摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

岡本八幡谷から横池に睡蓮を見に行こう 2021.6

岡本商店街に買い物の用事が有るが、その為だけに電車賃を使うのは

もったいなくて行きあぐねていた。しばらく雨が降ってないので沢に

入るのもどうだろう。すると昨夜0時頃に雨音を聞く。明けると晴れ。

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なら行ってみようと用意する。阪急岡本駅に着いたときは10時半と

遅いスタートになった。さて問題は何処から入渓するか。登山口下の

駐車場奥が良さそうに思えたのだが、立入禁止のロープが張ってある。

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仕方なく登山口を少し入った所から下降することにした。河原までは

20m程の高さがある。昨夜の雨でズルズルぬかるむ急斜面。ゴミも

散乱しており気分は最悪だ。他に良い入渓地点はなかったのだろうか。

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その斜面を見上げる。結局この日一番の危険個所は此処だったと思う。

河原を少し進めばゴルジェ入口。気を取り直して遡行の用意をしよう。

ところがザックから出て来たのは、自分のフェルトシューズではない。

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家族の沢タビだった。23cmで勿論入らない。山行に忘れ物をする

事は多いが、沢歩きに足回りを間違えたのは初めて。苦労し入渓した

のに引き返すのも嫌だ。見た所さして難しくなさそう。行ってみよう。

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古い取水設備を越えてゴルジェ内に入る。両岸が立って中々の雰囲気。

右岸上方には歩道があるので、落石の危険もあるかとメットは被って

いる。奥には二段の小滝が見えている。難しいようなら戻って来よう。

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滝の傾斜は緩いけど、滝壺というか淵が深い。へつるのは無理なので、

スマホやイヤホンをビニール袋に仕舞い込む。恐々右岸の縁へ入って

水中の足場を探ると、腰までの深さで渡りきれた。小滝自体は階段状。

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滝上にもう一つ淵がある。此処も深かったように思うが、一度濡れて

いるので気にならない。僅かに濁りがあるのは、昨夜の雨のせいかも

このゴルジェはごく短いはずだけど、出口が見えずまだまだ続きそう。

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この淵は右岸をへつって行く。この上の右岸には岩壁の切れ目があり

太いロープが下りていた。遡行の為なら中途半端な位置で、何の目的

か分らないが、逃げ場がないと思っていたので、気分的には楽になる

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この淵も深そうなので、右岸をへつる。ところで今日履いているのは、

スニーカータイプのシューズ。流れの中はそうでもないが、緑色の藻

がある所は恐ろしく滑る。そういや底はほとんど擦り切れていたよう。

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前方に左岸に渡る橋が見えて来た。今までの小滝よりは傾斜がきつい。

左岸のバンドから越えられそうだったが、少し外傾していて良く滑る。

怖いのでやはり腰まで浸かって右岸の縁をへつり、流心に取りついた。

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小滝で手こずっていたら、頭上をスタスタと御老人が歩いて行かれた。

何も言われなかったのでホッとする。橋の左岸には廃れた御堂がある。

神社でも寺でもなさそうなので、青谷にあるのと同じ行者堂なのかな。

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橋を潜った先にある八幡滝。直登は難しいが左岸側壁から越えられる。

部分的にコンクリで階段状にしてあったりする。2年前の冬に越えて

いるが、すぐ堰堤に詰まるし、藪が濃くて一般道に戻るのに苦労した。

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なので一旦遡行は中止し、橋を渡って右岸に戻り一般道を歩いて行く。

次に出会うのが八幡滝第二副堰堤。いつ来ても此処の水は澄んでいる。

川底の砂が白いだけではないと思う。鉱物質が染み出しているのかも。

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堰堤上の河原は草が茂っていて戻る気にはならず、一般道をしばらく

歩いて行く。八幡谷森林歩道に入って左岸に渡った所で再度入渓する。

既に支流を二つも分けているので、めっきり水量は少なくなっている。

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ところで今日の主目的は八幡谷の源流部に行く事。ゴルジェの通過は

二番目の目的。中流部の遡行は、つまらなければパスしても良いかな。

そう思い始めたが、姿の良い斜滝が現れ気を取り直す。流心を越える。

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斜滝の上で八幡滝第三副堰堤を越えると、次に巨大な堰堤に突き当る。

堰堤名八幡滝第三砂防ダム。高さ20m、長さ75mもある。此処も

左岸から越えたが、傾斜が緩く藪は薄いのでそれほど苦労していない。

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しかし大きければ大きいほど堆砂の量は多い。堰堤から相当離れても

川底は堆積した土砂で埋まったままだ。両岸が立っているので、正に

廊下を歩いてるようだ。もう変化はないかと思った頃に小滝が現れる。

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高さ3mほどかな。立っているが流心に細かいスタンスが沢山あって

登れそう。そこで取りついてみるが、底のすり減ったスニーカーでは

もう一つ自信が持てずに降りて来た。左岸の泥の斜面を巻いてしまう。

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フェルトシューズなら登れたはずと思いたい。3m滝の上は極短いが、

