12月9日、この日は京都市バス一日乗車券を使って三ヶ所位回ろう
という計画だった。だが最初の石清水八幡宮でつまづき、四条烏丸で
昼食を終えたのは15時になった。適当なバスに乗り花園駅を目指す。
上の写真は11月に成就山から撮ったもの。住宅密集地に浮かぶ島の
ような雙ヶ岡。双ヶ丘、双岡等の様々な表記をされるが、読み仮名は
「ならびがおか」である。周囲との標高差は50m程にすぎない小丘。
四条烏丸から3本のバスを乗り継いで、花園扇野町バス停で下車する。
適当な方向のバスに飛び乗り、路線を確認して乗り換えを繰り返した。
既に時刻は16時12分。車道を北側に渡れば、すぐに三の丘上り口。
住宅密集地からすぐ登山道が始まる、国の名勝に指定されているとは
思えない雰囲気である。雙ヶ岡はその名前に反して、三つのピークで
構成されている。遠望すると二つの山に見えるので雙ヶ岡と云うよう。
何だか三本鉄塔と似た話。もっとも三の丘は標高78mと一番低くて、
頂上も樹林に囲まれ印象が薄い。古墳の案内板が有ったぐらい。浅い
鞍部を上り返すと大きな岩が現れる。変わった岩だが名前はないよう。
二の丘は頂上近くになると樹林が薄くなる。計画的に間伐した訳では
なく、風倒木を処理した結果のよう。まだ倒れそうな木があるとの事
で迂回路が作ってあった。丁寧な案内の看板が英語なのが京都らしい。
不揃いな切株が気になる。素人の仕事だろうか。国の名勝指定を受け
ている以上、勝手伐採ではないと思いたい。六甲山では管理を民間の
団体に任せた結果、過剰な伐採が行われている地域が有るように思う。
二の丘(102m)の頂上には三角点はなく、私製山名板が一枚ある
のみだった。来る前に軽く下調べしたが、展望は皆無だと思っていた。
どうやら此処数年の台風により、数多くの風倒木が生じた結果のよう。
やや北へ下ると公設のベンチと展望同定版が有った。ここで水だけの
小休止。ただ右側の松の木が育ったためか、ベンチに座ると比叡山が
見えない。左側手前に見えているのは、衣笠山と左大文字山であろう。
ベンチから立ち上がり、少し北側によると秀麗な姿の比叡山が見えた。
北尾根にある横高山と水井山のツインピークスがいつも印象的である。
その延長線上に見えているのは蓬莱山か武奈ヶ岳であろうと思われる。
鞍部に降りると公設道標が有った。今回の行程では入口とベンチの他、
金属とコンクリートを見たのは此処ぐらいだ。周囲が住宅密集地だけ
に都市公園化しているかと思っていたが、自然のままに保たれている。
植生も至って普通の雑木林。仁和寺の所有であった頃にホテルや大学
の開発計画が有ったが、市民の反対運動で起こり京都市が買い取って
現在に至るという。或る意味京都らしい話だが知らない方が良いかも。
振り返ると二の丘が低く見えた。陽はすっかり落ちて残照が残るのみ。
そういやライトは持って来ていない。でも市街地に降りるまでは持つ
だろう。一の丘の頂上が近くなると、誰だかの墓と立派な石碑がある。
石碑の裏手には盛土をしたような頂上が有った。意外な事に西方向に
広く抜けている。まずは嵐山辺りの山影が目に入った。展望には全く
期待していなかったので嬉しい誤算だ。空が広くて気持ちが良い場所。
夕焼けの日に来ればもっと良いかも。頂上の片隅に三等三角点が有る。
点名は御室(おむろ)、ハムはどうしてもミムロと発音しそうになる。
北側に目を転じれば、樹幹の隙間から仁和寺の伽藍を望む事が出来る。
此処ばかりは明るい内に見たかった。二王門、観音堂、金堂、五重塔
がハッキリ見える。門前町の様子も面白い。仁和寺の背後には聾学校。
これも周囲の景観に配慮したデザインで、最初は僧房かと思っていた。
ところで山中では3人と出遭った。犬を放して散歩させる人が2名と
タバコを吸っている人が1名。山歩きでは遭いたくない方達ばかりだ。
時刻的な事も理由だったのかも。北側の入口もまた住宅密集地に近い。
ほんの数分で嵐電の御室仁和寺駅前に出る。振り返って見る一の丘は
余りに小さくて低い。先ほど見た展望が信じられない。仁和寺バス停
から東向きのバスに乗って、西大路通りで北向きのバスに乗り換える。
千本通にあるパン屋さんに行く為だが、買物した後も二本乗り継いで
四条烏丸に戻った。一日券の適用範囲もそうだが、一つのバス停名に
複数バス停が有ったりと難しい。久しぶりに韓国のバス旅を思い出す。