摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

増水した地蔵谷を遡行する

8月17日の日曜日。結局のところ梅雨は、まだ明けていない訳だ。

天気図を見たって、どうにも梅雨に違いない。7月以降ずっとこうだ。

でも今日は少しまし。リュックも順延開催だし、久しぶりに山に行こう。

正午過ぎに家を出る。午後になれば、日が差すかと期待したのもあるし、

リュックもトワイライト開催で、急ぐ必要も無い。雄滝の水量はかなり多い。

イカーの数は少ないが、外国人の方が割合が多い。そうか世間はお盆。

日本人は75才以上と思われる方が多い。いつものジジババ集団がいない。

遠くへ行っている人も多いのだろうし、家の用事があるのもその年代まで?。

五本松の隠れ滝も、かなりな水量で、これから向かう地蔵谷はどうだろうか。

遠目に見ると、市ケ原の木橋が新しくなっている。台風11号で壊れたのなら、

とても早い復旧だ。ちょうど架け替え時期だったかも。摩耶山は増水も早いが

減水も早い。台風の影響だけではなく、昨日の雨のせいか随分水量が多い。

地蔵谷に入っても、すぐに入渓せず、一般道を歩き第2堰堤を越えた所で、

河床に下る。地蔵谷堰堤と第2堰堤の間も、歩けなくはないが、やや水質に

問題があるように思い通過した。ここでスニーカーを沢用の足拵えに替える。

堆積地を過ぎると、すぐに河床の岩盤が露出するようなる。摩耶山では珍しく

明るい岩が続く。これは岩そのものの色に加えて、苔が生えていないからだ。

やや水が濁っていたり、曇っているのが残念だが、十分に魅力を見せている。

すぐ側に一般道があることなど、全く気にならない。ワラジのフリクションで、

ヒタヒタと滑を歩く楽しさに夢中になっている。過去に、数回増水した折りに、

地蔵谷を歩いているが、今日はその中でも一番水量が多いように思われる。

台高や大峰の沢とは言えないが、比良の沢を歩いているような錯覚を覚える。

もちろん、実際のそれには到底及ばないが、自宅から歩いて2時間足らずで、

それなりの沢歩きを楽しんでいるのは、自分自身でもちょっとした驚きである。

地蔵谷のハイライト。15m斜瀑に突き当たる。やはり想像以上に水量が多い。

丸い釜の縁から水が溢れている。あわよくば登ってみようと思っていたのだが、

自分達には無理だ。とはいえ一般道に出るには、かなり戻らなくてはならない。

中段までは登れそうなので、そこから左手のリッジかガリーを登って越えよう。

まずは家族が先行する。下部はギザギザの岩場だ。斜度も緩く容易に登る。

とはいえ、流心を登るのは難しく、水流の左側に沿って登って行くことになる。

中段まで登った所で、左の木の生えたリッジに逃げる。さらに左のガリーへ。

続いてハムも登るが、この水量ではホールドを探るのも難しい。それ以前に、

水勢に負けてしまうのがオチ。息も出来ないだろう。ここは大人しく敗退しよう。

結局、浅いガリーの木々を頼りに、落口まで小さく巻き上る。振り返る滝の落口。

滝の上からも、明るい滑床が続く。前方の小滝を越えた所が一般道の渡渉点だ。

一般道が交差した後もナメは続くが、やや苔が多くなって、次第に暗い渓相になる。

いつもなら段差にしか見えないような小滝も、それなりの滝に見えるから不思議だ。

この上には第3堰堤があるので、小滝を越えた所で右手の上にある一般道に戻る。

第3堰堤を越えた一般道が、再度対岸に渡る所で沢筋に戻る。随分暗くなったきた。

次の第4堰堤までの間は、平凡な渓相だが、今日ぐらい水量があれば退屈しない。

すぐに地蔵谷で最大の第4堰堤に突き当たるが、一般道を使って乗越し沢に戻る。

第4堰堤の上は三俣になっているが、その中俣を登って行こう。しばらくで前方に、

大きな滝とも思える白い流れが見えてくる。もっとも実際は小滝の連続にすぎない。

階段状の岩が続くので、楽しみながら歩きたいと思いつつも、すぐに落口に至る。

落口の上に堰堤が立っているので、そこでスニーカーに履き替え遡行を終了する。

堰堤上は、広い植林帯に笹原が広がっている。そのまま登っても黒岩尾根道に

出会うが、少しでも楽をしようと、右手の尾根にある杣道を辿って、さらに東側へ

踏跡を選んで斜上し、やがて桜谷西尾根入口手前で、黒岩尾根道に合流する。