摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

みすぎ山(430m)・・・京都府亀岡市

阪急嵐山駅からJR嵯峨嵐山駅へ乗り換えて、嵯峨野線馬堀駅に来た。

相変わらず京都の宿が投げ売り状態なので、京都の近辺で歩ける所を

探してみた。この駅から唐櫃越という道が阪急上桂駅まで続くという。

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いわゆる古道で400m程度の山頂を越えて行くらしい。余り期待は

できないが。駅から駅へ歩くという点が我々にとっては好都合だった。

馬堀駅トロッコ列車宇治川下り等、観光の起点ともなる駅である。

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駅から東へ向けて歩き登山口に向かう。正面に見えるのが最初に登る

みすぎ山であろう。主稜線までは急傾斜の山腹が壁の様に立っている。

古道なので、もっと緩やかなイメージであったので、やや意外に思う。

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迷いようのない程多くの道標が設置されている。本能寺への道と付記

されているが、本能寺の変明智軍の別動隊がこの道を使ったという

伝承があるという。しかしネットで調べてみると事実ではないらしい。

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道標に従い集落の中の仏坂という道を辿り、如意寺の駐車場奥に入口

があった。このお寺は明智光秀丹波攻めで、滅ぼされた山城の跡に

という。伽藍は新しいが、歩いて行くと古い石垣が諸所に残っている。

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獣除けの柵を抜け進む。此処の扉も外開きである。どうして内開きに

しないのだろうか不思議に思う。鍵の掛かりが甘いと猪が押して外に

出てしまい、戻れなくなる。内開きなら鍵が無くても猪は外に出ない。

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手入れが悪くて貧弱な杉の人工林の中を、九十九に山道が登って行く。

古道というと長く人が歩いて深く掘れているものだが、普通の山道に

すぎない。蒸し暑くて二度三度と休憩する。運動不足がたたっている。

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主稜線に近づくと何故だか沢の中を歩くようになる。霞んでいるのは

異様に湿度が高いのか。東から差し込む朝日のせいか。高齢者の団体

が、道の中央に座ってマスクなしで喋ってる。本当に勘弁してほしい。

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主稜線に出れば、平坦な道となる。今回も起点と終点を調べただけで、

途中の様子は敢えて調べなかった。地図も持っていない。今のところ

山頂を示す道標は現れていない。たぶんこのまま進めばよいのだろう。

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いきなり高圧鉄塔の建つ明るい山頂に飛び出した。時刻は9時45分。

馬堀駅から1時間15分も掛かっている。普通の人は1時間弱だろう。

景色は良いが日陰がなくて、残暑厳しいこの日は休憩に適していない。

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京都のベッドタウンとして発展する亀岡の街。一年前に歩いた半国山

が見えているはずだが、同定できなくて残念だ。多分見えている中で

一番高い山だ。ところで山頂にある高圧鉄塔の銘板を確かめて驚いた。

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大黒部幹線六七六とある。二年前に野坂岳の南尾根で見たのが大黒部

幹線四三八鉄塔。その間238本もの鉄塔立っていると思うと感動的。

調べると富山県から大阪府まで、724本の鉄塔で繋いでいるそうだ。

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鉄塔マニアではないが、田舎では関電の巡視路を頼りに山歩きを始め

たので多少の愛着はある。山頂は暑すぎたので休憩もせずに先に進む。

後で考えると此処から林道に出るまでの間が、この日一番良かった所。

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道は主稜線から外れ尾根の北側を行く。高圧線の下なので伐採されて

広い眺望が得られる。正面に愛宕山。足元には屈曲する保津峡の流れ。

嵯峨野線の鉄橋も見えている。鉄塔数は目視した範囲で28本もある。

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だが山頂からの山道は10分と続かず、未舗装の林道に出てしまった。

どうやら此処からは延々林道が続きそう。後で確かめると地形図上で

実線で記された区間で2km弱続いている。鉄塔の保守の為だろうか。

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林道の周囲は雑木林で見るべき植生もない。ほとんどアップダウンの

