摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

長峰山横断ハイク

5月3日祝日、家族は所用があって出かけた。快晴が約束されている

ようなので運動不足解消の為に歩こう。阪神電車はガラガラだったが、

六甲ケーブル下行16系統のバスは、ハイカーでそこそこの混み具合。

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表六甲ドライブウェイ旧道から長峰山を望む。その肩から降りてくる

最も緩やかな尾根を辿ってみよう。末端にはこんもりした大樹がある。

少なくとも一度歩いているはずだが、印象が薄く記憶に残っていない。

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山田堰堤下で幅広い作業路に入る。今は草深くなっている。六甲堰堤

や山田堰堤の建設時に使用されたようだが、昭和13年の水害により、

廃道となった表六甲ドライブウェイの旧々道を利用した道と思われる。

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尾根の末端が岬状に六甲川へ突き出ている所から取りつく。遠くから

目立っていた大樹はどれか判然としない。地形図から見ても長峰山の

東面にしては唯一緩やかなので、かつて道があってもおかしくない所。

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だが道跡(長年の通行で深く掘れた跡)も踏跡(人の通行で地面が固

まっている所)も見当たらない。少し上がれば岩が露出した細尾根と

なる。まずまず歩き易い。尾根筋に比較的に新しい鋸目が散見される。

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この付近で頻繁に行われる測量に際して切られたものと思う。どこか

一か所ぐらい展望がないかと思うが、それもないままに標高が上がる。

所々急斜面はあるが、猪の獣道を拾いジグザグに上がれば尾根に戻る。

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他の長峰山東面の尾根に比べて、暗い照葉樹の森もなく、通過困難な

急斜面も無いのでとても歩き易い。だが一方で記憶に残るような見所

も全くない。一度は歩いたはずなのに覚えていないのはそういう訳か。

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長峰山特有の笹も現れないまま、主稜線のスカイラインが見えて来た。

想像では三本椎の木辺りに出るのではと思っていたが、肩の伐採地の

比較的上部に達した。相変わらず地形図を読むことが出来ないでいる。

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かつては展望の良かった伐採地も、伯母野登山口が閉鎖されて以来は、

通行も少なくなり、草木が茂り放題となっている。それでもこの日は

関電巡視路の標識から山頂までの間に、3組5名の方々とすれ違った。

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妙に明るい天狗塚。どなたか休憩しておられたら通過しようと思って

いたが、無人だったので座り込み、テルモスのコーヒーで小休止する。

無風快晴。視界も悪くない。花の時期は逃したが、まだ爽やかな気候。

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右端はヤマツツジの株だが、朱色の花を咲かせるのはまだ少し先かな。

それでも10分程はボーっとしていたろうか、杣谷峠方向から足音が

聞こえて来た。そろそろ腰をあげよう。北に向って鞍部を二つこなす。

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杣谷峠へ700mの道標のある所で、右へ下る道に入る。これは関電

の巡視路で中腹の高圧鉄塔まで続く。急峻な尾根道だが最近ロープが

つけられて、多少は歩き易くなった。ここもミツバツツジの多い所だ。

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中腹にある六甲線一四鉄塔は急斜面にあるので、休憩に適していない。

以降は巡視路ではないが、しっかりした踏跡が杣谷道まで降りている。

一本調子の尾根でなく、横にスライドしたりするトリッキーな細尾根。

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ダム工事の際の架線場と思われる平削地がある。よく休憩した場所だ。

此処から少し下ると新たに展望所が出来ていた。どうやら大きな木が

倒れたらしい。額縁の役を担っているのは、全て宿り木の若葉である。

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岩塔を形成する骨太な盛り上がりがまず目に入った。ところで対岸の

尾根を、木ノ袋谷南尾根と呼ぶ向きがあるが、白い線で囲った部分に

降った雨は杣谷へと流れ落ちる。つまり608標高点までの核心部は

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寒谷の左岸ではあるが木ノ袋谷の右岸ではない。なので寒谷北尾根と

個人的に呼んでいる。さらに下ると木ノ袋尾根が格好良く見えてくる。

古い地図にはピークに木ノ袋と記してある。現在の地形図には谷の名

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としてしか残っていないが、木ノ袋谷北尾根等と呼ぶのは違うと思う。

単にそう思っているだけの事。下りつくのは木ノ袋谷出合の少し手前。

杣谷を渡って石段を少し上れば、木ノ袋尾根の一般道とりつきがある。

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中腹まで登って西へ20mトラバースすれば、休憩に適した岩がある。

10年前はもっと景色が良かったが、樹木が成長し視界が狭くなった。

大昔、六甲学院山岳部が活躍していた頃は岩場全体が見えていたはず。

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展望岩の斜め上に、2年前に家族が登ろうとして堕ちた包丁岩がある。

更に右上に、この一帯で一番大きな岩の頂部が見える。4月19日

下から上がって来たが、此処からでも辿り着けると今になって気付く。

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この尾根はシロバナウンゼンツツジの群落が多い。少し遅かったよう。

咲いている株は少なくし、枯れて茶色くなった花弁が混じる。日陰を

好むようで西日の当たらない東斜面、それも背の高い樹林の下に多い。

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少し上がるとプラトー状の細尾根。樹高が低く空が広くなる。背後に

閉館したオテル・ド・摩耶が近いし、先ほどまで居た長峰山も見える。

木ノ袋尾根の道で展望が良いのは此処ぐらいだが、休憩には適さない。

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ツツジと松の円頂を越えれば笹薮の道となる。もう急な登りはないと

ホッとする所だ。斜面をトラバースしてアゴニー坂へ出ると、途端に

前後から賑やかなハイカーの話し声が聞こえて来る。こりゃ駄目だな。

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掬星台へ行っても座る所も無いだろう。オテル・ド・摩耶の北にある

展望岩で、遅い昼食を摂ることにした。家族が作ってくれたブリトー

中身はチリビーンズとウインナー。味の決め手はセージ。中々美味い。

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セージは天満市場の八百屋で買ったもの。通常スーパーで198円で

売られているものが、20パック(段ボール1箱)50円で売られて

いた。宣伝担当者曰く完全に需要と供給のバランスが崩れているそう。

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予想通り掬星台はハイカーや観光客で賑わっていた。ロープウェイ駅

は長蛇の列。コロナ対策で乗車人員を減らしているので相当待ちそう。

密接して並ぶのも嫌だ。まだ疲れていないのでケーブル駅まで下ろう。

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時刻は16時近いのに、続々とハイカーが上がって来られる。それも

子供連ればかり。緊急事態宣言下でも連休5日目となれば、子供達の

どっか行こ!攻撃に親も負けるよね。中間駅まで歩きケーブルに乗車。

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混み合う車内では声高に話す男性がいて、思わずマスクを二重にする。

摩耶山を楽しんで頂くのは嬉しんだけど・・。JR摩耶駅前に新しい

スーパーが開店する。吹田市に本社のある店らしく初めて見るお店だ。

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