9月29日は、明け方から雨が降り出した。待避所の1階のベンチで
朝食を食べる人が多かったが、吹き込む風と雨で、皆難儀している。
湯を沸かすのも一苦労で、炊事小屋で食べる方が良かったと反省。
ようやく朝食を済ませて、出発は7時半。小屋前の案内板にバスの
時刻が書いてある。白武洞から東ソウルへ、11時半のバスがある。
コースタイムは3時間半なんだが、我々の足では間に合うだろうか。
細石退避所(セソクテピソ)から白武洞(ペクムドン)へは谷道を下る。
部分的に階段もあるが、ほとんどはゴーロの上を行くワイルドな道だ。
濡れた岩は滑りやすく慎重に下って行く。すごい早足で、二本ストックの
グループが追い抜いて行く。やっぱり韓国の人には、かなわないと思う。
河原の巨岩の上で休憩している登りのグループ。岩の白さが際立っている。
結局、登山道では追い抜かれたグループと、この人達にしか会わなかった。
登山道脇に「熊出現注意」と(たぶん)書かれた標識がある。だが韓国に
おいては、熊は絶滅状況にある。2004年には、ロシアから6頭輸入して、
智異山に放ったぐらいだ。韓国がそこまでして「熊の復活」に取り組むのは
「檀君神話」に熊が登場するからだそう。国立公園のマスコットも熊の親子。
注意を促しながらも、熊が居て欲しい、という願いをこめた標識に思える。
下るにつれ白武洞渓谷は凄い様相を現し始める。写真が下手で上手く表現
出来てないが、見える範囲だけでも、百米程の一枚岩を谷水が流れている。
河原に転がる岩も、とてつもなく大きい。谷の水は澄んで清らかだ。
登山道は渓谷沿いではないので、数箇所に意識的に橋が架けられていて、
その付近でのみ、渓谷美を眺めることが出来る。写真より数倍のスケール。
白武洞渓谷の美しさを再現できないのが、なんとも歯がゆい。それほど、
凄い渓谷だった。智異山でも第一とされるペムサゴル渓谷はどれほどか。
白武洞まで2キロの標識からは小走りで、登山口の写真は11時22分。
さらに白武洞の村内を駆け下り、11時30分発の東ソウル行きバスに、
何とか間に合うことが出来た。切符は売っておらず、途中の売店で購入。
「全ての道はソウルに通ずる」白武洞から4時間半で東ソウルに到着した。