普段の日曜日は人出を警戒して外出しないけど、ポートアイランドに
用があり山歩きを絡めてみる。そろそろ摩耶山南面のミツバツツジが
見頃ではと思われたので岩屋尾根を選んでみた。スタートはJR灘駅。
親子連れで賑わう王子公園。桜の花弁は散ってガク片がより濃い色を
残している。ここからも学校林道451Pの鉄塔群は、三本に見える
(本当は四本ある)。公園を北に抜けると青谷川左岸線を進んで行く。
黄色いウコンザクラ(鬱金桜)の並木が、ちょうど満開を迎えていた。
街路樹としてより庭園に一本あった方が、映えると思うがそれはそれ。
その流れで青谷登山口まで、東側の住宅街の中を歩いて行く事にする。
いきなり急な石段に突き当る。周囲は立派な石垣に囲まれた御屋敷が
多い。道路は複雑に入り組んでいるが、西へ進むと青谷登山口に到着。
女性がおられて5日に、行方不明になった方の捜索依頼をされていた。
近所の御老人だとか。青谷を遡行してみればと思うが、我々が行くと
間違いなく二次遭難を起こしてしまう。深く険しい渓谷を上から覗き
込みながら歩いて行く。日曜なのでハイカーが多くて賑やかな青谷道。
行者堂跡の奥にある屋敷跡。ここから岩屋尾根の支尾根に取りつこう。
石段を上がりすぐ右手に入る。踏跡らしきがあったと記憶していたが、
歩く人が減ったのか見当たらない。ただし細尾根なので迷う事もない。
地面は柔らかいが、よく見れば鋸や鉈の跡が続いている。さして藪を
五月蝿く感じずに歩いて行ける。山桜が満開だけど、ツツジには少し
早かったようだ。咲いている株もあるが数は少なく、花も疎らである。
岩屋尾根には、大龍院裏から旧摩耶道を交差して尾根通しに道がある。
ただ樹林が濃くて展望皆無である。一方この行者堂裏からのルートは
山頂方面の眺めが僅かにあり、いつもと違う角度で見ることが出来る。
天狗尾根と摩耶大杉の間に摩耶山頂が見えている。それぞれが別個の
ピークのようで好きな景色。手前の顕著な尾根が行者尾根。一直線に
突きあがる様子が中々ダイナミック。普段歩いているより険しく思う。
尾根道に出るとそのまま上りかけるが、開花しているツツジが少ない。
すぐに天狗道に出ても退屈だと思い返す。尾根道を少し下ってみよう。
5分ばかり一般道を下ると岩が点在して、多少展望が効く箇所に至る。
樹間から三本鉄塔。北側斜面は山桜の多い所。いずれも大木で近くに
行って見上げても下生えの照葉樹に遮られて見えない。こうして遠望
するしかない。此の場所も樹木が茂って、やや展望が悪くなって来た。
テルモスのコーヒーで一休みして、元の道を上り返し天狗道を目指す。
豊作の年には両側がツツジの花で埋め尽くされる所。だが今年は若葉
が、花よりも先に萌え出している。今年は不作の年かと思ってしまう。
一本だけ満開の株があった。ミツバツツジは花が先に咲いてこそ綺麗。
だが同じ株でも年によって若葉が先だったりする。どうもその生態が
分からない。後にも先にもこの一本だけで、花見山行としては空振り。
淡々と高みを目指していくと天狗道に飛び出した。上りは簡単だけど
下るとなると斜面から尾根に乗るまでが少々難しい所。さすが日曜日、
555ピークまでの僅かな間で、20名近くのハイカーと擦れ違った。
555m標高点がある学校林道との分岐。此処から学校林道を下るが
何と途中で崩落地に気付かずに通過してしまう。あれほどの展望所を
見過ごすとは、樹木が相当繁っていたのか。機会を作って確かめたい。
三本鉄塔に到着。改めて見ると茶色に塗装された三本は、一組で一つ
の役割を果たしている。緑色鉄塔は支線の一本目にすぎない。今まで
このピークを三本鉄塔と呼ぶのは、麓から見て三本に見えるからとか、
昔は三本だけあったからかと思っていたんだが、そうじゃないのかも。
理由は分らないが三本の鉄塔で、高圧電線を複雑に組み合わせている。
他に見ない特異な設置例であり、故に三本鉄塔と呼ぶのかもしれない。
旧摩耶道を下り雷声寺。境内の木が刈り払われ妙に明るくなっていた。
40年前まだ有住であった頃の様子とは隔世の感がある。生田川河口
から小野浜公園、みなとのもり公園を繋いでポートアイランドへ歩く。
ポートアイランド北公園近くから。この景色を見て家族は、やっぱり
神戸の象徴は六甲山じゃなくて摩耶山だと呟く。新港第三突堤に停泊
するのは宮崎カーフェリー。6年前に就航したらしいが知らなかった。
日曜日は18時出航。まるで日没に合わせたように港外に出て行った。
夕日はさほどキレイでなかったが、薄暮の空がレンズを通すと印象派
の絵画のように写っていた。また神戸市内に住みたいと思うが難しい。