近場でまだ歩いてない所と考え、ゴロゴロ岳のユルキ谷を思い出した。
今まで全く魅力的に感じなかったのが歩いてない理由。期待感はゼロ
に近い。阪急バス11系統夙川行きのバスで日出橋バス停で下車する。
JR芦屋駅で「このバスはバラ園に行くのか」と聞いている人がいた。
その方は乗り込まれ岩ヶ平バス停で下車される。スマホで検索すると
モンテベロバラ園なんて所があるそうだ。帰りに寄ってみようと思う。
日出橋バス停から芦屋大学の構内を抜けていく。以前から日曜は閑散
としているが、今日は全く人気がない。コロナ対策で遠隔授業が実施
されているんだろう。市内でよく見かけた送迎バスも最近見ていない。
ゴロゴロ岳の六麓荘登山口。以前は銀色のプレートに登山口の文字が
有ったのだが消えて久しい。山に入る所が広く伐採され、色々な植物
が根付こうとしているのが面白い。すぐユルキ谷に向かわず直進する。
関西電力の標識があり、東西に巡視路が通じている。此処で一般道を
離れて西へ向かう。流れを二つ渡るが、この付近は非常に蚊の多い所。
今年も既に大きな蚊が飛んでいた。休まず一気に通過してしまいたい。
シダの中を巡視路が直線的に付けられている。入口の伐採地辺りから
西側の尾根に乗るのは容易だが、邸宅の裏なので此方まで回った方が
良いように思われた。尾根に出てから少し南へ下ると高圧鉄塔がある。
仁川連絡線三一鉄塔。北山公園にある鉄塔と同じ線。巡視路は西側の
ユルキ谷に下って行く。その先も続いているらしいので芦屋川までは
歩けそうな気がする。冬枯れの時期に通して歩いてみるのは一興かも。
下り着いた所に堰堤がある。六甲砂防谷事務所の看板にユルキ谷堰堤
とある。カタカナのユルキは何を指すのだろう。樹木名かと思ったが、
緩くの連体形「緩き」でなかろうか。歩いてみてその緩さを体感する。
堰堤の堆積地にはゴーロが詰まっている。これが普通の岩ではなくて、
採石されたもののようだ。規格外で放置されているようにも見えるが、
出荷待ちとも思われる。庭石として売れば高いだろうなとか言い合う。
イメージ的に水量は少なくゴーロの詰まった谷と思っていた。なので
二人共ゴム底の靴を履いてきた。だが意外に水流がある。最初の内は
左岸に切開きがあるので追って行く。踏跡というには地面は柔らかい。
しばらくで小さな堰堤が有る。此処は右岸から越した。以降も切開き
はずっと続いている。まあハイカーが歩いて楽しい所とも思えないが、
測量は頻繁に行われている様子なので、一定の通行はあると思われる。
花崗岩の谷なので水質は良いように見える。他の山域なら思わず手で
掬って飲みそうなシーンだが、六甲山系では絶対に飲まない。奥池の
排水が流れ込んでいるとは思わぬが、猪の多さが尋常ではないからだ。
炭焼きの二次林だろうか爽やかな落葉樹林が現れた。こんな所が続け
ば楽しいのだが、すぐに終わってしまう。前方には比較的大きな堰堤
がある。両岸共斜面が立っている。だが探すと切開きが右岸にあった。
辿って行くと堰堤の天端より、かなり高く上がる。無理をして河原に
下る理由もない。そのまま斜面をへつって行くと堰堤より数十m先で
ようやく河原に降り立った。この先はゴーロで谷が埋まるようになる。
だが水流は岩の下にある。切開きは右岸に左岸へと移りながらも続く。
冗長で退屈だけど、予想通りなのでハムは不満なく歩いている。だが
後で聞くと家族は、久しぶりの谷歩きが原因か相当疲れていたようだ。
谷に入って1時間。僅かに傾斜が上がったようだ。前方に目標とする
高圧電線が見え隠れする。ゴロゴロ岳の頂上までは行くつもりはない。
奥池の住宅街の縁で、展望もない頂上は日曜日に行っても不快なだけ。
岩が積み上がって滝状になっている所。此処が実は三俣になっている。
頂上へは右俣に入った方が近いだろう。だが我々は西側にある展望岩
