摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

松尾山(276m)と嵐山花灯路・・・京都市西京区

何かと理由をつけて京都へ来ている。四条烏丸にある食堂のランチが

その本当の目的。今回は嵐山で開催されるライトアップを口実にする。

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ランチを終えたのは12時半。四条大宮まで歩き嵐電に乗って嵐山へ。

ライトアップは17時から、それまで軽い山歩きをして時間を潰そう。

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修学旅行生が姿が多い嵐山。最近の平日では一番の人出かと思われる。

渡月橋の背後に見えるのは烏ヶ岳。歩くのはもう少し南寄りの松尾山。

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確証はないが中之島橋から見えるピークが松尾山だろうか。今日歩く

コースは京都一周トレイルの一部なので、道標の類に困るはずはない。

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阪急電車の嵐山駅から西に向かって、突き当たった商店の壁に最初の

標識。普通は木製の標柱だが、よほど余地がないのだろう狭いバス道。

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ほんの少し南下すると次の道標がある。スタートのこの場所は雑然と

した雰囲気の場所で、標識がなければ進むのを躊躇してしまいそうだ。

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だが山に入ると幅の広い道が竹林の中に通じている。緩やかに上って

行く道の幅員は約1.5m。老婆谷もそうだがちょうど牛車が通る幅。

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薪炭の運搬路だったろうと思うが、そんな話をしても家族は聞く耳

持たない。またいい加減な事を言っていると、全く話に乗って来ない。

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やや傾斜が上がり岩盤が露出する路面。単に人が歩いたから出来た道

ではなく、計画的に掘削し作られた道と思う。ただ周囲の林相は雑多。

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イカーから四つ辻と呼ばれる広場に到着した。北東が僅かに開けて

北山が見えている。ドラム缶の防火水槽やベンチがあって小休止する。

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四つ辻にある標識。トレイルが五角形に描かれているが、実際の道は

そんな形ではない。それでも単にピストンするよりは遥かに好ましい。

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四つ辻からは普通の山道となるが傾斜は緩やかなまま。落葉樹は既に

葉を落としている。杉林のイメージが強い京都の山にしては明るい方。

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初冬の乾いた空気の中、山歩きというよりも散策といった感じで進む。

というのも17時のライトアップまで、かなり時間の余裕があるから。

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松尾山の頂上に到着。西側に少し展望がある。此処は以前保津峡から

歩いて来た事がある。その時は苔寺へ下ったので、今日の道は初めて。

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その時よりも人為的な伐採が進んでいるようだ。無理に広げる必要は

ないと思うが、頂に眺望を求めるハイカーの気持ちも分らなくはない。

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頂上でも30分ほど停滞していたが、まだ時間がある。ネット情報で

烏ヶ岳寄りに展望地があるらしいので、トレイルを離れ行ってみよう。

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とはいえ良い道が続く。傾いた陽が差し込みとても明るい。暗くなる

までもう少し時間がかかりそう。ほぼ水平な道をのんびり歩いて行く。

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やがて道は尾根の西側を進むようになる。大きな岩場が現れた辺りで

稜線が抜けているように思われたので、岩場を上ってみることにした。

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稜線上には踏跡があって、少し北へ進むと東西が抜けた露地が現れる。

丸太造りのベンチもあるので、此処が目指していた展望地に違いない。

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南側の長岡京あたりも望める。右から傾斜を落とす山影、稜線に鉄塔

が多いのでポンポン山か。空気が澄んでいれば大阪市街も見えるかも。

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休んでいたら烏ヶ岳から賑やかな声が近づいてきた。高齢ハイカーの

団体さんだった。北側の道から上がってこられたので我々は退散する。

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来た道を戻りトレイルに入ると、標識に展望良しと記された所に出る。

桂川に架かる渡月橋が望める。左下にはモンキーパークも見えている。

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先程居た展望地はモンキーパークの尾根の頭。団体さんはその尾根を

下って行かれたようだが大丈夫かな。私有地でフェンスがあると聞く。

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地形図には破線があったので、我々も歩きたかったのだが諦めている。

