4月28日の日曜日は快晴。気温も上がりそうだし、今日も沢から登ろうかな。
昨年の5月、最後の詰めで誤り、目的の場所に登りつけなかった沢があった。
長峰山から杣谷に流れ込む沢のうち、岩ケ谷の一本北側にある無名の沢だ。
いつもは静かな杣谷道も、今日は大勢のハイカー。渡渉点では渋滞するほど。
入ってすぐに2段の小滝。上の写真は上段部分。先週の雨で水量は多いかな。
次の4米小滝には、トラロープが下がっているが、これは右岸の巻き道に張って
あったが結束が外れた為で、滝を登る為のものではない。触れないようにしよう。
続く多段の小滝。この沢の滝は入り口部分で終わる。沢登りの妙味は少ない。
おまけに4基もの堰堤があるのだが、つまらないかというと、そうでもないんだ。
最初の堰堤を越えると、沢は90度に屈曲する。上の写真は北に向かっている。
(各堰堤の乗越しや堆積地には、棘のある木が多い。皮手袋は必携だろう。)
このまま北に進むはずがない。長峰山は東側だ。そしてまた90度に屈曲する。
岩盤の発達した所なのに、両岸の尾根は低く、川床まで陽光が降り注ぎ明るい。
ゴルジェと言うには明るすぎる。他では見ない面白い渓相だと思う。ただし、
本格的な沢登りをする人にとっては、岩屑の多い平凡なゴーロに過ぎない。
2番目の堰堤は、4月13日に六甲線一三鉄塔から下り、谷を渡った場所。
中央上部に葉桜となった桜の大木がわずかに見えている。新緑が美しい。
3番目の堰堤手前が、この沢のハイライト。数十メートルの滑床が続いている。
ヒタヒタと流れの上を歩いても冷たくはない。空気は乾燥し、とても爽やかな日。
3・4番目の堰堤を越すと、最後の二股。去年は右を選び目的地に着けなかった。
左側に入る。急なルンゼに岩屑が詰まっている。落石を起こしそうでゆっくり登る。
登るにつれルンゼは浅く、やがて岩の多い斜面となる。右手に斜上して行くと、
目的だった長峰山頂北方の鞍部に辿り着く。椿の大木が多く印象的な場所だ。
下りは天狗塚を越えて、ハチノス谷東尾根を下る。途中、もう一つ用事がある。
昨日、日柳川から登りついた尾根に入る。キレットかと思ったところは、単に
大岩が積み重なっているだけで、隙間を縫って下って行け、岩場の上に出た。
頂部には、古い建築用ボルトと新しいぺツルのボルトハンガーが打ち込んである。
六甲アイランドから大阪湾の眺めが良い。バランスの良い家族が岩の頂部に立つ。
一応、ハーネスと補助ザイルで確保している。高度感と眺望を楽しんで満足そうだ。
ハムは岩の上に馬乗りになるのが精一杯。下を覗いても垂壁で、河床まで何もない。
気がつくと1時間程も岩場で遊んでいた。長峰墓地に下ると、閉門時間を過ぎていた。
追記 岩場の名は、「天狗梁」(テングハリ) 出典 六甲学院山岳部誌「たきび」7号