ポンポン山って高槻からバスに乗って行く山と思っていた。ところが
4月に天王山を歩いた時、長岡京市の市域に入るとポンポン山を示す
道標が目に付くようになり、十分歩いて行ける距離である事を知った。
7時ちょうどに、阪急長岡天神駅から歩き始める。徒歩10分で長岡
天満宮に到着。八条ヶ池で小休止。西の山に赤白の鉄塔が見えている、
此処からはその辺りが一番高いと思われる。ポンポン山かも知れない。
天満宮から西へまっすぐ住宅街を歩き、西代里山公園7時51分通過。
自家用車で来る場合は、こちらの駐車場を利用できるようで登山口と
しての機能も併せ持つが、此処にはポンポン山を示す公設道標はない。
見かけるのは西山キャンプ場を示す道標のみ。良く分らないが方向は
合っているだろうと西へ進むと。すぐ京都縦貫自動車道の高架を潜る。
8時1分、車止めのあるキャンプ場分岐を右に見て、林道を更に進む。
気温は30度になるという予報だが、沢沿いの道はひんやりとしてる。
公設道標は善峯寺やキャンプ場を指すものしかなく、幾つか私設道標
がポンポン山を示すのみ。距離などはつかめないので多少不安になる。
面白い私設道標が有った。意図したものではないだろうが、文字部分
を朝日が透過し輝いている。各所の位置関係が良く分かる。京都方面
からポンポン山は、阪急バスで小塩バス停に向かうのが一般的のよう。
主稜線までずっと谷間を歩くはずだったのに、林道が斜面を九十九に
上るようになった。そういや少し前に三叉路が有ったけど、細い道を
嫌って林道を選んだような気がする。まあ高みに向かっていれば良い。
やがて林道は尾根に出ても続く。幅員は1米半位で小型のキャタピラ
運搬車ならば通行できるだろう。ずっと木陰を歩くつもりだったのに、
強い日差しの中を行く事になる。まだ湿度がさして高くないのが救い。
新しい通行止めの表示が有った。でも此処で引き返す訳にもいかない。
進んでみると路肩が崩れて、小型車の通行は危険だと思う。まあ現状
では人の通行に問題はなさそうだが、ひび割れもあり今後は分らない。
山腹を巻く林道に合流する。サントリー林道とか西山古道と私設道標
にあるが、どれがどの道やら判断がつかない。少し進めば高圧電線の
下の展望所に出る。京都方面の展望が良い。正面に見えるのは比叡山。
展望所から少し上るとゴルフ場の脇を通る。尾根上なのに何処からか
水を引いて泉水が配されている。今までに見かけたゴルフ場の中では
美しい。目の粗い金網が金持ちと貧乏人を分ける境界線となっている。
やがて四差路に出る。この地点は私設道標設置者間で、四つ辻と呼ぶ
向きと大沢峠という人に別れているよう。その争いごとの経緯が木札
に記してあったりする。遠来の登山客には無縁な事でややこしいだけ。
脇道に大展望所と記した私設道標が有ったので、足を延ばしてみよう。
思ったより急な道を上がりきると、東側が大きく開けた場所に着いた。
大沢山という木札があり、向日市から伏見区。正面には音羽山を望む。
元の道に戻って大きな風倒木帯を通過する。2018年台風21号の
仕業だろう。摩耶山にも大きな爪痕を残した台風だが、ポンポン山の
方が植林帯が多いので被害が大きい。この先で大沢からの道と合する。
10時16分、標高631mの釈迦だけに到着。展望のない山頂だが
私設ベンチがあって昼食休憩には良さそうだ。ここまでの展望所にも
私的にベンチが設けられていたが、パラダイス感はなく好感が持てる。
この釈迦岳は大阪府島本町の最高峰。いつの間にか府境を越えていた。
ポンポン山へは少し下り踏み固められた尾根道を行く。標高差は僅か
40m、距離は1.5km程にすぎない。樹林の中の道で暑くはない。
