摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

名残の紅葉を探して再度山(470m)

三ノ宮に用事があって行ったのだが、午後から4時間程の時間がある。

もう遅いだろうが残った紅葉を見に布引貯水池辺りを散策してみよう。

新神戸駅から砂子橋を渡ると、園地にまだ鮮やかな紅葉が残っていた。

普段はラジオ体操をする人達しか見ない公園だが、思わず踏み入った。

たしか東屋の向こうに階段があって、雌滝への散策路に戻れるはずだ。

誰も同じ思いか、前のハイカーも紅葉に魅かれて園地に入られたよう。

雌滝を経て雄滝に至る。観光の為に人工的に流量を調整しているはず。

だが糸を引くような少なさである。その代わり滝壺の水面は穏やかで、

透き通った水はエメラルドグリーンと言えないまでもそれなりに綺麗。

滝茶屋まで上がると紅葉は散っていたが、時季を選べば茶屋の食事も

リーズナブルと思えて来た。新緑か紅葉の綺麗な時に湯豆腐なんかで

ビールを飲んでみたいもの。五本松堰堤下は一本だけ葉を残していた。

布引貯水池周囲や紅葉茶屋辺りの木々は、すっかり葉を落としていた。

市ヶ原の上まで来ると陽が差し、枯葉色だった葉が一気に赤く染まる。

さっきまでの曇り空の下で見ていた景色とは随分違い、気分も上がる。

櫻茶屋の前から市ガ原に降りる。木橋を対岸に渡った所は特に紅葉が

映える場所なのだが、川沿いは寒いからかすっかり葉を落としている。

平日の今日も数名のハイカーが焚き火を楽しんでいた。のどかな風景。

焚火に関しては色々意見もあるだろうが、容易に楽しめる場所として

現状を維持してほしい。木橋から西に向かい舗装路に出る。蛇ガ谷の

分岐では高木が葉を残していた。それを見上げる位置にベンチが有る。

大龍寺に入り再度山に向かう。山と言っても本殿から奥の院と参道を

辿っていくので自然な感じはしない。15分ほどで亀の岩に到着する。

ここまでが信仰の対象で、ほんの少し上がるだけの山頂には祠もない。

数年前に南側が伐採されて展望が良くなった。どういう目的の事業か

不明なまま。自治体の仕事なら何か掲示されると思うので、大龍寺が

独自にされたのだろうか。埃っぽい所で食事をするには向いていない。

下りは北西鞍部に出て全山縦走路を大龍寺に戻る。大師道から降ろう

と思うが、一般的な鯰学舎の前へ出る道は余り好きでない。南へ進み

善助茶屋跡から尾根伝いの道に入る。短い距離だが少し山らしい感じ。

猩々池の横へ下ってくると、光線の加減かモミジの葉が透けて見える。

実際に葉が不透明なはずもないが、その先に有る幹の影が見えている。

どういった視覚効果なのか。いつになく猩々池周囲も綺麗と思ったり。

大師道の下り始めの紅葉はすっかり落ちていた。ただ標高を落とすと

だんだん名残の紅葉が増えてくる。地域の人には毎朝登山の道として

好まれているが、廃屋の連なる暗く陰気な谷間で全く好きになれない。

そんな谷にも紅葉越しに日が差し込み、黄金色に輝いているかのよう。

それにしても毎回おんなじ場所で写真を撮っている。冗長で退屈な谷。

少し変化をつけようと燈籠茶屋に立ち寄るが、時遅く閉店されていた。

燈籠茶屋前の大クス。一段上の再度山荘から賑やかなご婦人方の話声。

看板のピザの値段を見て恐れをなすが、きっと凄く美味しいんだろう。

デリバリーサービスの配達員もやって来ていた。いつも盛業中である。

車道を降らず左岸の水平路に入る。時間があればビーナスブリッジに

寄りたいが此の後に用事がある。右岸に稲荷茶屋が見えるが数年前に

再建され開業されたと聞いたが、今はもう閉業されているとのことだ。

その代わり背後の台地に一棟貸しの宿を開業されている。全体として

相当な投資額と思われるが需要は有るのだろうか。他人事ながら心配

になるが、正に余計なお世話。水平路沿いにもまだ紅葉が残っていた。

曇り空ならくすんだ茶色や黄色の葉にすぎないが、冬の低い日差しに

照らされて綺麗に見えている。肉眼ではもっと濃い色だけどレンズを

通すと逆光の為か白けた色になってしまう。スマホカメラのせいかも。

この木も実際は真っ赤に見えたんだけどな。いろいろ試してみたけど

自分が見ているような色にはならない。やっぱり一括1円スマホじゃ

駄目なんだろう。とにかく雰囲気だけでも伝わればと写真を掲載した。

12月中旬にしてこれだけ楽しめばまずまず。諏訪神社から東へ下り

山本通からトーアロードへ。あっというまに都会の中に戻ってしまう。

午後からは晴れて寒さも厳しくはない。初冬というよりは晩秋の一日。