登りがおもしろい道がある。下りが楽な道もある。
山羊戸渡(ヤギの戸渡り)は、断然前者である。
だが、グループ登山の人達は、どうも下りに利用することが多いようだ。
理由は言うまでもなく、アプローチの悪さにある。
最も近いバス停は、六甲ケーブル下。そこからの車道歩きはつらい。
下りならば、そのまま川沿いに阪急六甲まで歩けなくもない。
だが、この道は登りが良い。下りはつまらない。
急峻で岩がちな尾根をぐんぐん登って行く、
垂直方向のスピード感を感じることができるコースだ。
入り口は表六甲ドライブウェイ旧道のヘアピンカーブ。
工事現場事務所跡の空き地を進み、すぐ沢に下る。
上流に向かって、左手の尾根に取り付く。迷うこともない細尾根道。
存外、展望は良くない。所々で東の六甲山方面が開ける程度。
何度も登っているが、いまだに人に出会ったことが無い。
有名なコースにしては、静かなところ。
地形図にも、この尾根には山羊戸渡と明記されているが、
六甲山牧場から逃げ出した山羊達が野生化しているとか、
山羊でもなければ歩けない岩場があるとか、というわけでもない。