正月だからと言って何をする訳でもない。元日は寝過ごして初日の出
を見るのも忘れた。だが2日は天気も良さそうなので何処か歩きたい。
ふと篠原台から取りつく長峰山一般道の様子を、見に行こうかと思う。
以前は阪急六甲駅から歩く事が多かったが、転居してからは市バスを
利用してばかりいる。年末に届いた健康診断の数値が極めて悪かった。
もっと運動をしなくてはいけないんだが。寒さに段々弱くなっている。
幸いこの日は風も穏やかで気温もそれほど低くない。まず大月大橋を
渡る。今日はいつになく橋の上からの視界が良い。大月台の住宅街を
通り抜けて、自治会館前で炭山川を渡ると篠原台の町内へ入って行く。
篠原台22丁目と23丁目の境界。車の回転場の様な所から山に入る。
相変わらず道標はない。かといえ進入を咎めるような措置は何もない。
この上に鉄塔が有るので関電巡視路かと思われるが、その標識もない。
伯母野への道が閉鎖されてから歩く人は増えたようだが、相変わらず
ザレた道は歩きにくい。ハイキング道として公認されて土留階段でも
施される事が望まれる。恐らく私有地なのでいろいろ難しんだろうな。
以前は尾根を直上する踏跡もあったが、現在は擁壁の上をトラバース
する道だけになっていた。まあどちらでも篠原線一四鉄塔に到着する。
鉄塔周囲の笹がスッキリ刈られている。最近関電の手が入ったようだ。
此方が伯母野へ出る以前の一般道。ロープで通せんぼしてある。この
土地は松陰女子のグラウウンドだった所だが、長い間放置されていた。
売却され持ち主が変わったのかも。やはり通行不能と考えた方が良い。
もともと伯母野山町の登山口は、2系統のバス停から遠く不便だった。
篠原台の登山口が公認されればその方が良い。8年前に出来た天狗塚
堰堤。過去に3度も越えているのに家族は初めて見たような事を云う。
ハムに連れ回されているだけだから、何処を歩いているのか分かって
ないんだとか。この一般道の嫌いな部分。片流れの斜面が長く続く所。
足首が痛くなるほどだったが、よく踏み固められ歩き易くなっている。
二番目の鉄塔の周囲も大きく刈られている。以前に比べて関電の伐採
基準が大きく変わったのではないだろうか。最近はかなり広い範囲を
樹高も低く刈るようになった。又「鉄塔巡り」をするのも面白いかも。
正月なので工場も操業していない所が多く、空気も澄んでいるように
思われる。神戸製鋼の煙突が吐いているのは煙ではなく水蒸気のよう。
先日歩いた大阪の港湾地帯と比べると、神戸港は小さく見えてしまう。
2年前に来た時はイノシシが掘り返して、何処が道か分からなった所。
今はしっかり踏み固められ道と分かる。道に沿った石積みも心なしか
直されている様な気がする。ここまで総じて良い状態が保たれている。
三番目の六甲線九鉄塔に到着。六甲山方面の眺めが有る。鉄塔基部に
座り込んで小休止。天狗塚まで一気に登らないといけないと思うけど
もう体力がない。衣服も沢山持ってきたけど日の当たる所は寒くない。
三本の椎の木が木陰を作る所。2年前は此処から笹薮が身の丈ほども
茂っていた。それが十分通行できるだけ刈ってあった。巡視路の区間
ではないので有志の方の仕事だろう。これなら朝露にも濡れずに済む。
膝の位置で刈られているので鎌を使った手作業かな。笹原は100m
程も続くので、きっと腰が痛くなっただろう。我々には到底無理だな。
通販の充電式の草刈り機だと、笹は刈れないかな等と話しながら進む。
標高が上がると根笹からミヤコ笹に変わる。長峰山では好きな区間で
毎回写真を撮っている。なぜだか天狗塚を越えると無くなってしまう。
関電巡視路尾根道、ハチノス谷東尾根道、西尾根道と分岐が三つ続く。
今年はコウヤボウキ(高野箒)の綿毛が大きい。その昔に高野山では
この幹を束ねて箒を作ったので付いた名前とか。高野山は先日歩いて
いるが、あまり見かけなかった。杉の植林帯となり育たないのだろう。
天狗塚に到着。以前はこの名前を少々疑問に思った事もあるが、西側
の松の木が刈られて、ロープウェイからもその形が良く見えるように
なった。遠望すると意外に方形で塚という表現も相応だと思えて来る。
岩陰には年末に降った雪が少し残っていた。さすがに寒風が吹き抜け、
持ってきた衣服を全部着込んで小休止。下りかけると杣谷峠から一人
歩いて来られ下山路について尋ねられる。説明したけど伝わったかな。
「通るため通り抜けできません」って文章になってるような、いない
ような。更に「天狗塚までは通行できます」と思わせぶりが悩ましい。
古い地図やガイドブックを見て来た人は、此処からどうするんだろう。
杣谷峠のトイレ。冬の間は閉鎖され北側に簡易トイレが置かれている。
奥摩耶ドライブウェイに出るとハイカーの姿が多い。ほんの僅かの間
に8人ほど通られる。それでドライブウェイを歩いて行くのを止める。
久しぶりに尾根通しにアゴニー坂の鞍部まで行こうか。東屋の脇から
関電巡視路が六甲線一六鉄塔まで続いている。此処も又キレイに笹が
刈られていた。この上の壊れかけていたプラ階段も補修されたみたい。
鉄塔を過ぎた所から見る穂高湖。この気温では凍っているはずもない。
年末寒かったので、勧進滝も氷結するだろうと思ったが、どうなる事
やら。もっとも寒さに弱くなり、自分の方が見に行けるか自信がない。
鉄塔からは尾根をスイッチするように渡って、稜線通しの踏跡を辿る。
すぐ横をドライブウェイが走っているとは思えない静けさ。一時期は
好んで歩いていたが数年ぶり。特段に変わった所も無くてホッとする。
ただ尾根通しに歩く人が減り、木の袋尾根へ回り込む人が増えたよう。
先を行く家族が分岐を左に入るのを呼び戻す。もっとも進み過ぎると
ドライブウェイに下ってしまう。最高部で左へ急下降する踏跡に入る。
すると木の袋尾根からの道に合流して、アゴニー坂の鞍部に到達する。
此処も岩の上に薄っすら雪が残っていた。本当はもっと積もっている
のではと期待していたが、年末に降った雪は溶けてしまったみたいだ。
少しは正月気分を味わいたくて天上寺に立ち寄った。今年もアメ湯の
接待をされていた。参拝客の半分はハイカーで、皆さん服もザックも
高価な物を身につけられている。なんだかいつもの摩耶山と違ってる。
掬星台のベンチで昼食休憩する。今日の山ごはんは、ミルクぜんざい。
段ボール製の風除けを初めて使う。金属製の物は重いので買いかねて
いたら、百均で簡易なものを見つけた。一応役目は果たしてるみたい。
家で作った餡を牛乳に溶かして完成。家族は好物だと云うが、ハムは
どうも。お餅もあんまり好きではない。まあ雑煮よりは美味しいけど。
帰る前に展望台に行き、最近スマホに入れた山座同定アプリを試そう。
黒い線で見える稜線が描かれているが、ピッタリと合わない。原因は
アプリにあるのではなく、自分のスマホのGPSが不正確なんだろう。
それでも薄っすら見えている大峰の雪山が、弥山と釈迦ヶ岳と分かる。