても寒い。体感温度は氷点下に違いない。
登ってきた車道は、通信施設の入口で、進入禁止となる。ここが最高点かな。
右手に下る車道があるので降りていく。冷たく湿気の多いガスから、逃れたい。
しばらく下ると廃屋で車道は終わり、トレイルが現われる。といっても、
これも舗装路であって綺麗に見えるが、歩いてて、ちっとも楽しくない。
峠状の場所に東屋があり、ようやく舗装路から開放され、地道を歩ける。
振り返ると大帽山が雲を被っている。気温も少し上がり、風もおさまった。
鉛鉱凹という峠までの、伸びやかな稜線が素晴らしい。大帽山は好きに、
なれなかったが、此の稜線は、草原が緑の頃に、もう一度歩いてみたい。
正面には、これから向かう草山。名に相違して、黒々とした樹林の山だ。
右下には針山が、秀麗な山容を見せている。野良牛が、お食事中。
私達も、お腹が空いてきた。草山との鞍部、鉛鉱凹で昼ごはんにしよう。