摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

清涼山(870m)・・・・・・安東市・・・2010年11月5日

安東(アンドン)市は、旅行者にとって、とても便利な街だ。

鉄道駅・観光案内所・市内バス停留所・市外バスターミナルが、横並び。

道路を渡ると、すぐに繁華街で、安ホテル・飲食店が沢山ある。

韓国ではバスターミナルから、市の中心部まで数キロ米あるのが、普通である。

登山を目的としていると、町外れのバスターミナル周辺しか、歩けないのだが、

安東市では、街歩きを楽しめた。といっても、とても小さな街だったが。


朝5時50分発の、清涼山(チョンリョンサン)行き67番市内バスは、

夜明け前、濃霧の中を50分程で、公園外の民宿村に到着した。

山門を模して作られた、売票所を通って、目的の登山口までは2kmほど歩く。

奉化(ボンファ)からのバスが、我々を追い越していく。

清涼山は行政区域としては、奉化郡に属しているのだ。

三つある登山口のうち、一番奥の登山口から登ることにする。

ようやく、夜が明けたばかりだが、自家用車で来た登山者が登っていく。

案内板によると、11月1日から一部の登山道が、例のごとく通行禁止となっている。

が、主峰の丈人峰をはじめ主稜線の主だったピークには登れるみたい。

道は、岩峰を大きな螺旋を、描くように高度を上げて行く。

樹林に囲まれているが、足元はすっぱりと切れ落ちていている山道。

バンド状の岩石層を、斜上しているようだ。

山中にある浮石寺(プソクサ)の立派な伽藍が見えてきた。

豊臣秀吉の侵略の際にも、破壊から免れたという古い寺だそう。

濃霧は、一応晴れたものの、靄がかかったようで視界は良くない。

最初のピークは、チャソ峰(840m)。山頂までは道がついておらず、

岩峰の肩の部分までしか登れない。よって展望も、270度ぐらいかな。

休んでいたら、後から登ってきたご夫婦に、リンゴをもらった。感謝。

主稜線上の別のピークから、チャソ峰を振り返る。手前の岩峰は、卓筆峰(タクピルポン)。


しばらく、樹林に囲まれた尾根を歩いていると、前方に黄緑色の建造物が現れた。

ガイドブックには載っていなかったが、最近にできたらしい岩峰間を結ぶ橋。

その名も「空の橋」(ハヌルタリ)。道標には、Sky Bridgeと英語名も併記されている。

旧道は、百米ほど下の谷底まで、一気に降りて、また登り直していたようだ。

800米の稜線上に、こんな橋を作るとは、素直にスゴイと思う。

感心したのは、資材置き場やヘリポート等に使用した跡地が、見当たらないこと。

周囲は自然のままの様子で、突然、空から橋が降りてきたようにさえ思える。


橋を渡り、コルに下って、登り返すと最高峰の丈人峰(870m)である。

丈人峰は展望はないが、少し進むと、岩峰の端に出て、西方向に視界が広がる。

相変わらず、靄がかかっており、遠望は利かない。昼食もそこそこに、下山しよう。

安東市行きのバス停まで下って、清涼山を仰ぎ見る。

対岸の滝は、山中の谷から土管で水を引いた、人工的なもののようだ。

バス停の背後は、モーテルや民宿、食堂、売店が集まった観光村となっている。

稜線上の橋といい、観光客誘致にかなり力を入れている様子だ。