に行きたいと思っている。左俣は藪が煩そうで一旦中俣を進んで行く。
高圧線の真下と思える辺りで西側に転じると、谷幅いっぱいに巨岩が
連なっている。一見すると越えるのは難しい、巻くのは相当遠回りと
思われた。ところが中央の一際大きな岩の下が空洞になっているよう。
ザックを背負ったままで抜けるのは難しいと、前に抱えるようにして
家族は抜けていった。ハムも同じように抜ける。更に岩の積み重なり
があり、先に上がった家族が「凄い!」と声を上げている。何だろう。
見上げた先にはハングした岩場が有った。つまり我々が今立っている
巨岩群は、この岩場から剥がれ落ちたものという事なのか。ちょっと
した衝撃があったなら、岩塊がすぐにも落ちてきそうな雰囲気である。
岩場自体は斜面に孤立しているので、左側からも容易に巻けそうだが、
敢えて岩場の裾を右側にトラバースしてみる。足元に先程抜けて来た
巨岩群を望む。樹木で隠れているので実際のスケールは感じられない。
平凡と思っていたユルキ谷で唯一の変化だろう。その後は頭上に垣間
見える高圧線を追って斜面を上がって行く。実際には南西方向だった
みたい。少し傾斜が緩んで見覚えのある所に出た。此処を左側に進む。
目標の新神戸線二三鉄塔に出た。あれ?番号が違う。三九だったはず。
去年に鉄塔の補修工事が行われたが変わったのかな。工事後植林され
たのか、シカの食害から苗木を守る為の、プラケースが林立している。
稜線に出た所は補修工事の際に資材置き場になっていた所。ここにも
植樹されていた。六甲山の主稜線が望める。巡視路が通じているので
普通に歩いて来れる場所だが訪れる人は少ない。此処から少し下ると、
本日の目的地に着く。荒地山を望む展望岩。平頂の岩が点在している。
その内の一つに座り込んで昼食にしよう。高圧線や鉄塔も景色の内だ。
かなり霞んでいる。東側には大阪市内が見えるはずだが、黄砂だろう。
今日の山ごはんは餃子の皮を使ったサモサ。中身はジャガイモが高い
のでヒヨコ豆。神戸スパイスで買ったマサラ等スパイスは一応本格的。
パックに入れて来たので揚げ立てパリっと感はないが、まずまず成功。
此処からの下りが急なので、どうかなと思ったが、骨折明けの家族は
どうにかこなして行った。むしろワインを飲んだハムが危なっかしい。
しばらくで柿谷道に出て、そのまま進むとまた新神戸線の鉄塔がある。
此処で柿谷道とは分かれて前山遊歩道に入る。とはいえ最後まで辿る
つもりはない。途中から芦屋霊園に下る尾根道に入るつもりだ。阪急
芦屋川駅ならともかく、JR芦屋駅方面にはそちらの方が断然に近い。
左(東)側に道を探しつつ下って行くと、行き過ぎたかなと思う頃に
枯れ枝を置いて通せんぼしてある分岐に着く。最初は分かり難いけど
下るにつれ道は良くなる。途中にはボルダリングの小ゲレンデもある。
展望も一ヶ所だけあり、芦屋市のほぼ全景を望むことが出来る。下に
見える芦屋霊園の広大さが印象的。さて尾根は最後まで下りきらない。
というのも霊園の上端には、猪除けのフェンスが張り巡らされている。
もう霊園は近いかと思う所で、直進せず右側の支尾根を下る道に入る。
最初は怪しいが道はどんどん太くなり、フェンスの扉のある所に着く。
出るのは芦屋市霊園上端20地区。警察学校前を西へ進み六麓荘下へ。
今朝乗った阪急バス11系統のバス道を下って、岩ケ平公園に行って
みる。その一角にあるのがモンテベロバラ園。住宅に囲まれてバラ園
と言うには小規模だ。この公園は桜の大木が多いので春に再訪したい。
今日出会った動物
家族のザックにとまったトンボ君。ザックに付いている毛虫を狙って
かとも思ったが、この後に別の個体も来たので、黄色が好きなのかも。
それにしても高圧鉄塔の番号が変わるなんて、思ってもいなかったな。