京都に安くて美味しい食堂を見つけたので、何かと理由を作って来て
しまう。今回は渉成園(枳殻邸)のライトアップを見るのがその理由。
午前中は清水山を歩こうかと清水寺へ向かう。清水五条の交差点から
茶わん坂を歩いて来ると、石垣が崩れた所に1m四方の巨大な土嚢が
積み上げられていた。今年8月の大雨の際にニュースを聞いた覚えが
あるが、こんな繁華な所とは思わなかった。近所の人は怖かったろう。
仁王門の南西脇から上がって行くと、早速モミジの木が迎えてくれる。
時刻は8時16分。修学旅行の小学生が何組も集合写真を撮っていた。
いったい何時に起こされたんだろう。朝ご飯は食べたのかと気になる。
南側に一段下った所にある池から三重塔を仰ぐ。落葉が始まった木が
多い。それなりの景色だけれど葉に元気がない。色も褪せ始めている。
これ以上は紅葉見物する気も起きず、清水山に入ってしまおうと思う。
ところが昨年には無かった看板があって、音羽の滝方面へは進めない。
清水山への道がある子安塔にも近づけない。400円の拝観料を払い、
本堂から回り込む必要がある。ならば計画を変更して吉田山に行こう。
清水山頂上は展望が皆無。手頃なので選んだが特に歩きたい訳でない。
途中には見所が沢山あるので紅葉を探しがてら散歩しよう。八坂の塔
の近くで結婚式の前撮りをされている。この日は都合3組も見かけた。
この塔のある御寺の名は法観寺だ。境内のモミジはかなり散っている。
まだ朝早いので閑散とはしているが、土産物店や飲食店が開店準備を
されている。その様子から観光客はかなり戻っているのが感じられる。
八坂庚申堂は小さな寺だが、カラフルな布で作られた「くくり猿」が
何ともフォトジェニックでつい立寄る。家族は丸いのにどれも綺麗に
字が書いてあると感心している。確かに一見すると書き難そうである。
八坂庚申堂で方向を変え北上する。何というお寺か知らないが白い塀
に丸い窓。三体の石仏の配置も面白い構図。家に帰ってから何という
寺院か調べようと思ったが場所も思い出せない。もう二度と行けない。
掃除していたお婆さんに招かれて、小さな路地を西へ一筋抜けたけど、
それも何処だったか。北上すると銅閣寺(大雲院祇園閣)に突き当る。
境内のモミジがすっかり落葉して、塀の外からでも見易くなっている。
直進出来ずに道なりに西側へ曲がると、大雲院側の紅葉が残っていた。
この付近には「ねねの道」という看板が沢山ある。それが何処を指す
のか現地で分らない。石畳で舗装された折に商店街がつけた名のよう。
次に壮麗な知恩院の山門前に出るが、本殿辺りにモミジは少ないはず。
通過しようと思ったが、黒門内に立派な石垣が見えてつい入って行く。
京都は観光客が多いので、入域に関して意思表示は明確にされている。
有料或いは立入禁止のいずれかで、曖昧な寺院は無いように思われる。
そういった表示が無ければ入っても良さそう。石段を90度曲がると、
北門脇のモミジの大木が見えてきた。とても立派な木で迫力を感じる。
北門から本堂前へも行けるが、やはりモミジは少なそうなので、元の
黒門に戻ろう。僅かに市街が見える。地図を見るとこの付近の標高は
74mで四条烏丸辺りは38m。僅かな標高差でも遠望が効くものだ。
北隣にある青蓮院門跡は拝観料(500円)が要る。料金所手前まで
行って引き返して来た。すいませんでした。ただ事務所前のモミジは
今日見た中では一番色鮮やかだった。更に北上し神宮道を歩いて行く。
平安神宮大鳥居前から琵琶湖疎水。両岸の桜は全て葉を落としている。
ちょうど大勢の中学生が境内から出て来た。大阪府の学校だったので
日帰り校外学習かも知れない。紅葉する木はなさそうなので入らない。
平安神宮を回り込み、少し西進して岡崎神社に立ち寄る。此処には
始めて来た。ウサギの狛犬代わりのようで阿吽の二羽が立っている。
安産子授けの神社なので、女性受けを狙っているのかやけに可愛い。
岡崎神社の隣に湿っぽい路地があって、金戒光明寺という初めて聞く
御寺への道だと案内があるので進んで行くと、とても広い境内に入る。
地図によると平安神宮の2倍はある。名前を知らぬのは無知なだけか。