ない林道を淡々と歩いて行く。朝早くに自宅を出たのでお腹が空いて

いるのだが、座って休憩できる所が見当たらず、仕方なく歩き続ける。

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林道を30分ばかり歩くと舗装路に飛び出した。左側は広い駐車余地

となっている。事前に調べていなかったので舗装路まであるとは思い

もよらず、少々がっかりしてしまう。でも休憩出来そうな所があった。

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駐車場の脇に私製ベンチが拵えてあった。それに嬉しいことに木陰だ。

涼しい風が吹き抜ける。丸太に腰掛けて、オニギリの昼食を済ませた。

今日の水分は500mlペットボトル5本。ここまでで半分以上消費。

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昼食を終えて舗装路を進む。この道を歩いていて思うのが、何も遺構

がないこと。京都から近いのに山に入ってから、祠も石仏も現れない。

名前の付いた岩とかもない。昔から往来は少ないのかと思ってしまう。

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この舗装路ではシキミを採っていた軽バンの御夫婦に出遭った。地元

の人ならば通行できる道なんだろう。20分程で山道との分岐に至る。

家族は右のフェンスの切目の先を気にしてる。ただ地形図に道はない。

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舗装路から道標に従って山道に入る。よく踏まれた道だが倒木が多い。

潜ったり乗り越えたり、山崩れした個所もあったりで、何だか疲れる。

山道はピークを避けて縫うように続いて行く。アップダウンは少ない。

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この辺りから南側に大きな山塊を見るようになる。小塩山 ( 642m )や

ポンポン山 ( 679m )かと思われる。彼我の高低差で実際の標高よりも

高く見えるし山容に重量感さえ感じる。三叉路に沓掛山の標識がある。

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左へ20m程で三角点のある沓掛山頂上。414.7mと言う事だが、

柱石の様子から、30cmは標高が低くなっているんじゃなかろうか。

周囲は樹林に囲まれ展望はないが、木陰に私製ベンチがあり休憩する。

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元の三叉路に戻って唐櫃越の道標に従って進む。沓掛山の頂上分岐を

過ぎてから、道が俄然と良くなった。それにつれてハイカーとも出会

うようになった。京都市内から沓掛山ピストンだけの方が多いようだ。

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大きな風倒木帯もあるが全て処理されており、跨いだり潜ったりする

事はない。ただ全く標高が下がって行く様子がない。ほとんど平坦な

道を歩いて行く。実際は徐々に下がっているが感覚的には得られない。

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展望所に出た。風倒木によって出来た空き地を私的に整備されている。

ベンチの工作が中々に秀逸だ。丸太を此の場所で厚い板に加工されて

いる。チェーンソーでも難しいと思うがどんな方法があるのだろうか。

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生木を故意に伐採されているのは感心出来ないが、展望は確かに良い。

左側には比叡山から比良山系まで望める。正面に大文字山。右手には

音羽山桂川の流れも見えるのが何とも良い。下山するのも此の方向。

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展望所からは桂坂野鳥遊園敷地の上端を通るようで、道が複雑になる。

手書きの案内図には、阪急上桂駅まで3km1時間半と記されている。

そんなに掛かるの?ってガッカリしたけど、実際には約50分だった。

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道はようやく徐々に下降していく。ストンと急傾斜が現れると竹林の

道となる。長岡京辺りほどに綺麗な竹林ではないが、金網で囲われた

筍畑と思われる処もある。盗掘除けにかオモチャの蛇が20匹もいる。

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竹林を抜けると墓場に出た。いつもなら墓石の写真は載せないように

してるのだが、正面に京都タワーが見るスッキリした風景なので敢え

て掲載した。このまま住宅街を直進していけば阪急上桂駅に突き当る。

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14時前に上桂駅に到着した。馬堀駅からは5時間半も掛かっている。

ネット上の記録よりかなり遅い。それにしても二人共凄く疲れている。

最初の上りを除くと、アップダウンも余り無かったのに何でだろうか。

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