巨大な赤白の高圧鉄塔が現れる。長岡天満宮から遠望した鉄塔だろう。
この鉄塔下も広い芝地になっており、日陰こそないが、大勢の休憩や
昼食に適した所である。此処は善峯寺からの道が合流する所でもある。
おおさか環状自然歩道や東海自然歩道の道標が設置されている。公設
の道標としては今日初めてポンポン山を示した物を見た。と言う事は
此処までの道は、ポンポン山登路として公に推奨されていないようだ。
一番の原因は行政機関が異なる事かも知れない。ポンポン山の頂上は
大阪府高槻市と京都市西京区との境界にある。長岡京市にしてみれば
島本町を挟んだ他市の山で、観光名所として案内する気もないだろう。
10時49分、ポンポン山頂上到着。小広い平地でベンチも沢山ある。
既に木陰のベンチには先客が数組食事中だ。お腹は空いているんだが、
これからどんどん人がやってきそうに思え、食事をする気になれない。
東側が開けているが前方に釈迦岳があって、途中の展望所に比べると、
やや劣る。一時は樹林に囲まれていたが無断で伐採された景色という。
もっとも古いガイドに展望が良いとあり、どちらが原状だか分らない。
釈迦岳頂上のベンチにも人がいたが、少し離れた小ベンチに座り込む。
朝が早かったのでオニギリだけだ。ゼリー飲料は半年前に買ったもの。
家族は手術当日も元気で、普通食を完食できたので残したままだった。
釈迦岳から元来た道を大沢分岐に戻る。此処から南下して阪急電車の
水無瀬駅まで歩こうという計画。若干の登り返しはあるが直線距離で
7kmほど。我々にも歩けない距離ではない。良く踏まれた道を下る。
ところが15分もすると林道に出てしまった。これは予想外。樹林の
中をずっと歩くと思っていたが、陽光にさらされた林道を歩くのでは
疲弊度が高い。それに7kmも林道を歩くのでは退屈してしまいそう。
最初は植林の伐採跡だと思ったのだが、やや乱雑な様子から風倒木の
片付け工事跡のようだ。西側の川久保渓谷では現在も工事が行われて
おり、通行止めになっているよう。その後は植林帯の中の林道に戻る。
府道79号線に出た所。島本町内なので道標に釈迦岳の名はあるけど、
ポンポン山の名はない。高槻市の山まで案内してやるかっていう事か。
でも両方記しておく方が親切だし、訪れる人も増えると思うんだけど。
400m程も歩けば、尺代を指す道標がある。広い歩道を少し進めば
トイレが有ったので利用させて頂く。キャンプ場もあるが廃止されて、
その片付け作業をされていた。この道はおおさか環状自然歩道のよう。
旧キャンプ場からは少し上ればギロバチ峠。涼やかな風が吹き抜けて
気持ちの良い所。此処は三叉路で、尺代に下る道は倒木処理が終わり
通行可能だが、右に上って行く環状自然歩道は通行止めのままだった。
ちょうど測量に来られていたので、近く復旧工事が行われるのだろう。
しばらく山道が続くかと思ったが、すぐに林道に下る。前方の竹林の
中にはナンバー付きの乗用車が放置されている。府道734号線出合。
照りつける太陽の下を、車道を600m程も歩いて尺代の集落に入る。
一軒だけある商店は閉まっていたが、チェリオの自動販売機があった。
絶妙なタイミングなので思わず一本購入、二人で一気飲みしてしまう。
この集落を抜けて若山神社への山道を歩くつもりが、気づかず車道を
進んでしまう。水無瀬川を挟み豊かそうな尺代集落。瓦屋根が美しい。
眼下には島本町の貸農園。河原はアマゴ等の管理釣り場になっている。
尺代からは約30分の車道歩き。14時17分、阪急電車水無瀬駅に
到着した。足の遅い我々でも7時間の行程。初めて見る景色ばかりで
退屈はしなかった。近くにあるワークマンで買い物をして電車に乗る。