この谷では唯一のナメ状。次に現れた2m程の滝。巻くのは容易だが、

あえて流心左の苔の生えた所にスタンスを求め越える。憂さ晴らしだ。

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またしても大堰堤。水量に比して大きすぎると思うのだが、県の作る

治山ダムではなく、国の作る砂防ダムだから何か理由はあるのだろう。

堰堤名は八幡滝第四堰堤。高さ15m、長さ58m。左岸から越える。

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やはり堰堤上は長い堆積地が続く。下流のゴルジェに次いでこの谷の

独特の景色だと思うようになった。まず右岸の壁が立ち、進むにつれ

左岸も立ってくるが川床は埋まったままだ。この状態がしばらく続く。

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ゴルジェ状の出口には10m程の斜滝。中段が二俣になっていて左岸

から支流が入る。本流より流量が多い。詰めれば風吹岩の近くに至る。

階段状で普通に歩け一般道に出るが、振り返ると結構な高度感がある。

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斜滝上は不思議な石組み。交差する森林管理歩道を水流から保護する

為のものだろうか。この付近は完全に伏流している訳で、本当に此方

が本流なのか一見すると疑わしい。路傍の岩に座り込んで小休止する。

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打越峠に向かう一般道から離れて遡行を続ける。涸れた5mの斜滝は

普通に立って歩ける斜度だ。大雨の時は此の滝幅一杯に水が流れるの

だろう。平常時と増水時の流量の差がとんでもなく大きいと思われる。

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枯れた河原を進むと大きな堰堤に突き当る。水抜き穴が目と口に見え

る。水流が有れば泣き顔だ。左岸に明瞭な巻道があり、急傾斜なので、

残置ロープまである。八幡滝第五砂防ダム。高さ16m、長さ38m。

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堰堤の上も急斜面なので踏跡に従って斜面をへつる。そこそこの通行

があるようだ。堆砂がうず高く積もった河原に下り、遡行を続けると

高さ4m程の斜滝に出会う。写真は険しく見えるが普通に通過できる。

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再び水流が現れると奥の二俣。左俣の方が幅が広く、かつ掘れている。

しかし水流があるのは右俣と、ちょっと不思議な感じだが目指す所は

右俣の奥にあるに違いないと確信して進む事にする。但し本流は左俣。

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緩やかな斜面の流れを追って行く。下生えの少ない疎林で気持ち良い。

水流に沿って踏跡がある。徐々に傾斜が上がり、岩が積み上がるよう

になるが流量は一向に減らない。やがて今日の主目的の場所に着いた。

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土管から勢いよく流れ出す水流。これは横池の雄池の水抜き穴である。

近寄ると有機的な匂いがする。大昔は雄池と雌池は繋がっていたはず。

そして増水時は雌池西南端から流れ出て、八幡谷を穿ったと思われる。

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水抜き穴から5mも上がれば、雄池畔の道に着く。ヤマボウシの木が

ある所。そういえば雄池の南側では一番低い箇所。6月5日に此処で

大きな瀬音を聞いた。何故かと思って自分の目で確かめたかっただけ。

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昼食は雌池畔の大岩の上。急に思い立ったのでオニギリを作って貰う。

具材が無いと云うのでウインナー。座り込むと亀が三匹近寄って来る。

餌をくれと亀さんに見つめられながらの食事は、多少気まずさがある。

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小滝を登れなかった言い訳に靴の底を写して置く。爪先部分は剥がれ

掛かっているし、アッパーに穴が開いている。メーカーの公式通販で

3500円だったかな、でも余り良い靴ではなかった。又探さないと。

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見上げると水面から5mの高さにモリアオガエルの卵がある。普通は

日陰にある事が多いが、日に照らされて干乾びたりしないのだろうか。

雌池は生き物の多い所で、この日もメダカやトンボ等見て退屈しない。

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食事を終え雄池の畔に睡蓮を見に行ったのは15時。5月25日より

花の数は格段に多くなっていたが既に閉じている。和名ヒツジグサ

未の刻(14時)に咲くからとも云うが、横池では閉じ始める時刻だ。

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さて八幡谷は予想以上に堰堤が多かったが、退屈しない程度に見所が

次々現れ楽しかった。出発が遅くて睡蓮は閉じていたが、それはそれ。

魚屋道でJR甲南山手駅へ下ろう。大阪湾の上に夏雲が浮かんでいた。

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この山行はYAMAPに掲載された、Jo999さんの5月29日の記録を参考

に行いました。感謝します。尚、西天上谷も参考にさせて頂いています。

 

 今日出会った動物。

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雌池にいる亀さん。到着した時は15m程も離れた対岸の倒木の上で

二匹重なって日向ぼっこしていたのに、昼ごはんの用意をしていたら

知らぬ間に近寄って来ていた。それと知って小魚も沢山集まって来る。

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