摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

摩耶山 旧摩耶道から行者尾根

此の日は掛かりつけ内科医院に受診する為に三宮まで出て来たのだが、

第四土曜日が休診だった事を忘れていた。自宅を出る時に家族からは

「家が片付かないから、しばらく帰って来るな」と言い渡されている。

使った往復の交通費も勿体ないし、このまま帰っても怒られるだけだ。

さて、どうしよう。何の用意もしていないが山に行くしかないだろう。

新神戸の自販機でジュースを一本買い、雷声寺へトボトボ歩いて行く。

布引貯水池周辺でお茶を濁そうかと思ったが土曜日なので混むだろう。

雷声寺ではハイカーが一人降りてこられた。時刻は11時半。早いな。

内開きの猪除けのドア。なんで外開きにしなかったのか理解に苦しむ。

締め忘れても外開きならばまず入ってこない。下り方向に開くことで

蝶番の負荷が大きくてすでに歪んでいる。先日の雪で発生したJRの

立ち往生にしろ、日本の劣化が進んでいるなと思いながら歩いて行く。

お前が言うなという声が聞こえそう。昨日平地では雨が降っていたが

山では雪だったよう。薄っすらという感じで積もっている。24日に

降った雪は残っていない。歩き慣れた道だが雪景色はそれなりに新鮮。

旧摩耶道の展望所から。細かい雪が舞っていて視界はあまり良くない。

朝一番ならば山も白かったかも。いつか此処から雪を被った摩耶山

写真を撮りたいと思っているが、なかなか暖冬傾向で夢はかなわない。

久しぶりに歩いた旧摩耶道だが、雨で土砂が流されて細くなっていた。

積雪は無かったので通行に問題はないが、補修しないといつか斜面に

消えてしまいそう。最後に谷へ下る所の桟道にだけ残雪が多くあった。

行者堂跡からは旧摩耶道を離れて行者尾根に向かう。中段の岩場から

摩耶大杉の方向を望む。此の杉林は天上寺の寺領であろう。細かい雪

が舞っているが風は弱いので、これ以上に天候が崩れるとは思えない。

足跡からすると今日の先行者は二人。降ったばかりの新雪を踏まれて

行かれたかと思うと少々羨ましい。この調子なら天狗道に出るまでは

雪は柔らかくアイゼン無しでも問題なさそう。その後がちょっと心配。

まあどうにかなるさと歩いて行く。行者尾根上部から摩耶山頂を望む。

時折、人の声が聞こえるのは学校林道や天狗道を歩くハイカーのもの。

上るにつれ雪は増える。一応用心して歩いているのでどうしても遅い。

行者尾根の頭に到着。此処へ来ると風が強くなって体感温度が急激に

下がるのだが今日はさして寒くない。結局山にいる間、長袖Tシャツ

にフリースだけ。ヤッケも着ていない。気温はそれほど低くないよう。

流石に天狗尾根は人が多い。10組程もすれ違う。雪も踏み固められ

二箇所有る鞍部の下りではツルツル滑る。道の端の雪の柔らかい所を

選んで歩く。最後の丸木階段を上がると何だか山深い所に来たみたい。

NHKの電波塔まで来ると港から汽笛が三回聞こえる。これを視界が

ない為に鳴らしたと思ってしまう。掬星台に行っても展望がないなら

仕方がないし、時間も遅いから行くのは止めて三角点に寄っていこう。

三年前に摩耶山の702mという標高に疑問を持って以来の三角点だ。

こんな日にも訪れる人は多いらしく、周囲の雪は踏み固められていた。

だが三角点は698.5mなのだ。いま一つ登頂感に乏しい所である。

掬星台から旧天上寺跡に下る道は雪が踏み固められ凍っていると思う。

それに比べれば三角点からの道は雪が柔らかいはずと云うのも山頂に

立寄った理由の一つ。でもこんな急階段があったっけ。横歩きで下る。

どうにか転ばず天上寺跡まで下ってきた。すると青空まで見えてきた。

掬星台に寄るべきだったかと悔やむ。いつもと違う景色が見れたかも。

東灘から向こうは暗い雪雲に覆われているが、灘区以西は晴れている。

だがまだ気を抜けない。長い石段が待っていた。他人の目がないのを

良いことに手すりに掴まって後ろ向きに下っていく。手袋も無いけど

素手でも金属製の手すりがそんなに冷たくない。やっぱり気温は高い。

山門まで無事下れたが、その下で石段が崩れている所で転んでしまう。

さらに下った鞍部辺りは古い雪も残っているようで、スケートリンク

みたいになっていた。人の多い山は低くても軽アイゼン位は必要だな。

地蔵前広場から下は雪がなくて、ほぼ普通のスピードで下って来れた。

ゆっくり歩いたせいか疲労感はないが、多少は運動不足解消になった

かな。まっすぐ家に帰ると怒られそうだから銭湯に寄ってから帰ろう。