手元に、昭和43年創元社刊の「関西の山々」・・という本がある。
摩耶山は一コースだけが載っている。それがまあ、何ともマニアック。
黒岩尾根を登り、山頂や菊星台には寄らずに、桜谷出合へ下り、
石楠花山をへて、炭谷を谷上に下るという道程なのだ。
この桜谷へ下る部分が、どうもはっきりしない。案内文(多少略す)は、下記の通り。
>黒岩尾根最高点から、右側の樹林帯に入り、300米ほどで道は左右に分かれる。
>分かれ道から右へは天狗道から摩耶山、左へとって桜谷出合への急坂を下る。
此処ではないかと思うのが、アドベンチャールート分岐の手前の尾根。
北側のピークへ踏跡が続いている。杉の植林帯と雑木林の境界線である。
分岐から百米ほどで、緩やかなピークに達する。ピークからは四方に踏跡がある。
その中でも、もっとも西よりをたどると、桜谷出合への尾根に乗ることができる。
最初こそ、頼りない踏跡だが、下るにつれハッキリとした道となる。
中腹には、明治44年と記された石柱がある。神戸市と山田村との境界標識か。
その頃は、木炭を灘郷に運ぶ道として、かなりの往来があったに違いない。
前述の「関西の山々」が発刊当時は、登山道としても利用されていたのだろうか。
新緑の季節には何度か歩いたことがあり、松と落葉樹の高木が多いので、
今日は、黄葉に期待して来たのだが、既に落葉し初冬の装いであった。
桜谷出合の瀬音が聞こえるまで下ると、幾つもの脇道が現れる。
ここも最も西よりを下っていくと、桜谷脇の炭焼き釜跡に降りつく。
炭焼き小屋もあったのでろう、数米四方の平地があり、昼食休憩する。
今日は、黒岩尾根を境にして、北側はすでに冬の天候であった。
桜谷を登って、掬星台から帰ろうかと思ったが、今日は全山縦走の日。
騒がしさを嫌って二十渡渉を、新神戸まで下ることにした。