京都市バス一日券で京阪淀駅まで行って、石清水八幡宮のある男山を
歩こうと計画した。加えてその他にもバスでないと行きにくい場所を
複数回る予定だったが、下調べを不十分だったで大失敗をしてしまう。
京都駅から横大路車庫行きバスに乗り、中書島で下車すべき所を終点
の車庫まで行って、一日券の範囲外だと210円X2追加徴収される。
中書島へ歩いて戻り、淀行きバスを乗り逃がしたりで約2時間のロス。
京阪淀駅バス停から歩き始める。競馬場前とは思えない鄙びた風情の
集落では神社の巨大なイチョウしか印象に残っていない。しばらくで
宇治川左岸に渡り堤防上を南下する。空が広く茫漠とした風景が続く。
京阪本線の踏切手前から。京滋バイパスの二段重ねの高架の向こうに
男山が見え隠れする。京都駅から中書島まではともかく淀行のバスを
30分以上待ったり、乗車したバスもグルグル回り大層時間が掛かる。
何とも杜撰な計画だったと反省しきり。今日の予定の優先順位1番は
四条烏丸近くの食堂で昼食を摂る事。十分ランチタイムに間に合うと
思っていたが、怪しくなってきた。長閑な風景の中かなり焦っている。
それでも此処は立ち寄って行きたい。淀川三川合流域さくらであい館。
前回は桜の季節で展望塔に上がれなかった。その名称からすると変な
話だけど余りに混みあうので、さくらの開花期間は閉鎖されてしまう。
エレベータで展望塔に上がるとその絶景に驚いた。25mとさして高く
ないのに、360度の展望は素晴らしい。桜の名所背割堤が間近に見え
るのはもちろんだが、京都盆地を囲む山々を、ほぼ見渡せて素晴らしい。
東寄りから音羽山から宇治にかけての山々が、北方向には比叡山から
比良山系まで見える。昨日は雨が降っていたので、スモッグが流され
たか遠くまで良く見えている。周囲に高い建物が無いので視界が広い。
北よりは霞がかかったようにボンヤリしているが、そてでも天王山や
ポンポン山、愛宕山など既知の山が見えてる。あんまりゆっくりして
居られないんだけど、眺めが面白くてグルグルと3周ほど見て回った。
下りは歩いて降りよう。螺旋階段があるので、周囲の景色を見ながら
降りていける。これから歩く男山。京阪のケーブルカーが走っている
のは奥側のピークで八幡宮が有る。高いのは手前の鳩ヶ峰の方らしい。
木津川に架かる御幸橋を渡り八幡市街に入る。道なりに東高野街道を
進んで行くと走井餅の老舗が目に入る。風情ある店構えに惹かれたが
時間が無い。案内図を確かめもせず一ノ鳥居をくぐり奥に進んで行く。
とても立派な社殿が現れるので本宮かと思ったが、頓宮というそうだ。
関西に住んでいながら二人共に初めて来た。こんなに立派な神社とは
思ってもいない。日本三大八幡宮とかでたいそう格式の高い神社とか。
右に裏参道を見送って広い表参道を進む。どうして裏道が表道よりも
先に現れるんだとか思うが、既に12時13分で考えている暇はない。
緩やかな表参道も、段々と傾斜がキツクなる。照葉樹の暗い森が続く。
表参道の九十九な箇所を終えると、右手に石段道があり紅葉した木も
見え隠れしている。暗い照葉樹の森を歩いて行くのが嫌なので、脇道
だけど上がれば何処かに着くだろうと入って行く。中々雰囲気が良い。
表参道はぐるっと南側を回って行くが、この道は裏参道へのバイパス
的な道だったよう。途中には石清水社があり、霊泉が湧き出ていると
後で知った。見所を逃している。機会が有ればゆっくり回りたいもの。
まずは本殿に参拝しよう。楼門を見ただけでその壮麗さに圧倒される。
京都を歩くようになって神社も幾つも回っている。この神社のように
朱塗りの派手な社もあれば、日向大神宮のように落ち着いた社もある。
その違いは何処にあるんだろう。ただ無信心なので積極的に調べる気
も起きない。その内に分かるかも知れない。来る途中に展望台を指す
道標が有ったので、参拝もそこそこに行ってみようと元の道を戻った。
その位置関係が分らないままに、南向きの本殿をぐるっと回り込むと
北向きの展望台に到着した。紅葉こそ見ごろを過ぎて色褪せているが、
想像以上の展望である。標高は110m程と思われるが景色が大きい。
左に愛宕山。右に比叡山。これは中々豪勢な展望だ。京都市内の山に
登っても、一度にこの両山を見る事は出来ない。そして中央には遠く
比良山系。一番高く見えるのは蓬莱山か武奈ヶ岳なのか同定できない。
さくらであい館の展望で充分だと言っていた家族も、来て良かったと
思い直したらしい。鳩ヶ峰(142m)は諦めるとしても、別の道を
歩いて下りたいと本殿に戻って来たが、一ノ鳥居から先は迂遠なよう。
再び展望台まで戻りケーブル山上駅へ来たが、どっちへ行って良いか
全く分からなくなった。時間が無いと云うのに迷走している。これは
自分の下調べが足りないせいで仕方ない。そこで案内図を見てみると。
ケーブル沿いに山麓駅辺りへに下りたいんだけど、現在地からは本殿
周囲を回る道しか書いていない。参拝客向けの案内なのでそれも当然。
ほぼピストンになってしまうが、裏参道を下るしか方法はなさそうだ。
裏参道を下り始めたのが既に13時10分。ランチのラストオーダー
14時30分。もはや駄目もと。それでも京阪電車石清水八幡宮駅を
13時25分発に乗車、丹波口で特急に乗り換え祇園清水駅47分着。
市バスに乗り換え、四条烏丸の食堂には14時7分着いた。遅いので
メニューの一部が品切れだったけど、美味しい昼食にありつけて満足。
二人で1060円も無駄な交通費を払ってしまった。反省しなければ。
徒然草第五十二段に、石清水八幡宮に訪れるが山麓の摂社だけを詣で
山上に上らずに帰った仁和寺の僧の話がある。我々も迷って最高峰の
鳩ヶ峰に至らずに帰った。少しの事にも先達はあらまほしきことなり。