摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

成就山(236m)・・・京都市右京区

1月12日は朝から無風快晴。仁和街道に伺いたい食堂があったので

11時半開店同時に行くが、一見さんお断りの憂き目にあってしまう。

正確に言うと常連で満席になるので、12時40分以降なら良いとか。

急遽一条通の旧知のカフェでブランチにする。そこから歩いて30分。

時刻は13時近くになったが、成就山八十八か所巡りには十分なはず。

仁和寺の山門から成就山を遠望する。三つピークが視認できるだろう。

仁和寺花まつりの時期を除き境内には無料で入れる。だが拝観料の

支払いを促す看板が有った。なので西門への通り抜けは遠慮する事に。

一旦門外に出て西側の瀟洒な住宅街を辿り、第一番の霊山寺に行着く。

つまり四国八十八ヶ所のミニ版である。実際の寺の名の付いた御堂が

88軒ある。本尊もレプリカというか同じ仏像が安置されているよう。

前回は山歩きに重きをおいたが、今回は一つ々の仏像を見て歩きたい。

標高300m足らずの山にその数だから、10m置き位に御堂が並ぶ。

仏像を拝見する為に御堂に近づく為、道から数段上がらねばならない。

この僅かな運動でも88回繰り返すと、それなりに体力を奪っていく。

第二十四番、最御崎寺(ほつみさきじ)に至ると西南に展望が開ける。

ベンチもあるので小休止しよう。無風快晴であり一月にしては暖かい。

二本杖で下りて来られた方に話しかけて頂く。15年で3600回も

この山に登られているとか。仏像は薬師如来が一番多く28体だとか、

最も展望の良い休憩所等を教えて頂いた。このベンチから尾根沿いに

広い道が伸びているが、これは近道で巡礼路は右手斜面へ下って行く。

三つばかり御堂を廻り主稜線に戻って来ると展望が広がる。この先に

まだ々展望の良い場所があるらしく休まない。この辺りから背の低い

雑木林となるので、明るい冬の陽差し溢れる緩やかな尾根歩きとなる。

第四十一番の龍光寺は六角形。先ほどの方によると三度回ると身体が

悪くなった時に人の世話にならずとも良いらしい。例としてこの山で

ポックリ逝った御老人の話をされた。其れに倣って家族が回っている。

成就山の頂上とされている第四十八番の西林寺に到着。地図を見ると

北側に240mの等高線があるので実際の頂上ではないと思われるが、

参道の最高所という意味の看板だろう。西側が伐採されて展望が良い。

みすぎ山から嵐山のかけての山並み。保津峡を挟んで右側に愛宕山

ひときわ高い。此処にも木琴のようなベンチが有って休憩適地だけど、

先の方によると少し先に京都市内を一望に出来る展望所があるという。

御堂を二つ行き過ぎ、参道が大きくカーブする所がその展望所だった。

ここにも地元の方がいらして温度計が26度を指していると話される。

180度の展望があって、樹幹越しながら比叡山愛宕山を見渡せる。

コンビニのゼリーで小休止。その地元の方に景色を色々解説して頂く。

石清水八幡と天王山の間にぼんやりだが高いビルが見える。その方は

ハルカスではないと言われる。それでは何処のビルが見えているのか。

確かにハルカスは大阪市内のビル群とセットで見える事が多い。故に

一棟だけ屹立した様子は違うかも。ちょっとした命題を与えて頂いた。

九十九折の参道沿いの御堂を廻りながら下って行くと溜池の脇に着く。

第六十五番の三角寺は他の御堂と大きく趣が異なる。何よりも御堂が

荒れ放題だ。宿泊所或いは住宅が併設されている点も違う。裏手から

水音が聞こえて進んでみると謎が氷解した。行場の滝が設えてあった。

伏見稲荷大社周辺に沢山ある民間信仰の所謂「御滝」である。ならば

この施設は仁和寺とは関係がなく、他の御堂とは所有者が違うはずだ。

その経緯は分らぬが当分の間は、荒廃したままの状態が続くであろう。 

六十八番の神恵院は溜池の上に建っている。八十八か所の中では最も

豪華な御堂。釣鐘型の扉越しに阿弥陀如来像を拝見。御堂によっては

扉に近づけない所、仏像がガラスケースに収められ見え難い所もある。

八十八か所巡りも終盤、讃岐の国に入る。どうやら此の辺りで御堂の

建設余地が無くなったよう。狭い範囲に御堂が犇めいている。順路の

標識に従って、グルグルと上がったり下がったりしながら御堂を巡る。

前回どうにか立っていた第七十一番の弥谷寺が、完全に倒壊していた。

此の先は山歩きの雰囲気も無くなる。そして八十八番の大窪寺で終り。

全ては見れないが一度に多くの仏像を見れるのは初心者にとって幸い。

さて、仏像への興味は「マンガでわかる仏像」という本を読んでから。

無信心なハムにも様式や法則が分かり易かった。ところで成就山から

ハルカスが見えるかについては、次に歩いた比叡山で難なく解決する。