境内には御墓がいっぱい有る。それで当然なんだけど、京都の御寺の
境内では、これだけ大量の墓石は見た事がない。知恩院と並ぶ格式の
浄土宗の寺院との事で、春日局他数々の歴史上の人物の墓があるそう。
そんな事とはつゆ知らず、密集する墓石に庶民的な感じを抱いていた。
文殊塔前からは市街が望める。平坦な所を歩いていた積りだったけど、
思ったより標高を稼いでいるようだ。後から調べると約96mもある。
文殊塔から小道を北進すると、いつの間にか真正極楽寺(真如堂)に
入っていた。ちょうど本堂の裏に出てしまう。敷モミジで有名な所だ。
紅葉がまだ落ち切きっておらずフカフカでない。緑の草も多少見える。
昨年は12月21日に来ている。本堂裏に関してはその時の方が綺麗。
表参道のモミジの大木も終わりかけ。帰ろうと思ったが両脇には葉を
残しているモミジが多い。五重塔を入れて撮影しようと思うが難しい。
イチョウの葉が散り黄色い絨毯。その上に朱色のモミジが枝を伸ばす。
紅葉見物に来ている人は多いし、大きなカメラで撮影される方もいる。
京都で比較的遅い時期まで、紅葉を楽しめるスポットではなかろうか。
真如堂から北西に進み、最終目的地の谷川借家群に上がろうと思って、
石段を上がる。ところが早く曲がり過ぎたようで竹中稲荷社に着いた。
それほど数は多くないが、朱色の鳥居が並んでる様子は雰囲気がある。
竹中稲荷社から少し上ると、舗装された吉田山主稜線の登山路に出た。
北へ少し進むと「茂庵」という有名なカフェがある。森の中の大正期
の木造二階建て。予約はできないらしくて大勢が開店待ちされていた。
展望が良くないし紅葉が有るわけでもない。何が魅力なのだろうかと
家族と言い合うが、それは自分達が世間とズレている証左に違いない。
とりあえず山頂広場に行っておこう。大文字の火床が真正面に見える。
山頂広場から西側へ下って行くと、神楽岡住宅群の上にすぐ出られる。
大正時代に作られた京大教官用の借家群であり、谷川運送店が建てた
ので谷川住宅というのが正しいらしい。一軒一軒がとても大きく立派。
南北に長い敷地が階段状にある。通路である東側だけを見ると暗いが、
どの家も西側つまり大文字側に庭があり、窓も大きく取ってあるので
室内はとても明るいはず。一度入りたいと思うが見学できる家はない。
もしカフェがあったら少々高くとも訪れてみたい。まあ現在も普通の
住宅街なので町内会が許さないはず。それ故に静けさが保たれている。
通路を北の端まで行くと比叡山が見えた。ちょうど石垣の修復工事中。
その音以外はいたって静か。此処へ紅葉を見に来る人はいないようだ。
最初に此の場所を知ったのは、ホテルのロビーにあった京都案内の本。
その中の一枚の写真が凄く魅力的だったので、同じ風景を探しに来た。
今日は二度目だが、その写真と同じ風景に出会えていない。本の名前
も覚えておらず、もう一度同じホテルに泊まりに行くしかなさそうだ。
主稜線の舗装路に戻り吉田神社へ下る。次は四条烏丸の食堂を目指す。
吉田神社から西進すると京大施設に突き当る。その度に南へ転進して
四条烏丸に向かって行く。なるべく初めて歩く道を選んで歩いている。
聖護院から川端二条へ。リッツカールトンを見る所に飛び石があった。
夕方になって渉成園に向かった。此処は東本願寺の飛び地境内である。
昨年に鴨川から京都駅に行こうとして、長大な土塀に突き当ってその
存在を知った。ただし拝観料500円が要るので今まで入っていない。
ところが家族の親せきが近くに住んでいて、12月8日まで夜間公開
していて無料で入れると教えてくれた。京都に行く理由を探していた
ので渡りに船と、今回の一番の目的にした。主催は京都のFM放送局。
この局はなぜか兵庫県の自宅でも受信できる。最近は自主製作番組を
減らしており、先行き心配しているが大丈夫なのかなと余計なお世話。
スマホカメラの性能のせいか、写し方が下手なのか色の潰れた写真だ。
やっぱり昼間の方が綺麗だという声が、他の観覧者から聞こえて来る。
紅葉も時期が遅く色褪せている。ただ巨大な池を配した庭園は独特で
見応えがある。南西に京都タワーが明るく見えた事を付記しておこう。