トレイルを辿り四つ辻の広場に戻ってきた。16時を過ぎて少し暗い。

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元の道を下ってバス道に出たのは16時30分。ライトアップまでは

少し時間があるが、最初に法輪寺へ行き17時の点灯を待つとしよう。

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法輪寺渡月橋の東詰めから対岸に見える寺院。訪れるのは初めてだ。

どうやら拝観料は要らないよう。ライトアップ用の行灯や生花がある。

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最初に目がついたのがヘルツとエジソンレリーフ。境内に電信電波

を祀る電電宮があるという。由来はともかく良い所に目をつけたもの。

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護持会員の名札を見ると資金豊富な大会社ばかりだ。多額の賛助金を

奉納されているだろう。拝観料が要らなかった理由はそんなところか。

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そんな穿った見方をしなくても、法輪寺十三参りで有名な寺であり

多くの信仰を集めているそう。広い舞台はそのためにあるのだろうか。

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17時になると用意された行灯がいっせいに点灯された。まだ明るい

がすぐに暗くなるはずだ。嵯峨野を俯瞰する大舞台からの展望は見事。

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渡月橋もライトアップされているはずだが、ここからでは分からない。

土産物店の灯りの方が派手だったりする。足元の歩道の行灯が面白い。

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いったん大舞台から山門まで下ってきた。ライトアップされた石段を

スマホの夜景モードで撮ってみる。荒い画質になってしまい何だかな。

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通常モードで撮るとブレてしまうが、実際に見えた景色には近いかも。

石段の途中から渡月橋の東詰めに下る歩道が、人も少なく興趣がある。

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ライトアップされた渡月橋。家族は橋自体が光ると思っていたらしい。

なるほどその方がインパクトあるかも。昼間見ているのと変わらない。

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桂川左岸から対岸の山肌を照らす。無理矢理な感じがして美しくない。

時刻は17時33分すっかり暗くなった。だんだん人出も増えて来た。

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今度は人の流れに乗って竹林の小径へ向かう。各所に案内の人が立ち

自然と歩いて行けるが、相当な経費が掛かっている事は自ずと知れる。

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最初の野宮神社辺りではブルーの光線で彩られていた。一瞬おやって

思う。高校の文化祭みたいなノリ。まあ一方通行なので歩いて行こう。

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嵐山での花灯路は17年目の今年で終了する。冬の閑散期に観光客を

呼び込むのを目的として始まったが、資金難なので廃止されるらしい。

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そういった報道を見聞きして来られた方も多いよう。我々もその類だ。

我々の後ろを歩いているオバさん二人が面白い。本当は三人だったが、

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一人が先へ進んでしまったらしい。「ヨシ子さ~ん。もう帰ろうな!

おんなじ景色ばっかりで面白ない。もっと情緒のある所へ行こうな。」

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と大声で何度も叫ばれる。これだけ大勢の人がいれば違うヨシ子さん

も居たりして、「あんた、呼ばれてるで。」という声も聞こえて来る。

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結局ヨシ子さんは相当先へ進んでいたらしく、竹林の小径の終点まで、

オバさん二人組もご一緒した。もっと情緒のある所って何処だろうか。

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その点は聞いて見たいと思ったが、オバさんの意見は尤もだと言える。

やっぱり昼間に歩く方が良い。竹林の小径を抜け小倉池横を北上する。

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何だか人だかりが出来てる。散っていないモミジの木が有ったからだ。

やや無機質な感じのする竹林を見続けた後は、色褪せても優しい感じ。

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照明の性能が良くなりすぎかも知れない。蠟燭や白熱電球の灯りなら

と思わないでもない。常寂光寺は拝観料が要るので料金所で折り返す。

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落柿舎(らくししゃ)の前では、何かの光線の演出が行われているが、

パチンコ屋さんの電飾みたい。敢えて京都で見るべきものと思えない。

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二尊院まで行くと無料で渡月橋近くまで送って頂ける。我々は20分

待つが、タイミング良くすぐ乗れた方もいた。意外に利用者は少ない。

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渡月橋に戻って来たのは19時ちょうど。法輪寺に入る機会を得た事

が一番の収穫。夜の嵐山を散策も楽しんだ。ありがとうございました。